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佐藤多佳子『ハンサム・ガール』

2007-03-18 16:46:51 | ノンジャンル
 今日の佐藤多佳子作品は「ハンサム・ガール」です。女の子が男の子のリトル・リーグのチームに入って活躍する、という話です。
 柳二葉は、父が昔横浜ベイスターズの2軍選手だったので、幼い頃から父に野球を教えてもらいます。柳一家は男女の差別をしない家庭で、母が仕事をし、父が家事をしていて、たまにベビーシッターの仕事も頼まれたりする、「女のくせに」「男のくせに」という言葉は存在しない家庭です。幼馴染みの塩見クンがエースを務めるリトル・リーグのチーム「アリゲーターズ」はいいチームで、入団を塩見クンに一旦は断られますが、母に励まされ、監督に直訴し、入団を認めてもらいます。
 入団初日、女の子が入るということで、今までのメンバーは戸惑いを隠せません。そして初日からいきなりマウンドに立たされます。私はサウスポーの下手投げピッチャー。ボールは速くありませんがコントロールが絶妙で、楽に三者をアウトにします。私は父との練習だけでは習えなかった牽制のやり方、ファーストやホームのカバープレー、スクイズバントの処理などを覚えて行きます。他の選手は私の実力を認めつつ、女ということで反感を持ち続けます。そして新人戦、強豪マンボウズとの試合で、塩見クンはストライクが入らず、監督に私に交代するように言われますが、試合で投げた事もない私に交代するのを嫌がります。私は後続を抑えますが、翌日からチームの嫌われ者になります。しかし、監督は次の試合の先発を私にし、試合は味方のエラーが私にも伝染し、エラーやボークを連発して負け、次の試合でもミスを連発して負けます。私はそれ以来練習も試合もサボるようになりますが、シャドーピッチングをしているところを塩見クンに声をかけられ、チームに戻る気持ちがメラメラと起こります。合宿で皆と一緒に汗を流すことによってわだかまりも消え、父もコーチとして参加し、一年で最大の大会で以前に負けたマンボウズに、塩見クン、私の継投が決まって勝ちます。そして選手たちは打ち上げで喜びを爆発させる、という話です。
 これ以外にも、男社会で働く母の苦労話や、姉、多くの選手ら、たくさんの登場人物がからんできて、物語りを豊かなものにしています。スポーツで競う話なので、「一瞬の風になれ」の試合描写を思わせる部分も多々あります。スポーツ好きな人なら、楽しんで読めるのではないでしょうか? 終り方も微笑ましく、まだ読んでない方にはオススメです。