gooブログはじめました!

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

加藤泰監督『幕末残酷物語』

2015-01-27 14:12:00 | ノンジャンル
 加藤泰監督の’64年作品『幕末残酷物語』をスカパーの東映チャンネルで再見しました。
 元治元年六月。歴史に名高い池田屋襲撃の夜。闇に翻る「誠」の旗の下、全身に返り血を浴びて阿修羅のごとくたたずむ新撰組の面々。その様子を人混みの中から注視する一人の若者、江波三郎(大川橋蔵)の姿がありました。
 翌日、江波は新撰組屯所を訪れ、入隊を直訴しますが、受け入れられず、入隊試験を改めて受けるも、木刀による決闘で死者が続出するのを見て、庭先で吐き、それを隊士らにからかわれて切腹しようとし、隊士らに救われます。
 特別に入隊を許された江波は、沖田総司(河原崎長一郎)が隊長の一番隊に入ります。広大な屯所の中での厳しい訓練に生傷が絶えない江波の心が唯一休まるのは、年季奉公の女中さと(藤純子)と過ごす一時だけでした。
 隊規を破った者には死をもって報いる新撰組。人を斬ったことがない江波は、自分とともに隊士となった者の中にいた海援隊の間者の首を斬ることを命じられ、相手が逃げ回るのを不様に斬りかかります。隊規を破った者の首を斬ることを再び命じられる江波。
 ある日、金庫から金がなくなり、その疑いが三田という隊士にかけられますが、三田の処刑には幹部の山南(大友柳太朗)が反対します。局長の近藤勇は山南の反対を押し切り、無罪を叫ぶ三田の処刑を命じ、江波は志願して三田の首を斬ります。
 薩摩と長州の連合軍が京都を目指していることを知らされ、明朝に出撃を決める近藤。朝廷から出陣前の酒肴が届き、隊士たちは宴会で大騒ぎします。さとは人を率先して斬る江波を見損なったと言い、本当はそんな人じゃないんでしょう?と江波に迫ります。江波はさとを蔵に誘い、二人は結ばれますが、さとが「結婚して、一緒に逃げて」と言っても、江波は「それはできない」と言うしかありません。さとが蔵を出て、その後に江波が続くのを、観察役の山崎(内田良平)は見逃しません。そこへ酔った沖田が現われ、今の新撰組の幹部は、新撰組の創設者らを暗殺し、その後釜に座ったという事実を江波に明かします。
 三田が盗んだという金が実は近藤が女を囲うために使った事実を知っている山南は、隊を辞めると言い出し、出て行こうとしますが、近藤の命令に従った沖田らによって、めった斬りにされます。先日男の子が生まれた河品(木村功)もそれを見て、他の隊士らに隊を辞めてここを出て行こうと言いますが、賛同した1人と一緒に斬られて死にます。
 翌朝、出陣を前にして、江波は近藤の許に呼ばれます。先ほど京都所司代に捕まった男が、江波を見て「あの男を知っている」と話していると、近藤は言います。土方歳三(西村晃)はその男から聞いた話として、江波の正体を言い当てます。江波が黙っていると、一人の男が江波の隣に座り、近藤は「この男は海援隊に新撰組が放っていた間者で、海援隊が新撰組に放った間者が、1人ではなく2人であることを我々は既に知っていた」と言います。すると江波は笑いながら面を上げ、自分は近藤らに殺された新撰組の初代筆頭局長・芹沢鴨の甥であり、育ての親だった芹沢の仇を取るために、海援隊の間者として新撰組に入ったことを認め、坂本竜馬も近藤も勤王と言えば人を殺すことが許されると思っていると批判し、近藤に斬りかかります。既にそばに控えていた隊士らが一斉に江波に斬りかかり、江波は土方の腕を斬りつけ、場所を移りながら、大勢を相手に戦います。「江波さーん! 江波さーん!」と叫ぶさと。蔵と壁に挟まれた場所に追い込まれた江波は、向こうに沖田がいるのを認めます。近藤が間違っているのを知っていて斬るのか?と言う江波に、近藤の命令は絶対だと答える沖田。窓越しにさとが見ているところで、沖田の刀が江波の首を捕えます。叫び声を上げるさと。倒れた江波はさとを認め、手を伸ばし、さとも窓から手を伸ばしますが、やっと手と手が触れ合ったと思うと、江波の手は落ちていきます。江波の死体に駆け寄り、顔の血をふき、やがて泣き伏すさと。沖田は隊規の額を切り捨てます。
 新撰組は出発し、沖田も遅れてそれに合流し、映画は終わります。

 人を斬る度にやつれていく江波の表情が印象的で、さとの存在が新撰組の非人間性を際立たせていました。残酷なシーンもリアリティがあり、ローポジションの白黒画面が美しく、ワンシーンワンカットの場面もいくつか見られました。

 →Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/