また昨日の続きです。
『虎尾』 一樹の従兄弟の虎尾は、一樹が亡くなった後、一樹が使っていた廃車寸前の車をもらう。一樹は若い頃とてももてた。その武勇伝はその車とともにあった。その一樹がなぜテツコのような地味な女性と結婚したのか、不思議だったが、一樹は「選ぶんじゃなくて、もう、それしかないんだって」と言った。そして一樹の死を母からの電話で知ったのは、オオちゃんと初体験を済ませた直後だった。ある日テツコから電話があり、雪だるまがまだあるか?と聞いてきた。そしてそれを届けて、テツコとギフが小さな人形で大いに盛り上がっているのを見ると、一樹に何か返せたような気持ちになった。初体験の子とはお互い結婚するならこの人と思うようになっていたが、マンションの購入時に虎尾が駐車場も買いたいと言うと、全く連絡を寄越さなくなった。ある日、テツコは自分が缶に取っておいた一樹の一片の骨を一樹の墓に返すのを手伝ってほしいと言ってくる。深津先輩に手伝ってもらい、それを成し遂げると、深津先輩がシャワーを浴びたいと言うので、ラブホに行った。テツコがもういらないと言う缶を虎尾がもらうと、もう車は廃車にしてもいい気がした。そして一樹のことを死ぬまで忘れないとテツコが言うのを聞いて、一樹が何でテツコでないとダメだったか、わかった気がした。そして無性にオオちゃんに会いたいと思った。
『魔法のカード』 職場で岩井が結婚詐欺にあったらしいと聞いたテツコは、パンケーキ屋で本人に問いただす。岩井は、イジメで同級生に金を巻きあげられ、自殺しようとしていた小学生の女の子と、夜の橋の上で出会い、480万貸してくれればリセットできると女の子が言ったので、480万を渡したが、その時に聞いた住所はウソだったと話した。話を聞いて頭にきたテツコは席を立つが、その時に岩井の携帯も持ってきてしまう。夜になり、その女の子から岩井の携帯に電話があり、今日中に岩井に会いたいと言う。テツコが女の子に会うと、彼女は「自分は何も信じられない嫌な子だ」と言い、お金を返したいとテツコに言った。岩井は、願いの叶う“強・中・弱の魔法のカード”だと言って、自分の名刺3枚を渡したので、女の子は強のカードを岩井に渡して、480万貸してほしいと言ったと言う。女の子はテツコに促され、自分で岩井にお金を返しに行き、帰ってきたが、魔法のカードを岩井に返すのを忘れたと言う。テツコは「人生は長いから、もらっておけば」と言い、女の子は、「ほんとうに美しいもの」を探した詩人の八木さんに教えてあげたかったと言った。女の子と別れると、すぐに岩井から「オレ、結婚できるから」という電話がかかってきた。テツコはこれぐらいのことで岩井さんをイヤだと思ってしまった自分の心の狭さに、自分は怒っていたのだと分かった。テツコは「一番強い魔法のカードちょうだい」と岩井に言う。私が欲しかったのは、これだったのか。怖いものなど、何もない。
『夕子』 夕子は、親しくなると、その人がいつ亡くなるのかわかる。亡くなる一週間ぐらい前になると、なぜか涙が止まらなくなってしまう。涙は不思議なことに、亡くなったという知らせが入ったとたん、ぴたりと止まる。だから、自分が結婚して家庭を持つ、などということは、とても考えられなかった。しかし、短大を出てOLになると、周りが放っておいてくれず、親や親戚に勧められるままにお見合いをした。どの男性も見すぼらしく思え、ことごとく断った。ある日、見合いの後、例のごとく涙が止まらなくなり、相手は交通事故で死んだ。それ以来、夕子は全ての見合いを断わり続けた。事務の仕事は性にあっていた。が、しばらくするとシステム室なるものができて、コンピューターで管理することになり、全てが簡素化され、伝票処理が誰にでもできるものになってしまうと、夕子の仕事は面白いものではなくなってしまった。夕子の周りはみんな怒らなくなっていき、最後まで口うるさかった加藤さんも辞めてしまったが、別れ際に夕子に「世の中、あなたが思っているほど怖くないよ。大丈夫」と言ってくれたおかげで、夕子はまた見合いをしてみることにした。見合いの相手は寺山連太郎という27才の気象予報士だった。会ってみると、見すぼらしいと思うところは、ひとつもなかった。とりあえず、お付き合いしてみようかな、と言うと、母親は喜んだが、数日後、占いの結果が悪かったと言って、やめた方がいいと言い出し、本当に断ってしまったようで、連太郎からの連絡は来なくなってしまった。(また明日へ続きます……)
→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/)
『虎尾』 一樹の従兄弟の虎尾は、一樹が亡くなった後、一樹が使っていた廃車寸前の車をもらう。一樹は若い頃とてももてた。その武勇伝はその車とともにあった。その一樹がなぜテツコのような地味な女性と結婚したのか、不思議だったが、一樹は「選ぶんじゃなくて、もう、それしかないんだって」と言った。そして一樹の死を母からの電話で知ったのは、オオちゃんと初体験を済ませた直後だった。ある日テツコから電話があり、雪だるまがまだあるか?と聞いてきた。そしてそれを届けて、テツコとギフが小さな人形で大いに盛り上がっているのを見ると、一樹に何か返せたような気持ちになった。初体験の子とはお互い結婚するならこの人と思うようになっていたが、マンションの購入時に虎尾が駐車場も買いたいと言うと、全く連絡を寄越さなくなった。ある日、テツコは自分が缶に取っておいた一樹の一片の骨を一樹の墓に返すのを手伝ってほしいと言ってくる。深津先輩に手伝ってもらい、それを成し遂げると、深津先輩がシャワーを浴びたいと言うので、ラブホに行った。テツコがもういらないと言う缶を虎尾がもらうと、もう車は廃車にしてもいい気がした。そして一樹のことを死ぬまで忘れないとテツコが言うのを聞いて、一樹が何でテツコでないとダメだったか、わかった気がした。そして無性にオオちゃんに会いたいと思った。
『魔法のカード』 職場で岩井が結婚詐欺にあったらしいと聞いたテツコは、パンケーキ屋で本人に問いただす。岩井は、イジメで同級生に金を巻きあげられ、自殺しようとしていた小学生の女の子と、夜の橋の上で出会い、480万貸してくれればリセットできると女の子が言ったので、480万を渡したが、その時に聞いた住所はウソだったと話した。話を聞いて頭にきたテツコは席を立つが、その時に岩井の携帯も持ってきてしまう。夜になり、その女の子から岩井の携帯に電話があり、今日中に岩井に会いたいと言う。テツコが女の子に会うと、彼女は「自分は何も信じられない嫌な子だ」と言い、お金を返したいとテツコに言った。岩井は、願いの叶う“強・中・弱の魔法のカード”だと言って、自分の名刺3枚を渡したので、女の子は強のカードを岩井に渡して、480万貸してほしいと言ったと言う。女の子はテツコに促され、自分で岩井にお金を返しに行き、帰ってきたが、魔法のカードを岩井に返すのを忘れたと言う。テツコは「人生は長いから、もらっておけば」と言い、女の子は、「ほんとうに美しいもの」を探した詩人の八木さんに教えてあげたかったと言った。女の子と別れると、すぐに岩井から「オレ、結婚できるから」という電話がかかってきた。テツコはこれぐらいのことで岩井さんをイヤだと思ってしまった自分の心の狭さに、自分は怒っていたのだと分かった。テツコは「一番強い魔法のカードちょうだい」と岩井に言う。私が欲しかったのは、これだったのか。怖いものなど、何もない。
『夕子』 夕子は、親しくなると、その人がいつ亡くなるのかわかる。亡くなる一週間ぐらい前になると、なぜか涙が止まらなくなってしまう。涙は不思議なことに、亡くなったという知らせが入ったとたん、ぴたりと止まる。だから、自分が結婚して家庭を持つ、などということは、とても考えられなかった。しかし、短大を出てOLになると、周りが放っておいてくれず、親や親戚に勧められるままにお見合いをした。どの男性も見すぼらしく思え、ことごとく断った。ある日、見合いの後、例のごとく涙が止まらなくなり、相手は交通事故で死んだ。それ以来、夕子は全ての見合いを断わり続けた。事務の仕事は性にあっていた。が、しばらくするとシステム室なるものができて、コンピューターで管理することになり、全てが簡素化され、伝票処理が誰にでもできるものになってしまうと、夕子の仕事は面白いものではなくなってしまった。夕子の周りはみんな怒らなくなっていき、最後まで口うるさかった加藤さんも辞めてしまったが、別れ際に夕子に「世の中、あなたが思っているほど怖くないよ。大丈夫」と言ってくれたおかげで、夕子はまた見合いをしてみることにした。見合いの相手は寺山連太郎という27才の気象予報士だった。会ってみると、見すぼらしいと思うところは、ひとつもなかった。とりあえず、お付き合いしてみようかな、と言うと、母親は喜んだが、数日後、占いの結果が悪かったと言って、やめた方がいいと言い出し、本当に断ってしまったようで、連太郎からの連絡は来なくなってしまった。(また明日へ続きます……)
→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/)