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佐藤多佳子『イグアナくんのおじゃまな毎日』

2007-03-22 16:42:56 | ノンジャンル
 今日紹介する佐藤多佳子作品は「イグアナくんのおじゃまな毎日」です。
 親戚の徳田のジジイが「恐竜」と言ってイグアナを私にプレゼントします。いとこの勉が飼うのに飽きて、持って来たらしいのです。父は徳田のジジイが理事長を務める私立学校の教師なので、彼の言うなりです。ということで、イグアナの温室は先日家族がリラックスできるために増築して作ったサンルームの片隅に置かれることになります。私はイグアナをヤダモンと名付けます。というのも、イグアナの世話を私が全部押し付けられ、毎朝早起きして餌のサラダを作らなければならないし、母がイグアナを毛嫌いしているために、サンルームに母が置いた16の鉢植えの世話もやらされることになったからです。
 1週間後、徳田のジジイがやってきて、サンルーム全体をイグアナの部屋に変貌させてしまいます。ある日私が寝坊して餌をやらず学校に行って帰ってみると、温室から抜け出したイグアナが、父の大事にしていた本と、母の鉢植えをメチャメチャにしていました。それ以来、サンルームはイグアナ専用の部屋になります。
 クラスメートが家に遊びに来て、イグアナを飼ってることがばれると、翌日から私はイグアナ・コタケと学校で呼ばれるようになり、イグアナ菌の持ち主にされてしまいますが、以前から好意を持っていたちょっと変わった男子・日高君が「イグアナっていいよなあ」と言った一言で、その騒動は終息します。
 イグアナは次第に餌を食べなくなり、便秘で、やせてきて元気もないので、獣医師を訪ねるも埒が開かず、日高君に連れていかれたは虫類専門のペットショップの店長から温度が低すぎるのが原因と言われ、問題は解決しますが、サンルームは熱帯部屋となります。そしてある日、寝坊で餌をやらずに学校に行き、帰ってくると、今度はサンルームから逃げ出したイグアナは家中をメチャクチャにしていました。私は嫌になり捨てようとしますが、父母に見つかり、それ以降は父母も世話をしてくれるようになります。父は植物をサンルームに戻し、パンツ一丁で汗だくになりながらサンルームで読書をします。私はイグアナの観察日記をつけ、風呂に入れて母が激怒します。日高君の提案でイグアナを散歩させますが、木に登ってしまい、何とか捕まえて帰りますが、雨でびしょぬれになり、カゼをひき、その間母が餌をやります。私は、イグアナが私の上に乗って来てそのまま眠ると、自分もイグアナになる緑の世界の夢を見ます。眠る父の上にイグアナを置くと、やはり自分が恐竜になった夢を見たと言います。
 そんな折、徳田のジジイが鈴木博士を連れて来て、うちの飼育状況の悪口を言おうとしますが、鈴木博士は私達の飼育の仕方に感心し、徳田のジジイの顔は丸つぶれになります。ジジイは父にイグアナを返すように言いますが、父は「くたばっちまえ、クソジジイ」とついに反旗を翻し、ジジイを撃退します。父は鈴木博士と仲良くなり、ジジイから首にされ無職になった父に仕事を回してくれます。母はコンビニでパートをしますが、明らかに以前に比べてビンボーになります。私の観察日記は先生から激賞され、クラスに公開され、日高君と私が一緒にイグアナを散歩させたのがばれてしまいますが、日高君は私のことを「最高のガールフレンド」と言ってくれます。私は将来日高君と結婚して、イグアナを5匹ぐらい飼って、うんとビンボーをすることを夢見る、という話です。
 はらだたけひでさんのイラストもかわいく、それぞれの章の題名も1、生きている恐竜 2、二十五度以上、四十度以下 3、早起きしてサラダを作れ 4、はじめの一週間 5、この部屋はだれのもの? 6、一日だけのイヤーなあだ名 7、<へっー・クリニッノ・ヤブ> 8、こわいものみたさの店 9、ホラーな気分 10、真夜中は寒いのだ! 11、サイコー、科学的な日記 12、黒こげはまっぴら! 13、緑の夢 14、イヤなヤツが「ぎゃふん」といった 15、ビンボーになっちまった! といったもので、子供でも親しめるものになってます。全体として勧善懲悪になっていて、読後感もいいし、PTSDなどが存在しない世界での物語りで気持ちよく読めました。こういうすっきりした小説は好きです!