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ウィリアム・ディターレ監督『ジェニーの肖像』

2011-08-29 06:09:00 | ノンジャンル
 ウィリアム・ディターレ監督の'48年作品『ジェニーの肖像』をDVDで再見しました。
 1933年冬のニューヨーク。売れない若い画家アダムズ(ジョセフ・コットン)は、スピニー(エセル・バリモア)とマシューズが共同経営する画廊に絵を持ち込むと、マシューズは風景画は売れないと断りますが、彼のことを気に入ったスピニーは花を描いた絵を1枚買ってあげます。
 夜のセントラルパーク。アダムズはベンチにクシャクシャにされた紙切れを発見し、拾おうとすると、「それは私のよ!」という声がし、遠くから学生服姿の少女が駆け寄ってきます。彼女はジェニーと名乗り、両親は芸人で既に閉鎖されているはずのヴィクトリア座で綱渡りをしていると話します。彼の絵を見せてもらった彼女は、風景画ばかりではなく人物画も描くといいと言って立ち去り、アパートに戻ったアダムズはさっそく彼女の顔のスケッチを描き始めます。
 徹夜でスケッチを仕上げたアダムズは、翌朝彼女が置いていった紙切れが1910年の新聞であること、その新聞にジェニーの両親であるアプルトン夫妻が出演しているヴィクトリア座の広告が掲載されていることを発見し、新聞紙の中からはスカーフも出てきます。できたスケッチを画廊へ持っていくと、マシューズはそのスケッチを絶賛して高値で買い取り、絵を描いていく上で自分に足りないものは何かとアダムズがスピニーに尋ねると、スピニーは少女から受けた刺激が答えになるだろうと言います。
 気晴らしにセントラルパークの野外スケート場にアダムズが行くと、ジェニーがまた現れますが、背が急に伸びていました。アダムズがスカーフを返そうとすると、彼女は「私は早く成長するから、私が大人になるまで、あなたが持っていて」と答え、今度一緒に両親の働くヴィクトリア座に行く約束をして、二人は別れます。
 約束した場所にジェニーは現れず、アダムズは自力で彼女の両親のことを調べようと決心します。1910年当時ヴィクトリア座で衣裳係をしていた女性に会いに行くと、アプルトン夫妻の資料とともにジェニーの写真も見つかり、アプルトン夫妻はジェニーの目の前で綱渡り中に綱が切れて転落死したこと、その後ジェニーは叔母によって修道院へ預けられたことが分かります。
 夜のセントラルパークで、両親の死を嘆くジェニーに再会するアダムズ。彼の慰めと励ましによって気を取り直した彼女は「私は何かを探している、そしていつか必ずそれは見つかる」という言葉を残して、また姿を消します。
 そして長い冬が過ぎ、春がやって来ますが、ジェニーへの思いに捕らわれたアダムズは無為に日々を過ごすしかありません。ガスに紹介された壁画の仕事を何とか仕上げた彼がアパートに帰ると、大人になったジェニーがやっと彼の前に現れます。すぐに彼女の肖像画に取りかかるアダムズ。ついに絵が完成しますが、彼女は夏を病気の叔母と過ごさなくてはならないため、結婚はその後まで待ってくれと言います。朝までアダムズと過ごしたジェニーでしたが、スカーフを返してもらった彼女は「必ずまた会える」という言葉を残して、また忽然と姿を消します。
 そして約束の秋がやってきます‥‥。

  以前深夜にテレビで短縮版を一回見ただけでしたが、冬のニューヨークの日差しの中、スケート場に現れるジェニファー・ジョーンズのシルエットの美しさが鮮烈に印象に残っていて、今回見直してみて改めて、ジョセフ・オーガストによる画面の繊細な美しさ、ジョセフ・コットンによるモノローグの美しさに魅せられました。ジェニファー・ジョーンズのみならず、ジョセフ・コットン、エセル・バリモアにとっても代表作の一つとなるのではないでしょうか? 私にとっては『旅愁』とともに忘れがたい、ウィリアム・ディターレ作品です。なお、私のサイト「Nature Life」(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto)の「Favorite Movies」の「その他の傑作」の場所に詳しいあらすじをアップしておきましたので、興味のある方は是非ご覧ください。

→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/