【にんにくねり味噌】
「にんにくねり味噌」には、素材へのこだわりが凝縮されている。農薬や化学肥料を使わずに育てた大豆や道産の有機栽培ニンニク、それに地下70メートルから汲み上げた天然水を使って加工し、1年半近くかけてじっくり熟成させた。クマザサが防腐剤代わり。
肉や野菜につけて食べてもいいし、焼きおにぎりや豆腐田楽などにも合うという。
会社(味噌らんまん)は、豊かな自然環境や自給自足に近い暮らしに憬れ、東京や愛知、福岡、小樽など道内外から胆振管内洞爺湖町に移り住んだ29人が2010年夏に設立した。
味噌造りは、およそ10年前に複数の移住者が自家製の大豆で試作したのが始まりで、「当初は本州の知人らに送っていたが、結構美味しく仕上がったので、会社を興そうかという話になった」と、1年前に横浜から移住してきた総務・経理担当の川本さんは話す。
大豆の作付面積は20アールに上がる。営業マンや技術者など職歴も様々な社員の中になぜか食品加工に詳しいメンバーがおらず、試行錯誤しながら主力の「熊笹味噌」など商品数を増やしてきた。
洞爺湖畔の「道の駅とうや湖」、「洞爺水の駅」、札幌の「らる畑」などで買えるほか、同社サイトでも注文できる。
【くりりんかぼちゃパイ】
函館の菓子製造会社・吉田食品が「地元素材にこだわった名物菓子を造りたい」と、昨年7月から販売を始めた。濃厚な甘さが特徴のカボチャ餡と、パイ生地のサクサク感が絶妙だ。
カボチャは渡島管内森町の、みよい農園で有機栽培された「くりりん」を使う。約2年前に「くりりん」と出会った吉田社長は「糖度が約25度と、普通のカボチャの約2倍あるんです」と抜群の甘さを絶賛する。
この「くりりん」をペースト状にし、道産のバターや生クリームを混ぜてカボチャ餡を造る。
函館・南茅部産の真昆布を粉末化し、パイの生地に練り込んでいる。甘い菓子に昆布という一見ミスマッチな組み合わせだが、昆布のほのかな塩味が、カボチャの甘さを引き立てる役割も果たす。
販売開始から1年余りで、同社の売上の1割超を占める人気商品に成長した。「有機栽培や地元産ということから、母親が安心して子供に食べさせられる点も評価されているのでは」と吉田社長。
函館を訪れる観光客だけでなく、地元客からも愛される商品になっている。