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天童荒太『孤独の歌声』

2007-03-28 17:02:49 | ノンジャンル
 今日からしばらくの間、「包帯クラブ」が素晴らしかった天童荒太氏の作品を紹介していきたいと思います。第一弾は「孤独の歌声」です。
 コンビニで働く潤平はコンビニ強盗に会い、同僚が犯人をつかまえようとしますが、店の客・松田の「うしろだっ!」の声に犯人が振り向き、逆に胸を刺されてしまいます。松田は女性を監禁し既に死んだ両親に見立てたマネキンをテーブルに並べ、女性を全裸にして椅子に縛り付け、一日中自分の家庭のホームビデオを見せて、家族の一員になることを強制し、言うことを聞かないと、女性を傷つけ死に至らしめることを繰り返す変質者です。
 女性刑事の朝山は「うしろだっ!」と言ったのが松田だと突き止め、女性の失踪者の中に潤平のコンビニの常連客がいたことから、深夜に派手な格好をしてコンビニを歩き回り、松田の出現を待ちます。
 松田は朝山の隣に住む女子大生・京子を誘拐します。潤平のコンビニに強盗がまた現れ、バイクで逃げる犯人を潤平は追いますが、犯人のバイクは交差点で衝突事故を起こし、犯人は病院に搬送され、逮捕されます。しばらくすると、今度は松田が現れます。彼は車で逃げ、潤平は原チャリで追跡しますが、松田の急ブレーキで松田の車に追突することになり、大ケガを負います。動かない潤平の姿を確認した松田は家に帰り、衰弱した京子に松田の考える家族を理解させようとしますが、理解できない京子を諦め、新しいターゲットを捜そうとします。松田は朝山のことを思い出し、彼女を襲い、縛って車で自宅に運びます。大ケガを負いながらも朝山に報告しようと原チャリを飛ばしていた潤平は、自宅に向かう松田の車に気がつき、追跡します。京子を処理するために家に松田が入ったすきに、朝山は縄を解き、ガレージにあったスコップを持ち、監禁部屋へ突入し、松田との格闘の結果、松田は階段を落ちて動かなくなります。京子の縄を解き、呼び掛ける朝山の後ろから、まだ生きていた松田が襲い掛かりますが、「うしろだっ!」という潤平の声に、松田の攻撃を朝山はよけ、潤平が床をすべらせて朝山に渡した包丁で、松田に決定的な傷を負わせ、戦いに勝利する、という話です。
 後半、松田と朝山がからんでくる当たりから、息をもつかせぬスピード感で話が進んで行き、できのいいB級映画を見ているようで、興奮しました。特に、犠牲者の乳首を手の中で転がしたり、歯を口の中でころがしたり、と松田の猟奇的な一面が語られているので、余計ラストが盛り上がったのだと思います。小説を読んで、久々にドキドキしました。この小説について詳しく知りたい方は「Favorite Novels」の「天童荒太」の項に詳しいあらすじと寸評を書きましたので、ぜひご覧ください。