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新井素子『素子の読書あらかると』

2007-05-04 16:05:31 | ノンジャンル
 今日紹介する本は新井素子さんの「素子の読書あらかると」です。新井素子さん、というと私が大学生の頃にアイドル的な人気があった作家さんだと思います。そして今回私は始めて彼女の本を読みました。なぜ当時読まなかったのか、今となっては謎ですが、人気のあるものには背を向けるという生来のへそ曲がり体質がそうさせたのかもしれません。
 さて、この本、著者も最初に書いてるように本をめぐるエッセイ集です。決して書評ではありません。
 そして新井素子を始めて読むものとして、まず、気になったのが、その文体です。「というのは。」「という訳で。」「まあ、ただ。」「あ、ただ。」「んで、あの。」「んでは。」という文が文節でなく、文として成立していることです。これは彼女独特の文体なのでしょう。
 内容に関しては楽しく読ませていただきましたが、読んでてなるほどな、と思ったところを抜粋すると「映像作品に比べて、お話の優れている点って、ひとえにここなんだと思う。お話であるから。目には見えないものであるから。およそ、考え得る限り、自分にとって、もっとも素敵なものを、子どもは脳裏に描くことができる。そして、そのまま、夢の世界の中にはいっちゃえば、ああ、それって、素敵!」「物心がついてからの私、実はちょっと、寝る前に本を読んでもらうって習慣を、莫迦にしていた処がある。だってまあ、本って、自分の目で、自分のペースで読むのが一番いいもんね。けど。今回、その思いをいささか改めた。読書をする場合、絶対目を開けていなければいけないけれど、目を瞑ってお話を聞けば、それだけ、空想力の翼ってものは、ひろがるもんね。」「自分の皮膚が、自分が他の何をやっていても、きっちり生き物としての仕事をやってくれているってこと--人間、なかなか実感できないじゃない。健康な皮膚が新陳代謝をしているだなんて、目で見て判るもんじゃないしね。」などなどです。
 楽しいエッセイに、ためになる言葉。7年前に発行された本ですが、今でも十分楽しめます。