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島尾ミホさんの死

2007-03-29 16:53:30 | ノンジャンル
 「死の棘」などの作品で知られる、私の大好きな作家・島尾敏雄さんの奥さんで作家でもあった島尾ミホさんが亡くなったことが、今日の朝日新聞の朝刊に報じられていました。25日午後10時、脳内出血のため、鹿児島県奄美市の自宅で亡くなられたそうです。享年87才でした。
 鹿児島県・奄美諸島の加計呂麻(かけろま)島出身で、1944年、特攻隊長として赴任してきた敏雄氏と恋に落ち、敗戦後の46年に結婚。東京に移り住んでから、敏雄氏の浮気が原因で心の病にかかり、55年に家族とともに奄美諸島に移住します。'74年には自ら「海辺の生と死」を執筆、'86年に敏雄氏が亡くなった後は、ずっと喪服で通したそうです。両親の争いのためのストレスで成長が止まってしまった娘さんのマヤさんとの生活を撮ったA.ソクーロフ監督の「Dolce-やさしく」では、晩年の島尾ミホさんとマヤさんの、お互いに心の傷をなめあうような繊細な生活の様子を見る事ができます。
 島尾氏との戦時下での出会い、そして特攻隊として死を待つ島尾氏と運命をともにする決心のミホさん、その決定的な出会いが、戦後のゆるんだ世相になじめない関係を作り、敏雄氏の浮気がミホさんの狂気を産むまでに至ったような気がします。回復されてからは、敏雄氏の生前も死後も沿い遂げた人だったと思います。
 島尾敏雄氏の著作については、「Favorite Novels」に「島尾敏雄」の項を設けてありますので、興味のある方は、ぜひご覧ください。
 最後になりますが、島尾ミホさんの御冥福を改めてお祈り申し上げます。