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島村洋子『ブスの壁』

2007-05-16 17:03:04 | ノンジャンル
 吾妻ひでお氏が「いつも明るくて元気」と評した島村洋子さんの「ブスの壁」を読みました。もちろん「バカの壁」からいただいた題名で、中身はエッセイ集です。
 恋愛の話が多く、理解に苦しむ内容のところもありました。商売変えを頻繁にする、ちょっと常規を逸した家族の話とか、お遍路さんを実際にしてJR四国の親切さを感じるとか、中身は盛り沢山です。良かった話は、夫が「洋子がボケたら、一緒に手を引いて公園に行くねん。洋子が歩かれへんようになったら車椅子に乗せて、桜、見に行くねん」と著者に言うところとか、「そういえばいつも忙しく働いていたかあちゃんが突然、自分の小遣いで私が小学四年生のとき、『小学館少年少女世界の文学全集全二十四巻』をとうちゃんに秘密で買ってくれた。あれは当時三万五千円した。」という話。ためになった言葉は、第三者が自分の家族の不幸に対して「楽しむ権利はあっても悲しむ権利はないと言うか、おおっぴらに悲しむ権利はないのだ。こういう場合はきっとひとり遠い空を見上げて悲しむのが正しいのである。」というのとか、「無理して続けなくてはならないのだったら、夫も恋人も友達も子どもも私はいらない。自然にあるべきところにあるものは欲しい。」とか。
 またこの本では、「デブデブ」という言葉と「包茎」という言葉が頻発し、著者がこの二つのことに非常にこだわっていることが分かります。
 島村洋子さんと言う人は、私は知らなかったのですが、文壇では姉御で通っているような貫禄のある方のようで、セックスに関してはとてもオープン、生きたいように生きるということを実行されている希有な方とお見受けしました。こういう方と出会う機会があったら、自分の態度に気を付けた方がいいと思いました。といっても、私は一生お会いできないとは思いますが‥‥。
 ストレートにものを言う方なので、そうした文章がお好きな方にはオススメです。