みちくさ茶屋

いらっしゃいませ。どうぞごゆるりと。

まっさらなスケッチブック

2013-05-28 | kid
こうたろうが図工の授業でスケッチブックをもらってきた。
興奮ぎみに、「これに何を描いてもいいんだよ、たくさん描けるんだよ」と言っている。

そういえば、今まで「スケッチブック」という紙の束を与えたことがなかったかもしれない。
絵画教室でもそのつど紙が配られるし。

「好きなこと」って、神様のギフトだと思う。
自分で「好きになろう」決めたのではない。勝手に好きになるのだ。

まだ真っ白なスケッチブックを開きながらうっとりしているこうたろうを見て、
こうたろうに「絵を描くことが好き」のギフトをくれて、神様有難う、と思う。

そして、まだ経済的に彼を助けていかなくてはならない親の立場として、
ダイソーで間に合う画材道具ですむんだから、やっぱり神様有難う、とさらに思う。
これが「バイオリン」とかだったら私は困窮していたことだろう。


寝る前に、布団で映画「タイタニック」の話をした。
ジャックという青年がいてね、彼は貧乏で学も地位もなかったけど、
絵がすっごく好きで上手でね。ジャックはそのことを誇りに思って生きているの。
あるとき、ジャックは豪華な客船に乗るんだけど、
お金持ちの意地悪な人に「根無し草」とバカにされたとき、こう言うんだよ。
「必要なものはすべて持ってる。健康な体、まっさらなスケッチブック」。
元気で、大好きなことがあれば、それだけで人は心豊かに暮らしていけるんだと思うよ。

するとこうたろう、

「ジャックは貧乏なのに、どうして豪華な船に乗れたの?」

と聞いてきた。

え? あ、えーと。
たしか賭けに勝ったかなんかだったんじゃないかな?
うろおぼえで口ごもっていると、こうたろうがひらめいた。

「あ、そっか! ジャック、絵がうまかったから、スケッチブックに
お金の絵を描いてそれ使ったんだね!」

お……

おもしろい……

でもそれ……


犯罪だから!!

こうたろうのスケッチブックに、そんな上手なお金の絵が描かれないことを願う…