しつこいようですが、また朝日新聞の特集記事「2006年 この一冊」の対談で話題になっていた手嶋龍一さんの「ウルトラ・ダラー」を読みました。「第一作なのに、舌を巻くほどうまい」「経済関連の小説は読むのに気力がいるが、ニュース解説をやってきた人だけあって、分かりやすい」とは松田筑摩書房編集者の弁で、真鍋かをりさんは読んでいないようでした。この著者、確かにNHKでのニューヨークからの中継で何度も見た顔の人で、印象は「ちょっと危ない人なんじゃないか?」というものでした。そんな著者のデビュー作です。
イギリスの諜報部の人間と、学生の頃からの親友のアメリカの諜報部の人間、それに美人で頭が切れるアメリカの官房副長官らが、北朝鮮が偽札を見分ける最新機械を日本から密輸入し、それをもとにとても精巧な偽ドル札「ウルトラ・ダラー」を作り、それを流通させることによって得た資金を使って、ソ連製の巡行ミサイルをフランスから輸入するのを阻止する話です。
多彩な登場人物、無駄のない流れるようなストーリー、たしかにこれがデビュー作とは思えないうまさですが、私には、それだけに思えました。
致命的なのは、人間が描かれていない点です。浅いレベルでの人間間のやり取りはありますが、登場人物に感情移入することは最後までありませんでした。
著者本人だけが小説といい、それ以外の人は皆本当の話を書いたのでは、と噂しているそうですが、そのレベルでしか興味をもてない、そんな小説でした。
と、私は感じましたが、皆さんはいかがでしょうか? 実際に読んでみて、ご自分で判断してみた方がいいかもしれません。
イギリスの諜報部の人間と、学生の頃からの親友のアメリカの諜報部の人間、それに美人で頭が切れるアメリカの官房副長官らが、北朝鮮が偽札を見分ける最新機械を日本から密輸入し、それをもとにとても精巧な偽ドル札「ウルトラ・ダラー」を作り、それを流通させることによって得た資金を使って、ソ連製の巡行ミサイルをフランスから輸入するのを阻止する話です。
多彩な登場人物、無駄のない流れるようなストーリー、たしかにこれがデビュー作とは思えないうまさですが、私には、それだけに思えました。
致命的なのは、人間が描かれていない点です。浅いレベルでの人間間のやり取りはありますが、登場人物に感情移入することは最後までありませんでした。
著者本人だけが小説といい、それ以外の人は皆本当の話を書いたのでは、と噂しているそうですが、そのレベルでしか興味をもてない、そんな小説でした。
と、私は感じましたが、皆さんはいかがでしょうか? 実際に読んでみて、ご自分で判断してみた方がいいかもしれません。