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トルーマン・カポーティ『冷血』

2007-03-11 16:32:51 | ノンジャンル
 太田光氏が著書「トリックスターから空へ」の中で、読んでいて引き込まれた初めての小説と絶賛していたカポーティの「冷血」を読みました。以前にも読もうとしたのですが、つまらなくて途中で読むのを止めたので、再度の挑戦です。
 キャンザス州西部の名家クラター一家の父、母、二人の下の子供が惨殺されます。犯人は刑務所を出たばかりのペリーとディックの二人組。殺された娘ナンシーの恋人や第一発見者からの聞き込み、ペリーの生い立ち、ディックの両親・ペリーの泊まった宿の主人・ペリーの姉らからの聞き込み、犯行後の犯人の行動などが語られます。
 二人が刑務所の中で犯罪計画を話していたのを聞いていた囚人が現れることにより、事件は一気に解決し、ペリーの自白、保安官助手の妻の話、ディックの生い立ちが語られ、法廷での応酬、犯人の精神分析の結果、牢獄でのディックの話と続いて、最後に犯人たちの死刑が執行されて小説は終ります。
 はっきり言って、あまり面白くありませんでした。最初の方で犯人が誰か明かされてしまうので、推理小説としての面白さはありません。犯人の人物像もはっきりせず、したがって犯人に魅了されるということもありません。その他の登場人物は平凡な人物ばかりで、こちらの気を引く人物はいません。では、小説の語り口で読ませるか、というと、これもただ事実の羅列で、なぜこの小説が世の中で高く評価されているのか、発表時になぜカポーティが天才扱いされたのか、ちっとも分かりませんでした。この小説のこういうところが面白い、という意見をお持ちの方、ぜひ教えてください。ということで、私個人的にはあまりオススメできない小説でした。