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佐藤多佳子『スローモーション』

2007-03-21 16:20:07 | ノンジャンル
 今日紹介する佐藤多佳子作品は「スローモーション」です。
 厳格な教師の父、心配性の母、22才で無職でだらしない兄、そして高校生で、遊び人の玲子のグループに入ってる私・柿本千佐。子供の頃から不良だった兄は、今は私の私生活を探って暇つぶしをしています。私が属する水泳部に及川という変人がいて、動きがスローで、めったに口をききません。玲子は最近超セレブなクラブで彼女を見たと言います。町に出て人の写真を撮り始めた兄は玲子を撮らせてほしいと言いますが、彼女を連れて行くと、兄は通りすがりの及川の写真ばかりを撮り、及川は「撮るな」と兄に一言言います。数日後、及川がついにいじめの対象になりそうになりますが、うまく切り抜けるも、その代わりに及川が落としたペンを拾ってやった私が玲子たちのいじめの対象になります。
 久しぶりに兄が帰って来ますが、父とケンカになりボコボコに殴られます。兄はカメラ2個と共にまた家出してしまい、母と私は行く先を探しますが見つからず、たまたま学食で及川がうちにいる、と言います。及川の一人暮らしの家に行って、兄に会いますが、私は兄が及川を壊してしまうんじゃないか、と心配します。及川に矢継ぎ早に質問をすると、彼女は笑い出し、それ以降私と及川は行動をともにするようになります。
 そんな折り、及川が学校に来なくなります。及川の家を訪ねると、彼女は単なるカゼでしたが、及川は、自分の父は噂の通り殺人犯で、自分もキレやすく、それを防ぐためにわざとスローに動くようにしている、と言います。及川はカゼが治っても不登校のままで、兄の不自由な足のリハビリの手伝いを始めます。ある日、担任と及川の保護者が及川の家に訪ねて来ますが、私と及川は逃げます。兄は家に戻り、リハビリのための資金を作るため、実の母親から今までにもらった物を売り、及川は保護者のもとに連れ戻されてしまう、という話です。
 最後はあまりハッピーエンドではありませんが、及川のキャラクターが魅力的で、一気に読みました。会話と独白(説明)の量がほどよくバランスが取れているのも、読みやすい一因かもしれません。しかし学校ものになると必ずイジメが出て来るのが悲しいですね。そういった点でも「一瞬の風になれ」は特異な小説だったと思います。

佐藤多佳子『黄色い目の魚』

2007-03-20 16:17:36 | ノンジャンル
 今日紹介する佐藤多佳子作品は「黄色い目の魚」です。
 1章「りんごの顔」は、10年ぶりに会った父と息子・木島は二人とも絵が好きで、リンゴのデッサンをしますが、その後顔のあるリンゴの悪夢にうなされる、という話。
 2章「黄色い目の魚」は、しょっちゅう怒っている私・村田とマンガ家でイラストレーターの伯父・進チャンとの交流と、学校でいじめに巻き込まれる話。
 3章「からっぽのバスタブ」は、高校生になった村田が中学でいじめられていた美和子に手紙を書き、美術の時間に木島に自分を描かれ、進チャンは村田が主人公のマンガを描き出すという話。
 4章「サブ・キーパー」は、木島がサッカー部の試合のデビューを果たし、村田をきちんとデッサンしたいという気持ちが高まるという話。
 5章「ファザー・コンプレックス」は、木島の妹の玲奈が40才の子持ちの男の所へ家出し、木島は主将とケンカしてサッカー部を休みます。しばらくして玲奈が心をボロボロにして帰って来て、木島は部活に戻り、メンバーの全員の顔を描こうと決心するという話。
 6章「オセロ・ゲーム」は、進チャンはサッカー部行きつけのスナックで働く似鳥を描いているところを村田に見られ、木島と村田は進チャンの個展を見た帰り、お互いに好きであることを告白しあいますが、木島は村田に似鳥と寝たことを言ってしまうという話。
 7章「七里ケ浜」は、木島はやっと村田に自分の絵を見てもらい、彼女はその絵を気に入り、二人が老人になるまで描き、描かれる関係でいようと約束するという話。
 以上があらすじです。章ごとに語り手は村田になったり、木島になったりします。絵の話なので、絵に興味のある人はより楽しめるでしょう。村田と木島の関係がなかなか進展していかないので、かなりイライラしながら読みました。木島がもっと積極的なタイプだと、もっと面白かったのでは、思います。きざでプライドが高い進チャンにも少し辟易しました。ということで、絵を実際に描く方、特にデッサンに興味のある方にはオススメです。

世界女子カーリング選手権

2007-03-19 16:32:38 | ノンジャンル
 今日の朝日新聞の夕刊に、東京・池袋の大勝軒が明日で閉店になる、という記事が載っていました。東京に住んでいる時、私も何度か行ったことがありますが、汚い店にもかかわらず開店前から長蛇の列で、列に並ぶ習慣のない私はかなり勇気を持って並びました。この店の特徴はとにかく量が多いということで、並みのつけめんを頼むと大盛りが出て来て、大盛りを頼むと超大盛りが出て来て、この超大盛りを残さず食べる人はほとんどいない、とのことでした。また、量が多いのを利用して、ここで昼食を済ませ、夕御飯は食べない、という人もいました。スープはギトギトの油がういたもので、いかにも健康に悪そうで、それほどおいしくなかったのですが、常連客の人たちはさぞかし嘆いている事でしょう。残念なニュースでした。

 さて、一昨日からNHK・BS1で世界女子カーリング選手権を見ています。始めは、本橋麻里選手見たさからだったのですが、見る競技としてもかなり面白いと思いました。素人の私が見て大体この辺がいいんじゃないか、と思うところとは全然違うところに投げたり、また狙ったところに行くかどうかドキドキして見守ったりと、知的にも精神的にも楽しめる競技です。一度ドイツ・チームがすばらいい一投で、不利な状態から逆転し2ポイント取ったシーンがあったのですが、スローモーションを一回見ただけでは、どういうふうにストーンが動いて行ったのか分かりませんでした。
 昨日のロシア戦は、これを決めれば勝てる最後の簡単な(解説者の人は簡単なようで難しい、とフォローしていましたが)一投をスキップの目黒さんがミスし、本人は自分のせいで勝てる試合を延長戦にしてしまったことでショックを受けてるのでは、と心配して見ていましたが、平然としてるんですよね。その精神力はすごいな、と思いました。試合は結局延長戦でも目黒さんがまたミスをして目の前にある勝利を逃してしまったのですが、果たして決勝リーグに進めるのでしょうか? (ちなみに、トリノオリンピックの時は、本橋選手の愛称はマリリンとのことでしたが、今回各選手にピンマイクがついているようで、目黒さんは本橋選手のことを「マリちゃん」と呼んでいました。)

佐藤多佳子『ハンサム・ガール』

2007-03-18 16:46:51 | ノンジャンル
 今日の佐藤多佳子作品は「ハンサム・ガール」です。女の子が男の子のリトル・リーグのチームに入って活躍する、という話です。
 柳二葉は、父が昔横浜ベイスターズの2軍選手だったので、幼い頃から父に野球を教えてもらいます。柳一家は男女の差別をしない家庭で、母が仕事をし、父が家事をしていて、たまにベビーシッターの仕事も頼まれたりする、「女のくせに」「男のくせに」という言葉は存在しない家庭です。幼馴染みの塩見クンがエースを務めるリトル・リーグのチーム「アリゲーターズ」はいいチームで、入団を塩見クンに一旦は断られますが、母に励まされ、監督に直訴し、入団を認めてもらいます。
 入団初日、女の子が入るということで、今までのメンバーは戸惑いを隠せません。そして初日からいきなりマウンドに立たされます。私はサウスポーの下手投げピッチャー。ボールは速くありませんがコントロールが絶妙で、楽に三者をアウトにします。私は父との練習だけでは習えなかった牽制のやり方、ファーストやホームのカバープレー、スクイズバントの処理などを覚えて行きます。他の選手は私の実力を認めつつ、女ということで反感を持ち続けます。そして新人戦、強豪マンボウズとの試合で、塩見クンはストライクが入らず、監督に私に交代するように言われますが、試合で投げた事もない私に交代するのを嫌がります。私は後続を抑えますが、翌日からチームの嫌われ者になります。しかし、監督は次の試合の先発を私にし、試合は味方のエラーが私にも伝染し、エラーやボークを連発して負け、次の試合でもミスを連発して負けます。私はそれ以来練習も試合もサボるようになりますが、シャドーピッチングをしているところを塩見クンに声をかけられ、チームに戻る気持ちがメラメラと起こります。合宿で皆と一緒に汗を流すことによってわだかまりも消え、父もコーチとして参加し、一年で最大の大会で以前に負けたマンボウズに、塩見クン、私の継投が決まって勝ちます。そして選手たちは打ち上げで喜びを爆発させる、という話です。
 これ以外にも、男社会で働く母の苦労話や、姉、多くの選手ら、たくさんの登場人物がからんできて、物語りを豊かなものにしています。スポーツで競う話なので、「一瞬の風になれ」の試合描写を思わせる部分も多々あります。スポーツ好きな人なら、楽しんで読めるのではないでしょうか? 終り方も微笑ましく、まだ読んでない方にはオススメです。


ジャック・クレイトン監督『回転』

2007-03-17 15:56:52 | ノンジャンル
 WOWOWでジャック・クレイトン監督の'61年作品「回転」を見ました。
 家庭教師のデボラ・カーは、二人の子供の世話をするために、大邸宅を訪れます。以前の家庭教師が死んでから、彼女が行くまで、兄は寄宿学校に入り、妹は家政婦に預けられていましたが、兄は他の生徒に悪影響を及ぼすとして退校処分になります。新たな家庭教師にすぐに子供たちはなつきますが、彼女は塔の上に男の人影を見、夜の窓の向こうにはこちらに近づいて来る男の顔を見、廊下では見知らぬ女性が横切るのを見、池では浅瀬に立つ女性の姿を見ます。
 家政婦に尋ねてみると、それは前にいた従者と家庭教師だと言いますが、家庭教師は従者に恋いこがれた結果、入水自殺をし、従者は階段から転げ落ちて死んだとも言います。
 幽霊の影に怯えながら、それらに対抗しようとする家庭教師は、兄を問いつめ、様々な邪悪な所行を教えたのが以前の従者であることを告白させますが、その瞬間に彼は絶命します。絶望に襲われる家庭教師を写しながら、映画は終ります。
 以前から、有名な恐怖映画として、この映画の名前を聞いていましたが、見てみればどうってこともない映画でした。白黒の画面は美しく、夜にろうそくの明かりだけで、古い邸宅の中を探索するところなども、少しドキドキしましたが、恐怖という点では物足りなさを感じました。主演のデボラ・カーもきれいな女優さんなのに、恐怖の表情が醜く、ミスキャストじゃないのかなあ、と思いました。デボラ・カーと言えば、「めぐり逢い」という素晴らしい映画があるので、もしまだ見ていない方がいらっしゃったら、そっちの方をオススメします。