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ローレンス・ブロック『砕かれた街』

2007-05-31 15:44:45 | ノンジャンル
 吾妻ひでお氏のお気に入りというローレンス・ブロックの「砕かれた街」を読みました。文庫本で900ページ近い大作です。
 舞台は2001年9月11日以後のニューヨーク。掃除夫のパンコーは3軒の酒場と1軒の売春宿の掃除をし、1週間に1回掃除に行くマリリンの部屋で彼女が絞殺されているのを発見します。前の晩に一緒だったのを目撃されている作家のクレイトンは逮捕されますが、それが彼に世間の注目を集め、出版権が350万ドルで売れます。犯罪は続き、ことごとくパンコーの仕事先が狙われ、売春宿では3人が殺され、酒場には火炎瓶が投げ込まれます。防犯ビデオの映像から、放火の犯人は最近広告会社を退職した62才のウィリアム・ボイス・ハービンジャーだと分かります。彼はカーペンターと名乗り、この市の再建を考えています。彼は住人を殺して彼のアパートにひそみ、そこからハウスボートの持ち主を殺して彼になりすまして船を操ります。酒場に残されていた指紋からマリリン殺しもカーペンターの仕業だと分かります。元警察本部長のバックラムは彼が潜む船を見つけだし、監視しますが、カーペンターの奇襲に遭って手錠でタンスに繋がれてしまいます。カーペンターは最後の自らの命も犠牲にする仕事のために大量のガソリンとビールの空き瓶2ダースを船に積み込み、船を出し、先ずボートハウスに火炎瓶を投げ始めます。バックラムはポケットの鍵で手錠をはずし、沿岸の娯楽施設に突っ込もうとしているカーペンターを、銃撃戦の末射殺し、ニューヨークは平和を取り戻します、という話です。
 これ以外にも、犯人に間違われ逮捕されることによって、かえって有名になり出版権を売って350万ドルを手に入れる作家クレイトン、現代美術の画廊の主人ですが乳首にピアスを入れたのがきっかけでセックスの虜になるスーザンらの言動がかなりの部分をしめ、スーザンがらみで様々な形のセックスを描くシーンがふんだんに盛り込まれています。
 感想を端的に言うと、長い! 人物描写や人物の私生活の説明の文がやたら長いし、本筋と関係ない会話も多すぎます。著者としては、9・11以後のニューヨークでの人々の生活を描きたかったんでしょうが、あまりそうしたことに興味のない私としては退屈の一語でした。犯人の動機も理解不能で、ほとんどそれに対する説明もありませんでした。時間つぶしに困っている方にはオススメです。