道彦の散歩道

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ
毎日の事件事故の記録

11/12 売れ筋最前線(23)

2014年11月12日 | 日記

【焼きたてチーズタルト】

「きのとや」の店内。黄金色に焼き上がったばかりの香ばしいタルトが並んでいるのはショーケースの中ではなく、このタルトを焼くのに使った縦60センチ横40センチほどの鉄板の上だ。
口に運べば、タルト生地のさくっとした食感と、クリームのさっばりした甘み広がる。味の秘密は、2度焼きして食感を高めた生地のほか、軽い風味の函館産、コクのある別海産、塩味が強めのフランス産の3種類のクリームチーズを独自にブレンドした特製クリームにある。

「焼きたてチーズタルト」の歴史はまだ2年半ほどと浅いが、原型の「チーズタルト」は2002年に発売されている。まず三越札幌店で売り、人気が出たため、2ヵ月後には同店を含む全三店で(当時)扱うようになった。
年間販売20万~30万個と、定番商品として順調に歩んできた「チーズタルト」に思わぬ転機が訪れたのは11年9月、シンガポールのスーパーで開かれた北海道物産展に出展したときのことだ。
クッキー、チーズスフレと一緒に「チーズタルト」を並べた。担当したのはきのとや社長・長沼昭男さんの長男で、当時オープンしたての新千歳空港店で店長を務めていた真太郎さんだった。

「チーズタルト」は現地で焼いて売ったが、陳列用の箱が途中で足りなくなり、やむなくオーブンから取り出した鉄板ごとカウンターに並べてみた。その瞬間、客の雰囲気ががらりと変わった。「飛ぶように売れ始めたのです。商品の見せ方でこれほど反応が変わるとは思いませんでした」と真太郎さん。
タルトの「焼きたて感」が結果的に強調され、前日に1日200個程度だった販売数は一気に千個
を超えた。

当時、新千歳空港店の売上高は低迷していた。真太郎さんは業績を伸ばすための起爆剤として、すでに「チーズタルト」に目を付けていたという。店の従業員の間で一番人気だったのに加え、自分も発売当初から大好きな菓子だったからだ。
「こんなに美味しいのだからもっと売れるはずだ」。そう考えていた折りに目の当たりにしたシンガポールでの“奇跡”が真太郎さんにヒントを与えた。

日本に戻ると早速、ショーケースの上に紙箱をいくつか並べて、そこにオーブンから出したばかりの「タルト」を鉄板ごと置いてみた。鉄板はまず1枚。客の反応は上々だった。2枚にするとさらに売れた。
ショーケースは、鉄板を置くための台に改造した。2ヵ月ほどで鉄板は5枚に増え、店の前には客が列をなした。
社内では異論もあった。「タルトを冷蔵庫に入れなくても大丈夫か」、「200度もの鉄板を店内で持ち歩くのは危険だ」、「せっかく導入した冷蔵ショーケースを改造するなんて」-。だが、真太郎さんには「売れる」という確信があった。

店の前では自ら試食販売を繰り返し、客の声をもとに改良した。さくっとした歯応えをもっと楽しんでもらえるよう生地を厚くし、より多くの人に支持されるよう、中に入れたブルーペリージャムを抜き「プレーン味」にした。
販売方法は焼きたて
限定。こうして12年4月、「焼きたてチーズタルト」が誕生した。 

当初は新千歳空港店限定だったが、半年後の10月にはJR札幌駅東口に「焼きたてチーズタルト」専門店「KINOTOYA BAKE」を開店した。今年2月には、真太郎さんが社長を務める子会社「BAKE」が東京・JR新宿駅前の商業施設内にも専門店を開き、道外初進出を果たした。今月1日には東京・自由が丘に道外2店目を開き、12月には埼玉・大宮にも出す予定だ。

販売数は12年が55万個、13年には170万個。14年は360万個を見込む。きのとやの主力商品のひとつに育った。
最近は「タルト」の評判を聞きつけたアジア諸国の企業からも問い合わせが増えており、「BAKE」は海外進出も検討している。

Img_2956

Img_2958

Img_2953

Img_2957

Img_2954 


最新の画像もっと見る