道彦の散歩道

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11/09 売れ筋最前線?

2014年11月09日 | 日記

【テレビ父さん】

「あ、テレビ父さんだ」

真っ赤な体に緑の腹巻き。のほほんとした表情の着ぐるみ札幌・大道のテレビ塔に姿を見せると、修学旅行で訪れた小学生が歓声を上げ、集まってくる。札幌を代表する「ゆるキャラ」の一つだ。

ブログなどで発信する、ほのぼのとした口調も好評で、「癒やされる」と女性にも人気がが高い。父親のいない花嫁から頼まれて、結婚式で一緒に入場したこともある。

初めて登場したのは2002年。テレビ塔の運営会社「さっぽろテレビ塔」が、グッズ製作の工房「アルティスタ」に、売店で売るプリントTシャツを発注したのがきっかけだった。
同社からイラストを
頼まれたデザイナーの亀さんは当初、テレビ塔にペンキを塗るキャラなどを描いてみたが、どうも気に入らない。「駄洒落でいこう」。最後にそう考え、「テレビ塔さん」をもじってイメージを作り上げたのが「テレビ父さん」だった。

イラストを一目見た同社の永谷代表社員は「これは面白い」と大笑い。一方で、さっぽろテレビ塔の社内には重く強い空気が流れた。「うちの会社をバカにしているのか」。一部管理職には、そう酷評する声まであった。だが、「インパクトのある方がグッズは売れる」と直感した若手社員が2週間かけて上司を説得し、販売にこぎつけた。

Tシャツが売店に並ぶと、修学旅行で来ていた本州の女子高校生が反応した。「何これ」、「ここでしか売っていないだって」。あれよあれよという間に当初作った20枚が完売し、次々と追加発注するほどの人気商品となった。

その後、ポストカードも作ったところ、また飛ぶように売れた。それを見たテレビ塔幹部もすっかり気をよくし、父さんグッズは一つ、また一つと増えていった。今では、ぬいぐるみやラーメンなど約120種類ある。ほとんどのグッズはテレビ塔のみ販売し、売店の年間売上高約1億円の4割弱を占めている。

グッズ製作には秘訣かある。新しい商品を生み出すたびに亀さんがイラストを描き、同じ絵はどれ一つとして使わない。「ちょっとバカっぽくて自分で面白いと思う絵にしている」と亀さん。「テレビ父さん」に妻子がいるーなどの設定もグッズから広がった。

05年には最初の着ぐるみが出来上がり、07年ごろらか全国的なゆるキャラブームが起きたことも「テレビ父さん」の人気をさらに押し上げた。永谷代表社員は「コンテストでキャラを選んだりすると、平均的でインパクトのないものになりがち。最初からグッズしたのが良かった」と振り返る。

09年テレビ塔は“大劇震”に見舞われた。元社員らの売上金着服事件が起きたのだ。体質を刷新するため、新たに北海道銀行出身の高山氏が社長に就任。「信頼を取り戻そう」と取り組んだのが、「テレビ父さん」を前面に出す地域密着の活動だった。

10年から札幌近郊の幼稚園や小学校などを対象に、着ぐるみの無料出張を始めた。テレビ塔周辺にも姿を見せ、観光客や市民との記念撮影に積極的に応じるようにした。また、毎年12月には「テレビ父サンタ」として、市内の幼稚園にプレゼントを届けている。

地道な活動が奉功して、近年はテレビや雑誌などに取り上げられることが増えた。今年3月には人気グルーブSMAPのテレビ番組に各地のゆるキャラと一緒に出演した。女性雑誌のアンケートで、札幌在住者の一番好きなゆるキャラに選ばれたこともある。

こうしたブームに札幌市も乗り出した。13年には中央区役所から父さん一家に「特別住民票を贈りたい」と打診があった。だが、ここで一つの問題が起きた。実は、「テレビ父さん」はテレビ塔の非公式キャラ。ほとんど知られていないものの「タワッキー」という公式キャラが別にいるためだ。
これには市の担当者もびっくり。「非公式キャラに贈っても大丈夫ですか」とこっそり聞いてきた。
テレビ塔側も一時公式キャラ化を検討したが、出した結論は「面白いから今ままでいい」。特別住民票も非公式キャラのまま受け取った。
このゆるさ、遊び心こそ、「テレビ父さん」の魅力に違いない。

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