【馬鹿】
馬鹿とは、愚かなこと(人)。知能の働きが鈍いこと(人)。
馬鹿は、サンスクリット語で「無知」や「迷妄」を意味する「baka」「moha」の音写「漠迦(ばくか)」「募何(ぼか)」が転じたとされる。
日本では、鎌倉時代末期頃から「ばか」の用例があり、室町中期の「文明本説用集」には、馬鹿の異表記として「母娘」「馬娘」「破家」をあげ、「とんでもない」の意味で「狼籍之義也」と説明している。
以上のことから、「ばか」を「馬鹿」と書くのは当て字と考えられる。
馬鹿の語源の俗説には、「史記」の故事「鹿をさして馬となす」からというものがある。これは、秦の趙高が二世皇帝に、鹿を「馬である」と言って献じた。群臣は趙高の権勢を恐れて「馬です」と答えたが、「鹿」と答えた者は暗殺された。このことにより、自分の権勢をよいことに矛盾したことを押し通す意味として「馬鹿」と言う7ようになったというものである。
しかし、「鹿」を「か」と読むのは大和言葉で、漢文では「ばろく」と読むため、この故事が「ばか」の語源とは考え難く、「ばか」に「馬鹿」の字が当てられた由来として考慮するにとどまる。
ただし、よく使われる「馬鹿みたい」は、馬鹿ではないので注意すること。
【あほ】
「あほ」とは、愚かなさまや行動、愚かな人。馬鹿と同じ意味で、人を罵る意味であるが、関西地方では、馬鹿よりも軽い意味や親しみを込めて使われる。
「あほ」の語源は、秦の始皇帝が異常に大きな宮殿「阿房宮」を建てたことからとする説が多い。
この説にも二通りの話があり、「阿房宮」が頃羽に焼かれたが、あきれたほど馬鹿でかく、全焼するまでに3ヵ月もかかったことから、馬鹿げたことを「阿房」というようになり「あほ」と呼ぶようになったとする説と、大きな宮殿を建てたか財政が困難になり、国が滅びてしまったことからとする説がある。
しかし、「阿房」の表記はこの語源説によって当てられたとする見方が強く、当て字とされている。
「あほ」の有力な説として、中国江南地方で「おばかさん」を意味する方言「阿保(ア-タイ)」を禅僧が伝え、日本語読みで「あはう」となり「あほう」になったという説がある。ただし、この説も文献上に出てくるものではなく、この方言によって「阿保」の漢字か当てられたとも考えられ、あほの正確な語源は未詳。