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佐藤哲也『沢蟹まけると意思の力』その2

2011-08-12 04:30:00 | ノンジャンル
 昨日の続きです。
 5つ目のエピソードでは、意思の力を表す5つの例が語られます。1つ目は伝統文化の排撃を叫ぶ作家が、名高い懐石料理を堪能した後、発した言葉「それでも堅牢強固な意思の力によって、私は伝統文化を排撃する」。2つ目は第二次世界大戦のアルデンヌの戦いにおける、米国陸軍ウォーカー大尉の日記からの抜粋。3つ目は同じく第二次世界大戦のマーケットガーデン作戦で、パラシュート無しで飛び降りた米国空軍大佐の発言。そして4番目は、19世紀初頭、圧倒的優位に立つフランス艦隊に突っ込んで行った英国陸軍戦列艦艦長の発言。最後は、現代の新婚の美しい妻が夜の同衾を拒み続ける夫を不審に思い、ついに夜の夫が箒に変身していることを発見しますが、夫は「堅牢強固な意思の力によって、箒である自分がおまえの夫になっているのだ」と言い放つというもの。そしてこれらの例を通じて、目標が困難であればあるほど、その目標の達成のためには強固な意思が必要とされることが述べられます。
 6つ目のエピソード。駅員の誘導に従わず、通勤電車に乗り込もうとする出勤指揮官に率いられた一団と、それを阻止せんとする駅員たちの一団との乱闘、出勤指揮官らに岩を投げようとする巨大な体躯を持つ駅長と、それを阻止せんとする清廉な駅長の娘、群集とともに革命を叫ぶ扇動者と、「皆さんは試されているのです」というメーセージを送り、彼らを鎮圧せんとする駅当局、そして困惑する群集。
 7つ目のエピソード。惰眠をむさぼる男を目覚めさせた女神は、その男を満員の出勤電車の中へ導き入れます。とそこへ現れた世界最高の科学者・所沢博士は、乗客たちの意思の力によって満員電車を走らせる実験を始めますが、暴走した電車は脱線転覆します。そこに現れた髑髏仮面は、博士の発明を自分の悪事に利用しようと考え、博士を拉致するのでした。
 8つ目のエピソード。沢蟹の古老の考えにより、エリートコースを歩むはずであった沢蟹まけるは、私立幼稚園に入るところで既に挫折し、悪ガキどもとの怪獣ごっこなどを経て、争いごとに背を向けるようになり、やがてくだんの医師が登場して沢蟹まけるを沢蟹の一族郎党から奪おうとしますが、沢蟹の古老の呼びかけで現れた臼に潰され、ほうほうの体で逃げ出します。そして古老と他の蟹が議論している間に、沢蟹まけるは川に落ちて流されていってしまうのでした。
 9つ目のエピソード。目標に向かうための行為がなければ意思の力だけあってもしょうがないことを示す例として、地震でビルに閉じ込められた人々の会話が語られます。そして意思の力だけではどうにもならなかった例として、宇宙人の侵略を止められなかった博士と将軍の会話が示されます。また、意思が放棄されたにもかかわらず、行為が継続してしまった例として、暗黒神復活の儀式を阻止するために大虐殺を行ってしまった教授の話がなされます。最後に、堅牢強固な意思の力により世界制服の一歩手前まで行きながら、そこで目的を見失ってしまった黒の女王の話がなされます。
 10番目のエピソード。沢蟹まけるは三流私立大学卒業後に就職した会社マングローブで、人体改造の手術を受け、上司の牡蠣浜本部長から、会社の世界制服事業の先鞭をつけるために幼稚園バス襲撃計画の立案を命じられますが、自分に勝手に手術を施した会社への復讐に燃える沢蟹まけるは、やはり会社に娘を人質に取られて、日頃から会社に嫌がらせをして憂さ晴らししている音妙寺博士の導きによって、会社を脱出します。(またまた明日へ続きます‥‥)

→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/