道彦の散歩道

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毎日の事件事故の記録

01/26 市田柿

2014年01月26日 | 豆知識

「市田柿」は、長野県南部で栽培される柿の品種。果実から干し柿が作られる。
14世紀頃に現在の長野県下伊那郡高森町の旧市田村で盛んに栽培されていた事が語源。

『特徴』

実は比較的小振りで、生柿と、出来上がりの干し柿共に紡鐘状の形をしている。おなじ干し柿でも、あんぽ柿に比べると若干固めであり、串柿などに比べると柔らかめなのが特徴である。栄養価は特にポリフェノールが特筆して高く、同じドライフルーツの中でも100グラム中の含有量が250ミリグラムと干し葡萄に比べて約三倍弱である。

『ブランド』

地域団体商標「市田柿」を管理する市田柿ブランド推進協議会では「原料柿、製造地域共に飯田市・下伊那地方に限る」としている。他の干し柿ブランドとの違いとして原料柿の品種まで指定されていることが挙げられる。

かっては焼き柿として食され、1922年頃から「市田柿」の商標名を名乗り、当時の市田村壮年団が販売を試みているが、本格的に1950年頃から優良系統を選び、市田柿に適した栽培法、燻蒸法などが普及、戦後干し柿として商品化が進められた。現在では飯田、下伊那地域を中心に栽培され、2001年から2012年までの平均生産量は、原料柿で推定8577トン、加工済みの干し柿で2143トンに及ぶ。干し柿生産量では日本最大である。

『生育』

市田柿は頂部優勢が強く直立した形状になりやすい。樹高が高いと作業効率や安全性に支障が生じるため、栽培においては定植10年ほどで芯抜きを行い、主枝の発生位置を低くして樹高3.5メートル以下程度に保つことが多い。次郎柿などの甘柿とは違い、生で食すると口の中に収められないほどのタンニンが感じられる渋柿。果実は10月下旬から11月上旬にかけて熟し、一個あたりの重量は100グラムと小振りである。

人工的に手を加えて交配したものでなく、品種の中から優良な母木を選び広めたもののため、樹としては原種に近く、比較的病気に強いとされる。

『製法』

伝統的な従来製法から、機械化などが行われているが基本的には同じ製法が守られている。市田柿の商標がついて販売されている柿は、基本的に2004年に市田柿の商標を管理する生産販売団体が中心となって作成された衛生マニュアルに基づき管理が行われている。

『収穫』

果樹園にて黄色から橙色に実った所で収穫される。実は橙色になってもまだ固く渋い。収穫は果樹の「萼」の部分ねほぞとも言われる部分を残すように、また樹を痛めぬように、実っている方向と逆向きに転がすように回すとぽろりと取れる。収穫した果実は、2-3日のうちにすぐに加工されるか、あるいは0~2度、湿度90%に保たれた予冷庫に保管され加工される。

『皮むき』

ヘタの部分を残し、完全に皮をむく。現在は専用の全自動・半自動と呼ばれる機械を用いて加工されるが、戦後直後までは千重(せんかさ)と呼ばれる独特の刃物が用いられ、1980年代までは手回しの機械を用いて皮むきが行われていた。

現在は市田柿本体に針を挿し込まず固定し、より高品質な加工ができる吸引式の装置の普及が始まっており。2014年産から完全に針を使わない吸引式のみとする予定である。

『吊るし』

1.5メートル程の紐に吊るし「連」と呼ばれるものにする。古くは藁縄、戦中から戦後にかけてはタコ糸などが用いられてきたが、現在はナイロン製の専用の細い糸、あるいは、樹脂製のフックが付いた紐が使われる。

『燻蒸』

イオウにより燻蒸を施す。この二酸化硫黄燻蒸によって酸化を防止し、硬くなり過ぎずまたタンニンの硬化を防ぐ。なおイオウは燻蒸量も少なく、2週間にも及ぶ乾燥中に蒸発してしまうが、製法中の唯一の添加物として使用される。

『乾燥・粉だし』

縄に柿がぶら下がった「連」の状態で風通しの良い場所に吊るし乾燥させる。かっては「柿すだれ」と言われ、農家の軒下に紐で吊されたオレンジ色の柿を見ることが出来たが、現在では食品の衛生管理の観点から管理がなされた農業用ハウスなどで干されている。

10日~2週間程度、約半分ほどまでに干し上がり、渋が抜けた所で縄から外し及びヘタの部分を切り落とし、一つ一つ柿を確認する。その後寝かし込みと天日干しをし、柿もみ機と呼ばれる回転するドラムの中に柿を入れ、刺激を与えると、柿が白い粉を噴く。適正な干し上がりになるよう、また均一に粉が来るように寝かせ込み、天日干し、柿もみを繰り返して、精錬する。
全面に均一に粉が来た所で完成。その後選別・梱包などが行われる。

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01/25 イスラーム(イスラム)過激派

2014年01月25日 | 豆知識

「イスラーム過激派」とは、日本語においては、自分たちの理想をイスラームを使い理論化し、そのような社会の実現を図るために犯罪を行う戦闘的な組織を総称するために用いられる用語である。
日本を含め、国際的にはこうした組織は「イスラームの名を使用して主張を実現するために犯罪を実行する過激派」とみなされている。

『特色』

イスラーム過激派は、伝統的にはイスラームの理想とする国家・社会の在り方を政治的・社会的に実現しようとする運動であるイスラーム主義の中から生まれ、現代社会の中でイスラーム的な理想の実現にとって障害となっているものを暴力によって排除しようとする人々のことである。

エジプトのムスリム同胞団の理論家であったサイド・クトゥブの「イスラム教国の世俗化・西洋化・共産化を志向する指導者が統治し腐敗と圧制が蔓延する現世は、イスラム教成立以前のジャーヒリーヤ(無明時代)と同じであり、武力(暴力)を用いてもジハードにより真のイスラム国家の建設を目指さなければならない」というクトゥブ主義がイスラーム過激派の行動の原点となっている。

冷戦終結により共産主義を志向したソビエト連邦が消滅した結果、現在のイスラーム過激派の主たる排除対象となっているのは、ムスリムの土地を占拠するイスラエルや、イスラエルを支持したりイスラム教国で戦争を行うアメリカ合衆国を初めとする欧米諸国や、これらと結んだり妥協したりイスラム教の世俗化を志向する「背教者」と認定されたムスリム政権である。

一切の世俗的な価値観を認めない急進的なイスラム主義(イスラム原理主義・イスラム過激派)は、世俗的な価値観と妥協して国家の発展を目指すムスリムの政権にとっても危険であり、特にクトゥブ主義の発祥の地であるエジプトでは歴代政権によりイスラーム過激派に対して法的根拠のない拷問や処刑等の苛酷な弾圧が加えられ、その度に世界各地に過激派が拡散し尖鋭化する悪循環を繰り返している。

彼らは、個々人が結合した団体を組織するが、最近の傾向として「草の根テロリズム」という言葉が使われるように、プロデューサー、ディレクター、テクニカルアシスタント、リクルーター、ソルジャーなどの役割ごとの緩やかなネットワークで結ばれた人々からなっていると分析されており、こうした人々は中東のイスラーム社会のみならず、欧米まで含めた世界中に存在するムスリムの中に溶け込んで活動していると考えられている。

現在、ムスリムの社会の間では、個々人や地域によって程度の多少はあるものの、反アメリカ、反シオニズム(反ユダヤ主義とは必ずしもイコールではない)などの漫然とした感情があるとされ、分析者たちは過激派はこうした感情を背景に居住地域に浸透していると見ている。

最近では、ヨーロッパに住んでいたキリスト教徒のヨーロッパ人が、改宗してイスラーム過激派に参入するというケースも少なくない。ドイツの連邦憲法擁護庁によると、ドイツ人・ドイツ移民合わせて約250人が、海外のテロリストキャンプで軍事訓練を受け、その一部はドイツに戻っているという。

イスラム過激派を詳しく見てみると、近代化した国を中心としたものと近代化していない国を中心としたものに分けることができる。
前者はインターネットなどの通信手段を自らの思想を広めるため積極的に用いるのに対し、後者はターリバンのように近代文明全てを「西洋」由来のものとして憎悪・拒否するという相違点がある(ただし、ターリバンは政権掌握時にラジオを唯一のメディアとして活用しており、処刑に拳銃を用いていた)。

『イスラーム過激派とイスラム原理主義』

「イスラーム過激派」は、日本では「イスラム原理主義過激派」という呼称がなされることもある。

「イスラム原理主義」とは、イスラーム共同体を預言者ムハンマドが共同体を創設した時代の原初の理想的な姿に回帰させることを志向する様々な運動や主義主張を、その人権侵害性などを理由に批判的に捕らえた用語である。

多くの国々、とりわけ非イスラーム圏では「イスラーム過激派」は「イスラム原理主義の過激派」であるという理解が一般的に広く浸透している。一方、親イスラーム的な研究者や保守的ムスリムの間には「イスラム原理主義」と「過激派」が結び付けられることにより、「イスラーム原理主義」と過激思想が本質的に結び付いたものとみなされることに対する批判的な見方があり、「イスラーム過激派」と「イスラム原理主義」を激しく弁別する考え方がある。また、イスラーム主義の中でも、詳細な区別が行われるようになり、サラフィー主義と呼ばれる系統もある。

こうした言説の背景には、過激派の活動はイスラーム上根拠がないという主張がある。コーランでは正当な位置づけのない殺戮は、大義のない犯罪であると禁止されているとする。また、エジプトやトルコなど、無差別のテロが穏健なムスリムの間にも犠牲者を出した例も少なからずあり、多くの敬虔なムスリムは過激派をテロリストとみなして異端視しているとよく言われるが、異端とする公式な宗教的宣言がなされたことはない。

一方、イスラーム社会の中では、反米・反イスラエル的感情の高まりを背景として、9.11等のアメリカやイスラエルを標的とするテロに対する同情があることもしばしば報道されている。

『過激派の定義のブレ』

一般的にはイスラーム過激派の定義は上記の通りであるが、必ずしも暴力や戦闘を行うものが「過激派」、行わないものが「穏健派」と区別されているとは言い難く「過激派」の定義がブレる事がある。
例えば、日本の一部の有力紙はハマースを「過激派」、ファタハを「穏健派」と表現しているが、これは「イスラエルを和平交渉相手として認めるか否か」において「過激派(認める)」と「穏健派(認めない)」を区別しており、ファタハはハマースに対する抗争で暴力を用いていることからも暴力の使用が「過激派」の定義の基準になってていない。

『イスラム教』

「イスラム教」は、正式名をイスラームという。希にイスラーム教と呼ばれることもある。イスラム教とは、唯一絶対の神(アラビア語でアッラーフ)を信仰し、神が最後の預言者たるムハマンド(預言者)を通じて人々に下したとされるクルアーン(コーラン)の教えを信じ、従う一信教である。

ユダヤ教やキリスト教と同様にアブラハムの宗教の系譜に連なる唯一信教で、偶像崇拝を徹底的に排除し、神への奉仕を重んじ、信徒同士の相互扶助関係や一体感を重んじる点に大きな特色があるとされる。

『ムスリム』

「ムスリム(アラビア語)」は、「神に帰依する者」を意味するアラビア語で、イスラム教徒のことである。

キリスト教圏ではムハンマド教徒とも呼ばれ、日本でもかっては一部でこの語を用いた。女性形は「ムスリマ」だが、アラビア語社会以外では区別しない。
また、中世キリスト教世界では、イシュマエル人、カルモデア人、モーロ人、セラセン人などとあたかも民族集団でもあるかのような名称でも呼ばれた。

ムスリムになるためには、証人となるムスリムの前で信仰告白の手続きを取ることが必要である。ムスリムは神(アッラーフ)を常に身近に感じるように、五行を実践することが建前である。父親がムスリムである者は自動的にムスリムとなるとされている。


01/23 エゾスズラン(完)

2014年01月23日 | 豆知識

【エゾスズラン】

「エゾスズラン」は、ラン科カキラン属の多年草。別名アオスズラン。

『特徴』

根茎は短い。茎は直立し、高さ30-60センチになり、全体に褐色の短い縮毛が生える。葉は5-7個が互生し、楕円状卵形になり、長さ7-12センチ、幅2-4センチ、先端は鋭く尖り、基部は茎を抱く。葉に縦ひだがあり、細毛があるためザラつき感がある。

花期は7-8月。茎の上部に20-30個の緑色の花を総状花序につけ、下方から開花していく。苞は葉質で、長さは花と同じ長さか少し短い。萼片は長さ9-12センチの狭長卵形で、先端は鈍頭。側花弁は萼片より短い卵形。唇弁は卵状披針形になり、花弁と同長で白く、唇弁の前部は三角形、唇弁の後部は袋状になり、内面は暗褐色になる。

『分布と生育環境』

日本では、北海道、本州、四国、九州に分布し、亜高山帯の高木林下に生育する。国外では、南千島、カムチャッカ、樺太、朝鮮、ウスリー、中国北東部に分布する。

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【スズラン】

「スズラン」は、スズラン亜科スズラン属の多年草の1種。狭義にはその中の一変種を指す。君影草、谷間の姫百合の別名もある。

『毒性』

強心配糖体のコンバラキトシン、コンバラマリン、コンバロシドなどを含む有毒植物。有毒物質は全草に持つが、特に花や根に多く含まれる。摂取した場合、嘔吐、頭痛、目眩、心不全、血圧低下、心臓麻痺などの諸症状を起こし、重症の場合は死に至る。

北海道などで山菜として珍重されるギョウジャニンニクと外見が似ていることもあり、誤って摂取し中毒症状を起こす例が見られる。スズランを活けた水を飲んでも中毒を起こすことがあり、これらを誤飲して死亡した例もある。

『種類』

スズラン属の日本在来種C,m,var,keiskeiのみであり、本州中部以北、東北、北海道の高地に多く自生する。北海道を代表する花として知られる。花には強い芳香がある。

観賞用に栽培されているものの多くはヨーロッパ原産のドイツスズランである。日本に野生するスズランと比べると大型で、花の香りが強い。またスズランの花茎が葉より短いのに比べ、ドイツスズランは花茎が葉と同じ長さかそれ以上に伸びる。花色は白が普通だが桃、紅などもあり、葉に斑の入った品種もある。

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01/22 トキソウ

2014年01月22日 | 豆知識

「トキソウ」は、ラン科トキソウ属の多年草。

『特徴』

地下に横に這う根茎がある。所々から地上に茎を立て、花茎の高さは10-30センチになる。葉の形は披針形または線状長楕円形で長さ4-10センチ、幅7-12センチになり、一茎に一枚のみつける。

花期は5-7月、茎頂きに紅紫色の花を一個つける。和名は花の色のトキの翼の色であるトキ色に似ていることに由来する。萼片の長さは1.5ー2.5センチで長楕状、長形披針、側花弁は萼片より短く狭長楕円形、唇弁は側花弁より長く先端が3裂する。唇弁の中裂片は大きく、内側に肉質の毛状突起が密生する。花は横を向き、大きく開かない。

『分布と生育環境』

東アジアの中国、千島列島、朝鮮半島、日本に分布する。
日本では北海道、本州に自生し、四国、九州では希にみられる。日本各地の日当たりのよい原野、湿地に生える。栽培目的の乱獲により、日本各地で非常に少なくなっている。

『種の保全状況評価』

日本では環境省によりレットリストの絶滅危惧種の指定を受けている。各都道府県で、レッドリストの指定を受けている。

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01/21 シュンラン

2014年01月21日 | 豆知識

「シュンラン」は、単子葉植物ラン科シュンラン族のランで、土壌中に根を広げる地生蘭の代表的なものである。名称の由来は「春蘭」で、春に咲くことから。

『形態・生態』

葉は地表から出る根出葉で、細長く、薄いが固く、根元から立ち上がり、曲線を描いて下に向かう。細かい鋸歯があってざらつく。茎は球形に縮まった小型の偽球茎になり、匍匐茎はなく新しい偽球茎は古い偽球茎の根元から出て株立ちになる。根は太くて長い。

花は3-4月にな咲く。前年の偽球茎の根元から出て、葉の陰の茎を伸ばし、その先端に花が1個つくが、希に2-3個つくこともある。花茎は薄膜状の鱗片にゆるく包まれる。花は横を向いて咲き、萼片と側花弁は倒披針形、黄緑か緑でつやがあり、やや肉質。萼片は広がって3角形の頂点を作り、側花弁は髄柱を囲うように互いに寄り合う。唇弁は基部は髄柱の下に受ける溝のようで、縦にひだがあり、その先は前に面を向けて広がり、先端は後ろに巻き込む。普通種の色は白色で、濃赤紫の斑紋が入る。

果実は防鐘形をしており、熟すると茎が伸びて葉の上に出て、上に向いて直立する。種子は極めて小さい。

『栽培』

ラン科の植物の種子は発芽に際して周囲の環境から適合する菌類の菌糸を呼び込み、これから成長に必要な栄養素を得るが、シュンランの実生はそのままかなりの大きなになるまで長期間、ショウガの根茎によく似た姿で腐生植物的な地下生活を送ることが知られている。このような性質は寒冷地に適応する過程で獲得されたものだとも言われており、温帯産のシュラン属の多くが同様に生長する。熱帯性のシンビデュームでは地下生活の時期はなく、地表で発芽してすぐに発葉する。

なお、温帯性シュラン属の完熟種子には強い揮発性があり、洋ランと同様の手法で無菌培養地に播いてもほとんど発芽しない。発芽しても実生苗は培地にもぐり込んだ地下生活状態のままで何年も留まる。

近年までこれらの培養特性がわかさっていなかったこと、育苗に長い年月を要すること、その他の商業的事情があり、現在でも交配育種による園芸化はあまり進んでいない。園芸品として流通しているものは、野生採取個体が主流である。

ただし、近年は人工交配苗の流通量が増えてきており、人工交配苗も園芸ジャンルの日本春蘭として認める方向に動きつつある。韓国や中国で量産された人工増殖苗も相当量が輸入されているが、流通実態が公表されていないため詳細は不明。

その野趣、素朴さを好まれて、野生品を日本庭園などで栽培することがある。また、東洋ランのひとつ、日本春蘭としては、普通種と異なった特徴を持つ選別された個体に名前をつけて栽培する。花物にも柄物にも多くの品種がある。中国のよく似たものを中国春蘭と言い、古典園芸植物としてはむしろこちらが先輩格である。これらは別種とされたこともあるが、現在では本種に含める。他にイトランも本種とされる。

山菜としても用いられ、花を採り、茹でて酢の物などとする。あるいは塩漬けにしてお茶として用いる。

『分布』

日本各地によく見られる野生蘭の1種である。山草や東洋ランとして観賞用に栽培されることも多い。国外では中国にも分布する。

 

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01/20 エビネ

2014年01月20日 | 豆知識

「エビネ」は、ラン科エビネ属の多年草。地上性のランである。ジエビネ、ヤブエビネと呼ばれることもある。

『分布』

日本、朝鮮半島南部、中国の江蘇省、貴州省に分布する。日本では北海道西南部から沖縄県までに分布する。

『形態』

球茎は広卵状、球状で長さ、径ともに約2センチ。古い球茎は時に10年以上残り、地表近くに連なる。和名はこの形をエビに見立てたことに由来する。
直径2-3ミリの根を多数生じる。秋には翌年の新芽を生じ、冬までに少し生長してから越冬する。葉は2-3枚つき、薄く、形は長楕円形から倒卵状披針形で先は尖り、縦に5本の脈がある。基部は細い葉柄になる。冬を越すと横状するが、数年間は枯れずに残る。

花は春咲で、新芽の展葉とともに高さ30-30センチの花茎を伸長させる。花茎の半ばより上に多数の花をつける。花はほぼ横向きに平開する。萼片は狭卵型、側花弁は倒卵状披針形、ともに先に尖る。唇片は3つに避け、左右の裂片が広い。中央の裂片には縦に3本の隆起線があり、先は板条に立ち上がる。唇片の基部は深くくぼんで後ろに突出し、長さ8-10センチの距となる。花期は4-5月。

『変異・変種』

花の色は変異が多い。萼片と側花弁は赤褐色、褐色、黄褐色、緑など。唇片は白または薄紫紅色。花の色に基づいてアカエビネ、ダイダイエビネなどの品種を認めることがある。

『利用など』

鉢栽培・園芸植栽用に販売される。一般には栽培が困難な植物とされていになが、春咲き系のエビネ属は栽培中にさまざまな植物ウイルスが容易に感染し、あるいは栽培下への移行によって植物内ウイルス濃度が上昇する。ウイルス量の増加した個体は、葉の落蕾、花の変形などの諸症状が出現し観賞価値が著しく低下する。ジエビネが栽培下で長期にわたってウイルス感染を発症せずに栽培できる事例は稀で、同一個体が栄養繁殖により増殖普及した例はほとんどない。

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01/19 サイハイラン

2014年01月19日 | 豆知識

「サイハイラン」は、ラン科サイハイラン属の多年草。

『特徴』

偽球茎は卵形。偽球茎の頂部につく越冬性の葉は狭楕円形で革質、長さ15-35センチ、幅3-5センチで先端は尖る。普通1葉がつく。葉の基部は鞘状になった茎を抱く。

花茎は直立し、高さ30-50センチになる。花期は5-6月で、淡紫褐色の花を総状花序に10-20花を下向きにつける。萼片と側花弁は線状披針形で長さ3-3.5センチ、幅4-5ミリ、唇弁は長さ3センチで紅紫色になる。

『分布と生育環境』

日本では南千島、北海道、本州、四国、九州に分布し、山地の林床に自生する。アジアでは樺太南部、朝鮮南部、中国(本土および台湾)、ヒマラヤに分布する。

和名(采配蘭)の由来は、花序の様子を戦場で指揮官が兵を指揮する采配に見立てたもの。

『栽培』

長期栽培や移植が難しい植物として知られる。採取・移植直後は偽鱗茎に蓄積された養分で順調に発育し、開花もする。しかし、新しい偽鱗茎が肥大不良となり、多くの場合は数年で養分の蓄積が枯渇し衰弱枯死する。

これは本種が光合成のみでは自活することができず、土中の共生菌からの養分提供に強く依存する混合栄養性の植物であるためと推測されている。本種の菌依存度がどの程度であるかは十分に研究されていないが、ヨーロッパ産の混合栄養種では、炭素源の約50%が共生菌から供給されている。

本種には「素心」や斑入り、「銀葉」と呼ばれる葉色紫色変異など、数多くの変異固体が発見されており、栽培も試みられている。しかし、それらが栽培下で増殖に成功した事例は報告されていない。無菌播種はエビネ類に準じた培地・技法で可能だが、培養容器から出して開花株まで育成した報告は、研究・営利・趣味、いずれの分野においても確認できない。

園芸店などで販売品が見られるが、すべて野生株採集個体であり、消費的に栽培と推定される。

『保護』

開発や園芸目的の採集で個体数は減少傾向にあり、埼玉県・千葉県てだ絶滅危惧Ⅱ類、群馬・山梨・奈良・鹿児島各県で準絶滅危惧種に指定されている。栽培技術・移植技術ともに未確立であるため、現在のところ自生地保護以外に効果的な保護対策はない。

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01/18 ショウキラン

2014年01月18日 | 豆知識

「ショウキラン」は、ラン科ショウキラン属の多年草。葉緑体を持たず菌類に寄生する腐生植物。なお、ヒガンバナ属のショウキズイセンの別名でもある。

『生態』

通年地下茎の形で成育し、7-8月の花期のみ花茎を地上に伸ばし、花を咲かせる。花茎の高さは10-25センチであり、鱗片状の葉を持つが目立たないので、地表から唐突に花茎だけが生えた姿に見える。
花は美しいピンク色をしており、1週間程度で黒くしおれる。腐生植物であり、光合成を行わず、菌根を形成し、共生により栄養を得ている。

腐生植物のラン科は数多いが、多くは黒っぽい褐色、あるいは白っぽいものであり、このように華やかな色のものは珍しい。別の意味で派手なものにツチアケビがある。

『分布と成育環境』

北海道西南部、本州、四国、九州、屋久島に広く分布し、山地の比較的日当たりが悪い場所に生育する。大分県や山口県ほか数県でレッドデーターブックの絶滅危惧種に指定されている。

『近縁種及び別属の類似種』

近縁種に、キバナノショウキラン、シナノショウキランがあるが、共に絶滅危惧種に指定され、個体数は少ない。この属の人工栽培のためにはラン菌根菌との共生状態を作る必要があり、キバナショウキランにおいて研究がかって行われた。

類似した名を持つものに、エンレイショウキラン、タイワンショウキランがあるが、別属であり、腐生植物ではない。

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01/17 ツチアケビ

2014年01月17日 | 豆知識

「ツチアケビ」は、森林内に生育するラン科植物である。ラン科植物として、また腐生植物としては非常に草丈が高く、大きな真っ赤な果実がつくので、大変人目を引く植物である。日本固有種。別名ヤマシャクジョウ。

『外見』

地上部には葉などは無く、地面から鮮やかな黄色の花茎が伸び、高さ1メートルに達する。秋になると花茎の上部に果実がつき、熟すると長さが10センチにもなり、茎を含めて全体が真っ赤になる。まとまって発生することがよくある。

和名は地面から生えるアケビの意であると考えられるが、果実は熟しても烈開せず、形状以外はさほど似ていない。果実にはかなりの糖分が含まれ、動物が摂食して種子を散布している可能性もある。人間にもかすかな甘味は感じられるが、タンニンが多量に含まれ、化学薬品のような強烈な異臭と苦味もあり、食用にはならない。民間では「土通草」と呼ばれて強壮・強精薬とされ、あるいは薬用酒の材料にもされるが、薬用効果については正式な報告はほとんどない。

『特徴』

光合成を行う葉を持たず、養分の全てを共生菌に依存している。ナラタケとラン菌根を形成し、栄養的には寄生している。地下には太い地下茎があって、長く横に這う。地下茎には鱗片状の葉がついている。

初夏には花茎を地上に伸ばす。花茎は高さ50-100センチに達し、全体が黄色で、鱗片葉はほとんど見られない。あちこちに枝を出して複総状花序となり、枝の先端に花を咲かせるる花きは3センチ近くになりかなり大型で、全体にクリーム色で肉厚である。

果実は秋に熟成する。果実は楕円形、多肉質で、熟するにつれて重く垂れ下がり、多数のウインナーソーセージをぶら下げたような姿になる。果実は肉質で液果で゜ある。その点でバニラなどと共通しており、これらはやや近縁とも言われる。

腐生ラン類は非常に生育環境が限定されるものが多いが、ツチアケビは森林内であれば比較的どこにでも出現し、スギやヒノキの人工林等でも見かけることがある。

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01/16 コウトウシラン

2014年01月17日 | 豆知識

「コウトウシラン」は、アジアの熱帯地域に広く分布する常緑生の地生ラン。ハワイなど各地で栽培品が野生化(栽培逸出)したものがみられ、本来の分布域はわかりにくくなっている。日本国内では八重山諸島に自生。沖縄本島でも見つかっているが、栽培逸出の可能性が高いと言われている。

和名の紅頭紫蘭は、現在の台湾紅頭嶼あるいは蘭嶼島に産し、シランに似ていることから。

『特徴』

明るい草地に生え、道路沿いの法面など人工的な環境にも種子が飛び込んで生育している場合がある。八重山では道端などにも見かけることがある。

草姿はシランと良く似ているが別属で、交配は出来ないようである。葉は4枚前後で縦ヒダが目立ち、シランより細長い。シランの偽球茎は地下にあるが、本種では地上に偽球茎がある。花茎は上に伸びあがり、先端に花が比較的まとまって咲く。草丈は50センチ前後、熱帯域では1メートル近くに達することもある。花径は3センチ前後。
花色は通常は淡紅色、花色もシランによく似ている。しかし、属が違い、花の形は大きく異なる。細長い花弁が比較的揃っているシランに比べ、コウトウシランの花弁は幅広く、花形も大きく開く。また、唇弁も短く、その基部に一対の黄色い突起がある。

園芸選別固体では白色花や濃色花もある。熱帯域では1年を通じて咲く。1つの花は1日から数日以内で萎むが、次々と長期にわたって開花する。開花後に自然結実がみられ、咲いている花茎の下の方で、果実が鈴なりになっていることも珍しくない。

『栽培』

熱帯域ではしばしば庭園に植栽される。高温下ではきわめて丈夫な植物で、日本本土におけるシランと同様、庭植の粗放栽培に耐える。種子もシランと同様に発芽しやすく、前述のように、風で散布された種子から市街地近郊で野生化するほどである。

ただし、低温には極端に弱い。本来、1年を通じて成長し続ける植物で、低温により長期にわたって生育が止まると、後日に気温が高くなっても生長を再開せず、衰弱死することがある。安定した生育を望むなら冬期にも十分な光量を維持し、摂氏20-25度以上を保つことが望ましい。一般論としては温帯域以北の一般家庭での栽培には不向きな植物と言える。

『近縁種』

同属のランは40種前後。日本以外では、それらと本種の交配によりオレンジ、ピンク、複色花など多彩な園芸種が作出されている。そのような園芸種は、沖縄県なとでは希に販売されたこともあるが、高温性であるため、日本本土ではほとんど普及していない。

中国産の苞舌蘭など、数種は冬期に落葉冬眠し、日本本土でも室内、あるいは一般的な温室内保護で越冬できる。しかし、花茎が長く伸び上がり草姿が纏まりに欠けること、シランに似ていて珍奇さが感じられないこともあってか、ランの愛好家にはあまり人気がない。そのため、高温性種と交配して耐寒園芸群を育成する、という試みもほとんどなされていない。

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01/15 シラン

2014年01月15日 | 豆知識

「シラン」は、ラン科シラン属の宿根草。地生ランで、日向の草原などに自生する。

『形態・生態』

地下にある偽球茎は丸く平らで、前年以前の古い偽球茎がいくつもつながっている。
葉は、最も新しい偽球茎から根出状に3枚から5枚程度出て、幅の広い長楕円形で、薄いが堅く、表面にはたくさんの縦筋が並んでいる。

花期は4月から5月。花は紫紅色で、30ー50センチ程度の花茎の先に数個つく。花弁は細長く、あまり開ききらないような感じに咲く。観賞用に、花の色が白色のもの、斑入りのもの、淡色花、花弁が唇弁化した「三蝶咲き」などがある。

『分布』

日本、台湾、中国原産。野生のものは準絶滅危惧種。しかし栽培品として広く普及しており、種子が飛散して栽培逸出することもあるため、野生状態のものも本来の自生個体かどうか判別は難しい。

『人間との関わり』

ラン科植物には珍しく、日向の畑土でも栽培可能なので、観賞用として庭に植えられる。極めて丈夫な植物で、半日陰から日向まで適応し、乾燥にも過湿にもよく耐え、栽培しやすい。
ラン科の植物の種子は一般的に特別な条件が無いと発芽しないものが多いが、本種の種子はラン科として異例に発芽しやすく、普通に鉢に播くだけで苗を得られる場合がある。
無菌播種であれば水に糖類を添加しただけの単純な培養液上でもほぼ100%近い発芽率を示し、苗の育成も容易なので、しばしば無菌播種の練習に使用される。

偽球茎は白及(びゃくきゅう)と呼ばれ、漢方薬として止血や痛み止め、慢性胃炎に用いられる。
しばしば英語圏では「死人の指」と呼ばれると言及されるが、それは英語のlong purpieのことで、実際にはエゾミソハギを指している。これはシェイクスピアの著名な戯曲「ハムレット」に登場する台詞を明治時代に翻訳した際の誤訳に基づくものと考えられる。

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01/14 リンコレリア・ディグビアナ

2014年01月14日 | 豆知識

「リンコレリア・ディグビアナ」は、ラン科植物の1種。大きく広がった唇弁の縁が細かく裂ける。洋ランとして、またカトレア類の交配親としても重視される。かってはブラッサボラ属とした。

『特徴』

多年生の着生植物。全体にカトレアに似ていて、匍匐茎と偽球茎を持つ。偽球茎は長楕円状紡鐘形で高さは15センチくらいになる。先端に葉を一枚つける。葉は多肉で革質、長さ10-20センチでやや扁平、先端は丸い。

開花期は春から夏。花は偽球茎の先端から伸びる花茎の先に出て、花茎は長さ5センチほどで、花はその先端に一つだけ生じる。花径は10-15センチほどで、萼片と花弁は淡黄緑色、唇弁はより白っぽい。花弁と萼片は細長く、萼片は舌型から楕円状披針形、花弁は楕円状倒披針形。
唇弁は基部が筒状になり、先端は大きく広がる。形としては大きく三裂しており、倒裂片の基部が髄柱を抱き、その前方部分と中裂片が大きく広がる部分となる。その縁は細かな糸状に裂け、極めて独特の様子を見せる。夜間に強い芳香を放つ。
なお、同属の別種にはグラウカがある。葉姿と花形は似ているが、やや大柄で、唇弁の縁は波打つもののなめらかとなっている。

『分布と生育環境』

ホンジュラス、ユカタン半島に分布する。低地で日当たりのよい岩の上や樹幹に着生して生育する。

『利用』

洋ランとして栽培される。独特の花形と香りのために評価は高い。

だがそれ以上に交配親として重要で、カトレア類においてより唇弁が大きく広がる花の作出を目指して多用されてきた。かってはブラッサボラ属としていため、この種の交配親としたものは、たとえばカトレア属との交雑種はブラソカトレア属とした。これに当たる最初の種は1889年にサンダーリストに登録された。これに含まれたものは、そもそもカトレア属に本種の「美しい唇弁の性質を導入することにあった」のである。

なお、この組合せは、現在では本種の属が変更になったためにリンコレリオカトレア属となる。ちなみに唇弁は大きくなり、その縁には細かいフリル状の襞が生じる例が多い。本種のように細かく裂ける形になる例はごく少ない。

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01/13 リカステ

2014年01月13日 | 豆知識

「リカステ」は、ラン科植物の一つ。大きな偽球茎に大きな葉をつけ、多くはシュランに似た大きな花をっける。

『概説』

「リカステ」は、大きな偽球茎の先端に幅広い大きな花をっける。つけるランで、花は三角に整った形のものが多い。側花弁が慈柱に寄り添い、唇弁も基部は慈柱に平行し、先端が前に広がるものが多く、見た目でシュンランを思わせる、落葉性の種では葉が落ちた偽球茎に花をつける。

観賞価値の高い洋ランとして知られるものも多い。学名はトロイの最後の王プリアモスの娘で美人だったLycasteに由来する。南米高地に産するものが多く、そのようなものは夏の暑さ弱いクールタイプといわれる。

『特徴』

多年生草本で、着生種と岩の上に出るもの、地上種がある。偽球茎は大きく発達し、扁平な卵形で互いに接して生じる。葉は広披針形で幅広く、縦皺が多数有り、偽球茎の先端から2-4枚生じる。落葉性の種が多く、それらでは偽球茎が肥大した後に葉が枯れ、次に新芽が出る前に花が出る。なお、葉の落ちた後の偽球茎の先端部には棘が残り、怪我することがあるので切っておくように園芸書には書かれている。

花茎は偽球茎の基部から数本、あるいは多数出て、多くは立ち上がるが、ごく一部に垂れ下がるものがある。花は花茎の先端に一つつく。花は大きくて肉厚、色は桃色、黄色、緑色など様々。萼片三枚はほぼ同大でやや細長く、三方向に出るか側萼片はやや水平に伸びる。側花弁も細長い形で、前に突き出る慈柱を覆うように寄り添い、往々に先端が反る、唇弁の基部は慈柱の下に並び、その両側面は上に曲がって慈柱の下に回廊を造る。先端は反り返ってやや広がる。

メキシコからボリビアに分布する。高地に産するものが多い。分類は約35種が知られる。

『利用』

花が美しい洋ランとして栽培される。ただし、高地産のものは夏の暑さに弱いクールタイプであり、日本中部以南の平地では夏越しに困難がある。また、葉が大柄なので扱いに難がある。

「リカステ・スキンネリ」は白から桃紫の大輪花であるうえ、萼片三枚がほぼ正三角形に整った名花で、三菱ランと呼ばれたこともある。

「リカステ・アロマティカ」は小型の黄色い花を多数つけ、また、この種では珍しく芳香が強い。その香りは香辛料的で、ニッキに似ている。

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01/12 マスデバリア・ストロベリイ

2014年01月12日 | 豆知識

「マスデバリア・ストロベリイ」は、ラン科植物の1種。小柄で、黄色い花を付ける。洋ランとして栽培される。

『特徴』

小型の多年生着生植物。根茎は短く、多数の葉を密生する。葉は長さ4-8センチ、線状楕円形で扁平、やや硬い。

冬に花を付ける。花茎は3-6センチで一株から多数出る。花は花茎の先端に一つだけつく。花茎はやや立ち上がって先端は斜めに伸び、花は横を向いて開く。

花冠は長さ5センチ、径7センチ程度で、萼のみがよく発達し、花弁はごく小さい。萼片は基部に癒合して筒状で、先端に向かって開く。色は全体に黄色く、開いた先端部はやや白っぽい。背萼片の先端部は三角で後ろ向きに反り返り、先端は長い尾状になって後ろに伸びる。
側萼片は左右融合し、やはり三角で背萼片よりやや大きく、先端はやはり尾状に伸びて後ろに曲がる。また、内側には白い毛状の突起が一面にある。花弁はいずれも萼片の筒上部の奥にあって目立たない。側花弁は長方形で白く、唇弁は先端が倒卵形でやや白い。

『分布と生育環境』

エクアドル南部、サモラ・チンチペの標高1400-1700付近に分布。疎林で樹木に着生している。

『利用』

花を観賞するために洋ランとして栽培される。この属のものは熱帯域でも標高の高いところに生育するものが多く、日本では往々に夏の暑さに負けて枯死する。その点、この種は比較的だが低標高のものであり、たとえばコッキネア等よりは栽培が容易である。
なお、交配親としても使用されており、ビーチアナとの交配品はエンジェル・フロストの名で呼ばれる。本種の特徴である萼片内面の毛状突起を受け継ぎ、ビーチアナの赤を受け継いで花色より鮮やかである。また、この交配品種が交配親として定評があり、さらに多くの交配品種が作出されている。

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01/11 ブラッサボラ・ノドサ

2014年01月11日 | 豆知識

「ブラッサボラ・ノドサ」は、ラン科植物の1種。細い花弁と先の広がった唇弁を持つ美しい花を付ける。洋ランとして栽培され、またカトレア類の交配親としても重視される。

『特徴』

多年生の着生植物。匍匐茎と偽鱗茎を持つ。偽鱗茎は細長い円筒形で長さ3-15センチ、立ち気味に出る。葉は偽鱗茎の先端に一つだけ付き、線状披針形。長さ15-30センチだが、葉幅は2-3センチしかなく、厚みがあって硬い。表面は溝状にくぼむ。

花は秋に咲き、偽鱗茎の先端から出る20センチほどの花茎の上に1-6個つく。花は径8センチ程度。萼片と側花弁は線状で先細り、緩やかに曲り、黄緑色。唇弁は白で、基部は髄柱を包んで筒状に巻き込み、その先で急に大きく広がってハート形。先端はやや尖る。花には芳香りがあり、特に夜間に芳香を放つ。

『分布と利用』

中央アメリカ、メキシコからパナマ、ベネズエラの標高500メートル以下の地域に分布。

洋ランとして栽培される。独特の花形に評判が高く、また夜間に芳香を放つことから欧米では「夜の貴婦人」と呼ばれている。
また、カトレア系交配種の交配親としても重視される。カトレア属との交配品はブラッソカトレアとなる。特にこの種との交配品は独特の花形を受け継いだものが多く、細い花弁と先で急に大きく広がった唇弁が特徴となる。それらは往々にノドサ系といわれる。

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