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マキノ雅弘監督『日本残侠伝』

2008-03-11 18:24:44 | ノンジャンル
 WOWOWで「マキノ雅弘生誕100周年記念特集」と題されて放送された'69年作品「日本残侠伝」を見ました。
 大正時代、浅草。やくざに買われ連れて行かれようとしている娘を助けようとした秀次郎(高橋英樹)は警官も傷つけ、刑務所に入ります。
 2年後、龍神一家の岩田は、市会議員の大場(須賀不二男)らを連れて、浅草の旦那衆に長家のある区画を売ってもらい百貨店を作らせてほしいと談判に来ますが、材木屋の親方の江戸常(水島道太郎)がその場に駆け付け、売らないでほしいと頼みます。寿司屋の銀次(長門裕之)は江戸常の今は亡き親分に店をもたせてもらった恩があるので、江戸常が困ったことがあるならいつでも役に立たせてくれ、と言います。酔っての帰り道、江戸常は細工のされた材木の下敷きになり、大ケガをしますが、自分のせいでケガをしたので、事を起こすな、と言い、長家のことは頼んだぞといって亡くなります。そこへ刑務所を出た秀次郎が帰ってきて、長家の住人(田中春男)の家にやっかいになります。木曽から来た吾作(津川雅彦)も仲間になります。吾作は女郎のお春(梶芽衣子)に惚れますが、秀次郎が以前に助けた娘である事が分かり、今でも秀次郎に感謝していると言います。龍神一家は旦那衆を丸め込み、同意書を手に入れ、邪魔な江戸常組を挑発するために、長家を倒し出します。そこへ来た秀次郎は相手の言う通り土下座をし、その場を収めます。それまで江戸常の味方だった旦那の角良(三島雅夫)は秀次郎の身を思って、土地を売ると言います。銀次は岩田を訪れ、手を引いてほしいと言いますが、岩田は聞く耳を持ちません。旧友の難波(葉山良二)が銀次を送って行き、義理で岩田のところにいると言います。銀次に吾作が頼み、お春の足抜けを1時間だけさせ、秀次郎に会わします。吾作はお春を返した後、刺されて死に、お春は北海道に送られる事になります。銀次は江戸常組の梅吉(川地民夫)に寿司屋で働くお君(山本陽子)の面倒を見てくれるよう頼み、すべてをお君に譲り渡し、岩田のところへ斬り込みに行きますが、岩田は拳銃を使い、銀次は殺され、かばおうとした難波も殺されます。そして長家は放火され、すべて焼けてしまいます。江戸常の女房(南田洋子)は、江戸常の家の敷地に長家を建て、秀次郎は角良の養子にすると言います。そして江戸常組は解散し、組の者は角良で働くことにします。秀次郎は意見書を大場土建に届けに行き、そして角良の娘と別れの言葉を交わし、梅吉らに後を託して祭りに紛れて岩田へ斬り込み、岩田を殺します。

 日活で出せる役者を皆出したというぐらいの豪華キャストなのですが、やはり東映の'60年代中頃の迫力には比べようもないのは仕方がないところでしょうか。色はとてもきれいで、画面の色を見てるだけでも楽しめますが、話は愁嘆場のオンパレードで、それも湿っていて、高倉健や池部良や鶴田浩二の偉大さが却って忍ばれる結果となっています。最後のショットが高橋英樹の泣き顔というのもいただけませんでした。しかし、マキノ監督も、この頃になるともう任侠映画には飽きて来ていたのかもしれません。そうした中で薄幸の娘を演じる、まだ無名時代の梶芽衣子と、江戸常組の女将さんを演じた南田洋子の存在が光っていました。2人のファンの方には、オススメです。