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佐藤多佳子『しゃべれどもしゃべれども』

2007-03-14 17:12:38 | ノンジャンル
 今日の佐藤多佳子作品は、落語の世界を描いた「しゃべれどもしゃべれども」です。
 テニスコーチのバイト中のトラブルで昔治ったどもりが再発したいとこの良にどもりを治してくれ、と頼まれた噺家の三つ葉は、師匠がカルチャーセンターの話し方教室の講師に呼ばれた時に、お伴をし、良も来ますが、一人の女が師匠が話してる時に席を立って中座し、次回の教室では、講師に自己紹介をするように言われるのですが、その女は何も話せません。高飛車で無愛想なその女・十河と三つ葉は再会し、自分の高座に誘うと身に来てくれ、良とともに三つ葉に話し方教室をやってほしい、と頼みます。三つ葉は話し方は教えられないが、落語なら教えられるので、落語教室でもいいなら教えてやるといい、二人は同意します。そこに関西弁が治らずいじめられているという少年・村林を母が連れて来て、三人の生徒を相手に授業が始まります。しばらくすると、しゃべれない野球解説者・湯河原も加わります。高飛車な十河は段々素直になってきて、三つ葉とほうずき市に行ったりするようになります。十河と村林は「まんじゅうこわい」をはなせるようになりますが(ただし、村林は関西弁で)、湯河原は三つ葉とケンカをして、来なくなります。村林は巨人ファンのいじめのボスと野球で対決するため、湯河原に習いますが、結果はボスの圧勝で、その後村林は一時行方不明になります。その夜、三つ葉は酔っぱらい、翌日の高座は二日酔いで出ますが、お前は酔っぱらってやった方がいいと師匠に誉められます。それからはリラックスして落語ができるようになり、客が笑うようになります。師匠が急に決めた一門会は大成功で、気を良くした三つ葉は、落語教室も発表会をやることにします。村林がチラシを教室に貼ったおかげで、ボスを始め多くのクラスメートも来て、村林の落語についボスも笑ってしまい、村林とボスの関係は改善されます。湯河原は親戚の店で働きながらもテレビのCMに出るようになり、良は相変わらず苦労しながらもテニスのコーチを続け、十河は三つ葉と良い仲になって、この小説は終ります。
 この小説で一番面白いのは、登場人物のキャラクターでしょう。主要人物以外にも、三つ葉と同居している食えないばあさんや、がんこで変人の師匠など、面白い人物が続々と出て来ます。主人公の三つ葉自身のキャラクターがはっきりしないのが弱点ですが、結構面白く読めました。落語が好きな方は、私などより、もっと楽しめるかもしれません。