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佐藤多佳子『黄色い目の魚』

2007-03-20 16:17:36 | ノンジャンル
 今日紹介する佐藤多佳子作品は「黄色い目の魚」です。
 1章「りんごの顔」は、10年ぶりに会った父と息子・木島は二人とも絵が好きで、リンゴのデッサンをしますが、その後顔のあるリンゴの悪夢にうなされる、という話。
 2章「黄色い目の魚」は、しょっちゅう怒っている私・村田とマンガ家でイラストレーターの伯父・進チャンとの交流と、学校でいじめに巻き込まれる話。
 3章「からっぽのバスタブ」は、高校生になった村田が中学でいじめられていた美和子に手紙を書き、美術の時間に木島に自分を描かれ、進チャンは村田が主人公のマンガを描き出すという話。
 4章「サブ・キーパー」は、木島がサッカー部の試合のデビューを果たし、村田をきちんとデッサンしたいという気持ちが高まるという話。
 5章「ファザー・コンプレックス」は、木島の妹の玲奈が40才の子持ちの男の所へ家出し、木島は主将とケンカしてサッカー部を休みます。しばらくして玲奈が心をボロボロにして帰って来て、木島は部活に戻り、メンバーの全員の顔を描こうと決心するという話。
 6章「オセロ・ゲーム」は、進チャンはサッカー部行きつけのスナックで働く似鳥を描いているところを村田に見られ、木島と村田は進チャンの個展を見た帰り、お互いに好きであることを告白しあいますが、木島は村田に似鳥と寝たことを言ってしまうという話。
 7章「七里ケ浜」は、木島はやっと村田に自分の絵を見てもらい、彼女はその絵を気に入り、二人が老人になるまで描き、描かれる関係でいようと約束するという話。
 以上があらすじです。章ごとに語り手は村田になったり、木島になったりします。絵の話なので、絵に興味のある人はより楽しめるでしょう。村田と木島の関係がなかなか進展していかないので、かなりイライラしながら読みました。木島がもっと積極的なタイプだと、もっと面白かったのでは、思います。きざでプライドが高い進チャンにも少し辟易しました。ということで、絵を実際に描く方、特にデッサンに興味のある方にはオススメです。

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