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小津安二郎美食三昧 関東編 (朝日文庫) 価格:¥ 714(税込) 発売日:2011-03-18 |
「美食三昧」というタイトルだが、軽佻浮薄なグルメ本ではない。小津という映画の神様がこよなく愛した、いかにも日本らしい佳き店のオンパレードである。
料理人だって人の子、体調が悪い日だって気分が優れない日だってあるだろうに、毎日毎日、客をうならせるおいしい料理を提供し続ける。素材、味付け、お店の調度、清潔さ、ぜんぶに細やかに気をつかう。運営を維持できるだけの、節度ある価格を設定する。これぞ世界が賞賛する日本人の美点が凝縮されているではないか。しかも、それが何十年にわたって続くなんて、奇跡みたいな存在ではないだろうか。(小津監督が亡くなったのは昭和38年。この本で紹介されたお店は今でも営業している)
ところで私はまったくグルメではないが、何軒か知っているところが入っていて嬉しかった。最近は特に、家族や親しい人と、こじんまりとした高くないお店でおいしい料理を食べる時間がとても大切。