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映画の授業

2007-03-26 16:38:43 | ノンジャンル
 「映画美学校の教室から」という副題の「映画の授業」という本の一部を読みました。読んだ動機は、以前にも書いたと思いますが、私が大学生の時、彼の初の自主映画の撮影に協力し、共に多くの映画を見た、今では「リング」の脚色をしたことで知られる高橋洋君の文章が載っている事、そして、やはり私が大学生だった頃、蓮實重彦氏が立教で授業をしていく中で生まれ、当時最も先端的な活動をしていたパロディアス・ユニティという映画集団があったのですが、その中でも私が一番好きだった万田邦敏さんの文章が読めることでした。
 はじめに黒澤清氏が「この世には絶対に正しい映画が存在する」と宣言し、ちょっと引きます。私は「人間が描かれていない映画は正しく無い」という持論をもっているので、強引にそこへ持って行きましたが、黒澤氏が何を考えているか、正確なところは分かりません。
 そして高橋君の「シナリオと映画」「プロットを立てる」「シナリオを書く」という文章があるのですが、読んでいて大学生時代に読んだ彼の文章を思い出すとともに、やっぱり今読んでも分からないところが多い、ということを再認識させられました。先日もフリッツ・ラングに関することでメールをやり取りしたのですが、考えてることのレベルが違うな、と感じました。何かちぐはぐな会話になってしまうんですよね。普段から映画のことしか考えていない彼の教養についていけないもどかしさを感じました。
 それから、万田邦敏氏の「私たちは映画の何を見ていないのか」(「ダーティーハリー」をめぐって)ですが、非常に分かりやすく、質問を発し、生徒に発言させ、実際はどうだったのか画面で検証していく、という、蓮實重彦氏も東大の映画ゼミで試みたこともある授業形態で、これなら出席している生徒も楽しく学べるだろうと思いました。私が大学生時代、万田さんの映画を見て感じた優しさが、この授業にも横溢しているようで、読んでて嬉しかったです。
 ということで、映画を作ることに興味のある方には、オススメの本でした。

ゴア氏の5時間の熱弁

2007-03-25 16:09:49 | ノンジャンル
 3月22日の朝日新聞の夕刊に「『地球は熱が出ている』ゴア氏 米議会で証言・温暖化対策訴え 熱弁5時間」と題する記事が載っていました。
 地球温暖化を防ぐための講演活動を続けるゴア米前副大統領(58)が21日、米上下両院の公聴会で証言し、「地球は(病気で)熱が出ている」と議会側に温暖化対策の実施を求めたそうです。ゴア氏が米議会に姿を見せたのは、副大統領として最後の公務を務めた01年1月以来6年ぶり。証言は5時間に及んだ、とのことです。
 ここで映画好きなら思い出すのはフランク・キャプラ監督ジェームズ・スチュアート主演の「スミス都へ行く」でしょう。純朴な正義感の強い田舎の青年が中央政界の腐敗した政治家に利用され、国会議員に担ぎ出されますが、実際国会で発言する機会を与えられた直前に利用されていたことに気付き、中央政界の腐敗を告発する演説を24時間に渡って行う、という映画です。
 ゴア氏も、温暖化まったなしの状況を知っているだけに、対応の遅いアメリカ政府に対して怒り心頭だったのだと思います。ゴア氏は二酸化炭素を「地球温暖化汚染物質」と呼び、「二酸化炭素の排出量をただちに現状凍結させ、50年までに90%削減する必要がある、と指摘し、「京都議定書が悪霊に取りつかれてしまっていることは、私も十分理解している。より強力な国際条約が必要だ」と述べたそうです。
 ただ悲しいのは、この公聴会出席を、米メディアが08年大統領選への思惑を指摘つつ伝えていた事実で、このうがった見方はいかに今の米メディアが不健全か、をよく表していると思いました。
 ただ、CNNの最新世論調査(9~11日実施)によると、次期大統領にふさわしい人物として、民主党の中ではヒラリー・クリントン、オバマ両上院議員に次ぎ、依然3番目の支持を集めている、とのことなので、仕方がないのかもしれませんが‥‥。少なくとも私はゴア氏の善意を信じたいと思います。

吾妻ひでお「逃亡日記」

2007-03-24 16:46:00 | ノンジャンル
 今日は吾妻ひでおさんの「逃亡日記」の紹介です。
 手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞した「失踪日記」の続編ということで、買って読んでみたのですが、これマンガの本じゃないんですよね。ほとんどが「失踪日記」に描かれていたことに対するインタビューで、1、失踪時代 2、アル中時代 3、生い立ちとデビュー 4、週刊誌時代 5、「不条理」の時代 6、「失踪日記」その後 ということで、時期を区切ってインタビューされていました。
 それに失踪中の足跡を辿る、といった感じで、実際に当時いた場所に著者を連れて行き、写真を多数撮って掲載しているのですが、なぜか途中から「妄想★劇場」と題してメイド姿の女性が一緒に写ってて、肩揉ませたり、いろいろ身の回りのことを公園の中でやらせていたりしていて、とっても変でした。
 それから、5人の人(奥様、お嬢様、ファンクラブ代表、漫画専門店店長、逃亡された編集者)に1ページのアンケートを応えてもらったり、もしくは小文を書いてもらったりしているのですが、お嬢様(イラストの仕事をしている吾妻さんのお嬢さん)が、「娘から見た父・吾妻ひでお氏のイラストを描いていただけないでしょうか?」という問いに、顎に手をして肩ひざ立ててる、日活アクションスターばりのかっこいいお父さん(周りに星が舞っている)、そして脇には両手を挙げて喜んでいるお嬢さん自身を描かれていて、本気なのか、冗談なのか分かりませんが、この本で一番笑いました。お嬢さんの他の答えもお父さんに好意的でしたし、奥さんはもう達観している、といった感じの答えで、これもお父さんを受け入れてあげている感じがしました。
 さて、この本で分かった事。吾妻さんはエロ少女マンガを描いていたこと、著者の好きな自分のマンガは「うつうつひでお日記」「スクラップ学園」「ななこSOS」「不条理日記」であることでした。
 また、ネットで検索していたら、アズマニアという熱狂的な吾妻ファンが存在することも分かりました。私はこれまで「失踪日記」しか読んでないので、以前の作品も読んでみようと思っています。
 

世界女子カーリング選手権予選が終って

2007-03-23 16:03:23 | ノンジャンル
 昨日まで佐藤多佳子さんの作品を紹介してきましたが、残念ながら最新刊の「一瞬の風になれ」を超える作品には出会えませんでした。ただ「ハンサム・ガール」とか「イグアナくんのおじゃまな毎日」のような楽しい作品には出会えました。次回作に期待したいと思います。

 さて、世界女子カーリング選手権の予選が終りました。日本は最終的に4勝7敗で決勝トーナメントに進めませんでしたが、20才の選手が3人、22才の選手が1人という、全チーム中平均年令が一番若いチームにしては、すばらしい成績だったのでは、と思います。他のチームには少なくとも1人は中年のベテラン選手がいて、スキップ(最後に投げる人)をやってたりしてましたよね。そうした中で日本選手の若さは際立っていました。また経験が物を言うこの競技、日本選手も「他の国の選手のプレーを見て経験の差を感じました」と素直な感想を述べていました。そうした中で、4勝をあげ、そして何と行っても決勝トーナメントに進んだアメリカにギブアップ勝ちしたのは立派でした。各選手の健闘を讃えたいと思います。
 さて、まだ今日も過去放送できなかった試合を放送するようですが、ここまで毎日何でカーリングの試合を見ていたのか、自分なりに考えてみると、以前に述べた理由以外に、
1、ストーンを投げる姿がカッコイイ
2、各国語が飛び交う空間が面白い
3、本橋麻里さんを見たい
などが挙げられると思いました。特に本橋選手が切れ長で大きい目をうつむき加減にしている顔を斜めから見た時、何て美しいんだろう、と見とれてしまいました。改めて見ると本橋さんの顔ってアニメ少女顔ですよね。彼女のファンということは、実は私はアニメ少女ファンだったのでしょうか? ちょっと複雑な気持ちですが、調べてみるとチーム青森公式サイトというのもあって、ただBBSはないので、おそらく圧倒的に多い本橋ファンの書き込みを怖れて、作らなかったのかな、とも思いました。カーリングは選手生命が長いので、これからもずっと本橋さんと共に人生を歩んで行きたい(?)と思ってます。

佐藤多佳子『イグアナくんのおじゃまな毎日』

2007-03-22 16:42:56 | ノンジャンル
 今日紹介する佐藤多佳子作品は「イグアナくんのおじゃまな毎日」です。
 親戚の徳田のジジイが「恐竜」と言ってイグアナを私にプレゼントします。いとこの勉が飼うのに飽きて、持って来たらしいのです。父は徳田のジジイが理事長を務める私立学校の教師なので、彼の言うなりです。ということで、イグアナの温室は先日家族がリラックスできるために増築して作ったサンルームの片隅に置かれることになります。私はイグアナをヤダモンと名付けます。というのも、イグアナの世話を私が全部押し付けられ、毎朝早起きして餌のサラダを作らなければならないし、母がイグアナを毛嫌いしているために、サンルームに母が置いた16の鉢植えの世話もやらされることになったからです。
 1週間後、徳田のジジイがやってきて、サンルーム全体をイグアナの部屋に変貌させてしまいます。ある日私が寝坊して餌をやらず学校に行って帰ってみると、温室から抜け出したイグアナが、父の大事にしていた本と、母の鉢植えをメチャメチャにしていました。それ以来、サンルームはイグアナ専用の部屋になります。
 クラスメートが家に遊びに来て、イグアナを飼ってることがばれると、翌日から私はイグアナ・コタケと学校で呼ばれるようになり、イグアナ菌の持ち主にされてしまいますが、以前から好意を持っていたちょっと変わった男子・日高君が「イグアナっていいよなあ」と言った一言で、その騒動は終息します。
 イグアナは次第に餌を食べなくなり、便秘で、やせてきて元気もないので、獣医師を訪ねるも埒が開かず、日高君に連れていかれたは虫類専門のペットショップの店長から温度が低すぎるのが原因と言われ、問題は解決しますが、サンルームは熱帯部屋となります。そしてある日、寝坊で餌をやらずに学校に行き、帰ってくると、今度はサンルームから逃げ出したイグアナは家中をメチャクチャにしていました。私は嫌になり捨てようとしますが、父母に見つかり、それ以降は父母も世話をしてくれるようになります。父は植物をサンルームに戻し、パンツ一丁で汗だくになりながらサンルームで読書をします。私はイグアナの観察日記をつけ、風呂に入れて母が激怒します。日高君の提案でイグアナを散歩させますが、木に登ってしまい、何とか捕まえて帰りますが、雨でびしょぬれになり、カゼをひき、その間母が餌をやります。私は、イグアナが私の上に乗って来てそのまま眠ると、自分もイグアナになる緑の世界の夢を見ます。眠る父の上にイグアナを置くと、やはり自分が恐竜になった夢を見たと言います。
 そんな折、徳田のジジイが鈴木博士を連れて来て、うちの飼育状況の悪口を言おうとしますが、鈴木博士は私達の飼育の仕方に感心し、徳田のジジイの顔は丸つぶれになります。ジジイは父にイグアナを返すように言いますが、父は「くたばっちまえ、クソジジイ」とついに反旗を翻し、ジジイを撃退します。父は鈴木博士と仲良くなり、ジジイから首にされ無職になった父に仕事を回してくれます。母はコンビニでパートをしますが、明らかに以前に比べてビンボーになります。私の観察日記は先生から激賞され、クラスに公開され、日高君と私が一緒にイグアナを散歩させたのがばれてしまいますが、日高君は私のことを「最高のガールフレンド」と言ってくれます。私は将来日高君と結婚して、イグアナを5匹ぐらい飼って、うんとビンボーをすることを夢見る、という話です。
 はらだたけひでさんのイラストもかわいく、それぞれの章の題名も1、生きている恐竜 2、二十五度以上、四十度以下 3、早起きしてサラダを作れ 4、はじめの一週間 5、この部屋はだれのもの? 6、一日だけのイヤーなあだ名 7、<へっー・クリニッノ・ヤブ> 8、こわいものみたさの店 9、ホラーな気分 10、真夜中は寒いのだ! 11、サイコー、科学的な日記 12、黒こげはまっぴら! 13、緑の夢 14、イヤなヤツが「ぎゃふん」といった 15、ビンボーになっちまった! といったもので、子供でも親しめるものになってます。全体として勧善懲悪になっていて、読後感もいいし、PTSDなどが存在しない世界での物語りで気持ちよく読めました。こういうすっきりした小説は好きです!