【すき焼き】
一般的な「すき焼き」は薄切りにした牛肉が用いられ、葱、春菊、椎茸、焼き豆腐、シラタキなどの具材が添えられる。味付けは醤油と砂糖が基本である。溶いた生の鶏卵をからめて食べることもある。しゃぶしゃぶの薄切り肉は熱湯にくぐらせるだけで食べられるほど薄いが、すき焼きの薄切りはしゃぶしゃぶに用いる肉よりも厚いことが多い。
合わせ調味料の割りしたを用いた甘い味付けの料理の総称として「すき焼き風」という呼称も用いられる。
日本では幕末まで、牛肉を食べることは一般に行われていなかったが、別に「すきやき」と称された料理は存在していた。古くは寛永20年刊行の料理書「料理物語」に「杉やき」が登場しており、こは鯛などの魚介類と野菜を杉材の箱に入れて味噌煮する料理である。さらに。享和元年の料理書「料理早指南」では、「鋤やき」は「鋤の上に右の鳥類をやく他、いろかはるほどにてしょくしてよし」と記述されている。また、文化元年の「料理談合集」や文政12年の「鯨肉調味方」にも具体的記述が見られ、使い古した鋤を火にかざして鴨などの鶏肉や鯨肉、魚類などを加熱する一種の加熱料理であった。他にも、すきみの肉を使うことから「すき焼き」と呼ばれるようになったという説もある。「杉やき」と「鋤やき」が「すき焼き」のル-ツとして挙げられている。
【ぼたん鍋】
「ぼたん鍋」は、猪の肉を用いた日本の鍋料理。
猪肉は縄文時代からよく食べられていた食材であり、これを具材に加えた鍋料理は日本各地に見られる。「ぼたん」の名は、使われる猪肉を薄切りにし、牡丹の花に似せて皿の上に盛り付ける事に因でいる。
鍋の中で野菜、根菜、きのこ類、コンニャク、麩、豆腐と猪肉を一緒に煮て食べるのが一般的であり、味付けは地方によって異なるが、昆布と鰹節でとった出汁に主に味噌か醤油を入れることが多い。風味付けに日本酒や味醂を加えても良い。江戸風は、割り下に大量の醤油と砂糖を用い、さらに八丁味噌を加えて濃厚な味にしている。
猪肉が入手しやすい岐阜県や兵庫県の山間部で、郷土料理として観光資源化されることも多い。