細野豪志ブログ

衆議院議員 細野豪志の活動報告です

信用市場(credit market)は収縮するか

2007-08-13 00:00:51 | 国会活動
先週は、株価が大きく下げました。念のため指摘しておくと、「民主党が勝った」(選挙前に、某大臣が指摘していた)ことが原因ではなく、米国で発生したサブプライム・ローン(信用力の低い個人向け住宅融資)の破綻が、欧州、日本にも波及したことが原因です。

今のところ、今回の危機に対する評価は分かれています。私は、ここ数年、米国を中心に膨張を続け、世界経済を牽引してきた信用市場の健全性に疑問を大いに持っています。

住宅購入後、3年経つと大幅に金利が上がるサブプライム・ローンは、住宅の急激な値上がりを前提としています。米国では住宅市場が急速に冷え込んでおり、サブプライム・ローンの破綻は今後、加速する可能性があります。この構造は、日本のバブル経済に酷似しています。

より事態が深刻なのは、証券化の進展や、金融工学の発達(レバレッジの増大)によって、信用市場が拡大し、国際的な金融機関の連鎖破綻が生じる可能性があることです(そうならないことを祈りますが)。各国の中銀が協調して資金供給に走っているのは、危機感の現れです。

関係者に聞くと、日本の金融機関は、比較的、影響を受けにくいのではないかと言われているようです。賢明にも信用市場に過度に参入していないというよりは、証券化や金融工学において、欧米の金融機関に遅れを取ってきたというのが、国際的な評価のようです。


ただし、私は、少し違う見方をしています。問題は、信用市場をどう見るかということです。そもそも、信用市場での取引自体は、設備投資や個人消費など、経済の付加価値を生み出すものではなく、本来は、それをサポートする手段に過ぎません。近年の信用市場の膨張は、手段が目的化した感があります。

日本経済の力の源泉は、なんだかんだと言っても製造業です。信用市場の縮小は、日本経済に一時的にマイナスをもたらす可能性がありますが、経済の本質を見つめ直す機会になるかも知れません。

国内の経済政策も問われることになります。外需に過度に依存する景気回復は、本来、長続きしません。信用市場が収縮し、外需が冷え込むことになれば、非正規雇用の拡大、最低賃金の据え置きなど、個人所得を増やす努力を怠ってきたつけを我が国も払わされる可能性があります。

自民党が参議院選挙で実績として訴えた「成長」が本物かどうか、問われる時が間もなく来るかも知れません。


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