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乙一『小生日記』

2007-05-07 15:44:53 | ノンジャンル
 今日紹介するのは、吾妻ひでおさんが「うそばっかり書いている」といいながらも面白がっていた乙一氏の「小生日記」です。これは題名の通り、乙一氏の日記をまとめたものです。
 読んでみると、吾妻ひでおさんが言っているようにうそばっかりです。例えば、「ファミレスでドリンクバーを注文して、銀行を襲撃する計画を練った。問題は、頭からかぶるストッキングをどうやって買うかだった。」「ファミレスに1人で6時間ほどいた。その間、何をしていたのか記憶にない。しかしふと気づくと、血のついた大量の紙幣がポケットに入っていた。」「(電車内で)膝の上に置いた小生の手は、将来の不安やら、執筆の重圧やらで小刻みに震えていた。隣にキレイな人が座って本を読んでいた。そのキレイな人は、本を畳んだかと思うと、おもむろに小生の手を握りしめた。小生は驚きつつ、『なにをするんですか』と言った。キレイな人は、『いえ、震えていたものですから』と返事をした。」「第二次大戦中の日本において、クリスマスというのは非常に恐ろしい日だった。夜になると一斉にサイレンが鳴り響き、大人たちは『サンタがくるぞ! 靴下を隠せ!』と叫んだ。」「テレビジョンを購入しようとしてレジでクレジットカードを出したところ、限度額を超えていて使用できませんでした。(中略)クルーザーやジェットコースターとか購入したためでしょう。」などなどです。
 また著者の人格を疑うような記述もありました。例えば「彼女は(中略)テロで巻き添えになり死んでいたかもしれない。『そうなってたら笑ってたやろうなあ』と定金伸治が言った。まったくである。」「友人からのショートメールに『ブロンソンが死んでショックな夜』と書かれてあった。おもしろかった。」後半の文など、みうらじゅん氏が読んだら激怒すると思いました。
 と本を読みながら、「ウソばっかりつきながって」「何てひどい奴なんだ」と怒っても、これは自業自得なのです。というのも、著者は本の冒頭で「この本は読むな、時間の無駄だ」と力説しているからです。その警告にも関わらず、読んだ自分が悪いのです。
 ということで、お閑な方には、時間つぶしにオススメかも?