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ジム・ジャームッシュ監督『パーマネント・バケーション』

2007-05-08 16:50:04 | ノンジャンル
 今日紹介するのは、WOWOWで見た、ジム・ジャームッシュが大学の卒業制作として16ミリで撮った長編デビュー作「パーマネント・バケーション」です。以前に一度見たことがあるのですが、内容はすっかり忘れていました。
 ニューヨークに住む主人公の青年・アリーは、壁に「アリーは完全にイカれてる」と落書きする。彼は息子が生まれたら、チャーリー・パーカーの名前をとってパーカーと名付けようと思っている。彼は一所にいると、やがて嫌気がさし、別の場所へ移る漂流者だ。彼女の部屋を訪ねると、彼女は下着姿で窓の外をぼんやり見ている。アリーは勝手にレコードをかけて踊りまくり、サッと生きて早く死ぬことに憧れる、と言う。彼のロートレアモンの小説の殺人の箇所を声を出して読み、彼女にあげると言うが、彼女は既に読んでいると言う。彼は中国人に爆撃された実家の跡を見て来ると言い、廃虚となった場所に行くと、実際爆撃の音がしている。ベトナム戦争をまだ戦っているつもりの男までいて、彼を相手に昔実家に住んでいた頃の話をする。次に精神病院に入院している母を訪ねると、母は「おまえは息子だ。その目はおまえの目じゃなく、お父さんの目をくり抜いて入れたんだよ」と言い、同室の患者は大声で笑う。病院を出て廃虚の町をさまようアリー。狂ったように歌を歌う下着姿の若い女。映画館ではニコラス・レイ監督の「バレル」が上映されていて、つまならいジョークを聞かせる黒人の話を聞いてると、「続・夕陽のガンマン」のテーマが一瞬流れる。夜の町でサクソフォーンを吹く男(ジョン・ルーリー)にリクエストを求められ「バイブしててクレイジーな曲」と言うと、男はフリージャズを演奏し始め、アリーは立ち去る。朝、野外で目覚め、運転者のすきを見て車を奪い、業者に「金がいるんだ」と言うと800ドルと言っていたのを1300ドルで買い取ってくれる。そして船に乗りパリを目指す。彼の旅は永遠に続く、という話。
 永遠の旅人のファンタジーで、中国に爆撃されたニューヨーク近郊の町など、架空の空間が出て来たりしてかなり思いつき重視で作っている感じです。シーンとシーンの間に黒みを入れるなど、ゴダールの影響も伺えました。ニコラス・レイとの関係はこの時からできていたようで、最後のロールでも「Special Thanks」のところに、ニコラス・レイの名前が見えました。あくまでも習作の域はでませんが、興味深い一本だと思います。ジム・ジャームッシュのファンの方、ヴィム・ヴェンダースのファンの方でまだ見ていない方にはオススメです。