メロディック・ハード/メタルが好き~♪

シンフォニックでメロディアスなのHM/HRのCDを中心に感想を書いていきます。サッカーやバレーのことも。

Kamelot の Swilverthorn

2013-01-24 15:12:10 | メロディック・ハード
アメリカのシンフォニック・メタル・バンドの10作目。
 
このところのKamelotは、同じようなミドル・テンポの曲が並び、
マンネリしてたように思う。
もう以前のようなドラマティックな曲は期待できないのかと思っていた矢先の、Roy Khanの脱退だった。
 
新任のボーカリストは、Dream Theater系の、テクニカルなプログ・メタルを演奏していたSeventh WonderのTommy Karevik。
彼が、信じられないくらいRoy Khanに似ている。
知らずに聴いていたら、Roy Khanと信じて疑わなかったことだろう。
声質や歌い回しはもちろん、独特の息づかいまで再現している。
 
Royは、ライブでは非力だったので、Tommyの方がウケが良くなるかも知れない。
過去の曲も、遜色なく歌いこなせるだろう。
けれど、それで良かったのだろうか?
Journyのように、絶えず比較されてしまう。
全く新しい声でやってほしかった。
Nightwishのように。
おそらく、Thomas Youngbloodが、サウンドを変えたくなかったのだろう。
Thomasが求めるボーカリスト像が固まっているのだろう。
それは、ライブで助っ人としてRhapsody Of Fireのファビオ・リローネや、Circus MaximusのMichael Eriksenを起用したことからも明らかである。
だけど、どうしてもルパン=栗田貫一感がぬぐえないのだ。
 
Kamelotというと、必殺のバラードが必須だが、Silverthornでも5曲目の“Song For Jolee”がそれに当たる。
悲しく切なくも美しい。
 
2曲目の“Sacrimony”は、従来通りのキラーチューンである。
6曲目の“Veritus”も王道Kamelotサウンドで、コーラスがゴシックっぽい。
Elize R ydの女性ボーカルがいい。
最後のフォーキーなアコーディオンが余韻を残す。
8曲目のタイトルナンバー“Silverthorn”は、Ghost Operaに似た雰囲気を持つ。
11曲目の“Prodigul Son”は組曲だ。
映画の場面を見るような荘厳さがあり、悲壮感が漂う。
ここでのThomasのギターソロは、スケールが大きくていい。
 
相変わらず、シンフォニックで重いサウンドが続くが、Thomasがメロディアスを心掛けたというだけあって、一本調子ではない。
けれど、名作EpicaやThe Black Haloは超えられてない。
それは、キャッチーさが足りないためと思うのだ。

夢のようなMoon Safari

2013-01-13 11:03:40 | メロディック・ハード
Europian Rock Fes 2013
2013.1.12(土) 川崎クラブチッタ
 
 
Flower Kingsが見たいとの積年の思いが実現したライブでだった。
もちろん、Flower Kingsは素晴らしく、期待通りだった。
 
が、それ以上に私の心を捉えるバンドが出現したのだ。
 
Moon Safari!!
 
Flower Kingsには失礼だが、Moon Safariへの溢れる思いを吐露したい。
 
 
彼らには、以前から注目しており、その高度で爽やかなサウンドと重厚なコーラスワークに驚嘆していたが、
ここまでライブパフォーマンスが高いとは思ってなかった。
というのは、完璧なコーラスは、スタジオで積み重ねてできたものだろうと思っていたからだ。
ところがどうだろう、ステージではCD以上だったのだ!!
 
メイン・ボーカリストは、Simon Akesson(key)とPetter Sandstom(g)の二人。
2人とも歌がうまいし、声がきれい。
これだけでもすごいことなのに、コーラスとなるとさらに凄みを増す。
音と音程と音階とリズムの完璧な融合。
2人だけでなく、もう一人のキーボードとリード・ギタリスト、ついにはベーシストも加わり、軽いのに厚みのあるコーラスで酔わせてくれた。
ビーチ・ボーイズだと思っていたコーラスが、マンハッタン・トランスファーに感じてきた。

目の前で起こっていることが信じられなかった。
圧倒的な完成度の高さに、心から満足し、幸せな気分に浸った。
そう、Moon Safariの素晴らしいところは、高度な演奏が“拝聴”にならず、心底Happyになれることだ。
そのままずっと、何曲だって聴いていたかった。
 
 
Moon Safariは、ビジュアル的にも満足させてくれた。
メイン・ボーカルのSimon Akessonが、とにかくカッコいい!
特に歌っている時が。
高音は一生懸命声を張り上げ、体を揺さぶってシャウトする。
 
Simonのキーボードと歌声、高度なことをやっているにもかかわらず、メンバーの演奏を見た時の微笑みに、ハートを射抜かれた人たちも多いのではなかろうか。
彼ら自身が一番幸せそうで、優しい笑顔だったから。
 
1曲目の“A Kid Called Panic”から、ラストまで、あっという間だった。
特に感動したのが、アンコールが終わり、メンバーが中央に集まって観客の声援に応えた後のアカペラ“Constant Bloom”
不意にSimonがキーボードに戻り、1小節弾いた。
それが合図だった。
Simonがメンバーの元に戻ると、観客に感謝するように、崇高に高らかに歌い上げた。
もう、他の楽器はいらない。
声こそが最高の楽器なのだ。
感動の涙をこぼし、熱いものに体を支配された。
 
また聴きたい。
再来日してほしい。
多分、再来日するだろう。
もしも、彼らの曲がCM等に使われたら、広く知られたら、きっとBIGになるから。
 
 
ステージ終了後、クラブ・チッタのロビーにMoon Safariのメンバーがいて、ファンサービスをしていた。
私も、ライブCDにサインをしてもらい、最年少のSebastian Akessonと握手ができた。
何事も一生懸命なメンバー達だ。
本当に信じられない。夢のような時間だった。
 
 
Moon Safari セットリスト
 
A Kid Called Panic
Heartland
Yasgur's Farm
New York City Summer Girl
Lover's End Pt. III
★Encore:
The Ghost of Flowers Past
Constant Bloom
 

http://youtu.be/R1hzN-RpCYU

(Constant Bloom)観客の頭が気になるけど、コーラスのバランスが絶妙

http://youtu.be/V-fl6IpGeRY

(Heartland) ライブの様子をよく表してます。ヘヴィーな曲。

Les Miserables(映画)

2013-01-09 14:33:47 | メロディック・ハード
映画「レ・ミゼラブル」は、感動の連続だった。
始まって20分で、早くも涙ぐんでしまい、その後もずっと泣きっぱなしだった。
 
何がそんなにも感動させるのか?
死に逝く人や、無情さの悲しみがダイレクトに伝わってくるとかの簡単なものじゃない。
それは、愛だ。
混沌としたフランス革命後の戦乱の世の中で、
『愛に勝る確かなものはない』ってことだ。
一貫しているのは、自分のことよりも、人のことを思いやる気持ちだ。
 
例えば、自分のことはどうなってもいいから、
娘のコゼットを生かせてと神に願うファンテーヌだったり、
コゼットの幸せを願う余り、自分は孤独を選んで身を引くジャン・バルジャンだったり。
死や孤独が身近な世の中で、あえて暗黒な道を選ぶ生き方に、心が揺さぶられたのだ。
その人を愛していればこそ。
愛しているほど、切なくなる。
人は、こんなにも献身的になれるのだろうか??
 
他にも、いろんな形の愛が溢れていて、すべてを満足させる愛はないのだと訴える。
それらが、神のご慈悲というキリスト教の概念に覆われているため、確かな説得力がある。
 
今の自分の状況に不満を持たず、今あるものに感謝し、愛情を分け合う・・・。
口に出すと照れてしまうようなことを、純粋に実行しようって気持ちになった。
 
 
作品は、ミュージカル仕立てで、出演者自身による歌が圧倒的だ。
皆素晴らしかった。特にアン・ハサウェイが。
私は2回ミュージカルを見ていたおかげで、感動が倍加したのだろう。
曲の深い意味を知ったり、ストーリーの細部まで入り込むことができた。
 
悲劇だけで終わらず、前向きにもなれる部分もあることに共感した。
いまだ感動の余韻が続いている。
こんなこと、初めてだ。

Dukes of September Rhythm Revue Japan Tour 2012

2012-11-04 20:21:57 | メロディック・ハード

Dukes of September Rhythm Revue Japan Tour 2012
11月1日(木) 日本武道館


【来日メンバー>】

Donald Fagen
Michael McDonald
Boz Scaggs

Jon Herington (g)
Freddie Washington (b)
Shannon Forrest (ds)
Jim Beard (key)
Jay Collins (sax)
Michael Leonhart (tp)
Walt Weiskopf (sax)
Carolyn Escoffery (vo)
Catherine Russell (vo)


【セットリスト】

01. People Get Up and Drive Your Funky Soul (James Brown cover) (Live Intro)
02. Who's That Lady (The Isley Brothers cover)
03. Sweet Soul Music (Arthur Conley cover)
04. I Keep Forgettin' (Every Time You're Near) (Michael McDonald cover)
05. Trouble Man (Marvin Gaye cover)
06. Kid Charlemagne (Steely Dan cover)
07. The Same Thing (Muddy Waters cover)
08. Miss Sun (Boz Scaggs cover)
09. I Heard it Through the Grapevine (Gladys Knight & The Pips cover) (sung by Caroline Leonhart)
10. You Never Can Tell (Chuck Berry cover)
11. Summer in the City (The Lovin' Spoonful cover)
12. If You Don't Know Me By Now (Harold Melvin & The Blue Notes cover)
13. What a Fool Believes (The Doobie Brothers cover)
14. Hey Nineteen (Steely Dan cover)
15. Love T.K.O. (Teddy Pendergrass cover)
16. (Take a Little) Piece of My Heart (Erma Franklin cover) (sung by Catherine Russell)
17. Peg (Steely Dan cover)
18. Lowdown (Boz Scaggs cover)
19. Takin' It to the Streets (The Doobie Brothers cover)
20. Reelin' in the Years (Steely Dan cover)

---encore---

21. Lido Shuffle (Boz Scaggs cover)
22. Pretzel Logic (Steely Dan cover)
23. Thank You (Falettinme Be Mice Elf Agin) (Sly & The Family Stone cover)
24. Them Changes (Buddy Miles cover)
25. People Get Up and Drive Your Funky Soul (James Brown cover) (Live Outro)


素晴らしい演奏だった。
メインの3人の変わらぬ歌声、まずこれが圧倒的だった。
それに絡む、黒人女性と白人女性のコーラス。
彼女達の力量はまた、最高だった。

びっくりしたのは、ボズ・スキャッグスだ。
全く衰えがない。
頭が多少薄くなった程度で、外見もそれほどは変わらない。
声の質、声の艶、楽曲のノリ、グルーブ感、どれを取っても全盛期のそのままだ。
いや、今が全盛期と言われても、信じてしまう。
彼は、ストラトキャスターや、レスポールとセミアコの中間のようなギターを弾いていた。

ドナルド・フェイゲンは、ど真ん中に陣取ったピアノの前にいた。
MCのすべてを彼が担当していた。
彼もまた、変わらぬ歌声だ。
でも、元々渋い声が、益々渋くなっていた。
彼がメインボーカルを取る時は、ピアノから立ち上がり、なぜかピアニカを左肩に掛けて演奏していた。
縁が水色の、小学生が使うようなピアニカをだよ。
それを嬉々として弾いていたように見えたから楽しい。

残念だったのが、マイケル・マクドナルドだ。
彼は太ってしまった。それも大幅に。眼鏡もしていた。
歌う声は大きく、力強い。
けれど、高音がかすれてしまっていた。
すごく心配したけど、後半になるにつれて出るようになったのはさすがだ。

バックも、実力者達が務め、すごく気持ち良く聴けた。
聴いている人も、ほとんどが50歳以上のオヤジ、オバさんばかりだったが、長いこと聴いて来ただけある。
どこで拍手すべきか、歓声を上げるべきかを押さえていて、全然ストレスが溜まらなかった。
HMと違って、シャイな人が多いのかと心配したが、そんなことはなく、ドナルド・フェイゲンの問いかけにも応じていた。
本当に心地よく、心が豊かになるのを感じた。

演奏は、AORばっかりだろうと期待していたが、そうではなく、バラエティ豊かだった。
ホーン・セクションを前面に出しての、ブラック・ミュージック、カントリー、ジャズ、ブルース、ダンス・ミュージックなどだ。
ホンキートンクな曲調もあった。
私は、ホーン・セクションが苦手で、ロックがかっているなら大丈夫なのだが、カントリーとなると。。
ブラックもなぁ。
ちょっとむずかしい時間が続いたのも事実だ。
というのも、カバーが多かったからだ。

それでも、彼らの持ち歌となると、一気に会場が沸き起こり、たちまちテンションが上がった。
私目に一番盛り上がったのが、ボズの“Lowdown”だ。
オリジナルは、ジェフ・ポーカロが叩いたんだなぁと思うと感慨深く、1階席からは彼のドラミングがハイハットまでよく見えたので、ドラマーのShannon Forrestばかり凝視してしまった。
“Lido Shuffle”の変リズムは、本当にカッコ良かった!

ギターのJon Heringtonは、5台のギターを使い分け、スティーブ・ルカサー、ラリー・カールトン達の音色の特徴をよく再現していた。
柔らかさと温かみ、それと優しさを備えた、魅惑的なギターソロだった。

緻密で隙のない演奏、バック・コーラス共に、ハートフルな最高の歌声。
12000円は高かったけど、決して損はなかった。
30年以上前の胸のときめきを、再び与えてくれたから。
夢を見ているようだった。


演奏を聴いて、ベテラン勢の来日は、見たいのがあれば足を運ぼうと思った。
気が付いたら死んでしまっていたと、後悔しないように…(それかい 汗)


Rush の Clockwork Angels

2012-08-19 13:56:00 | メロディック・ハード

カナダのプログレッシヴ・メタル・バンドの、実に20作目。
前作Snakes&Arrowsから、5年の歳月が経っている。

メンバーも、全員が59歳を超えたため、名声を武器にマンネリでも売ってしまうサウンドになりはしないかと心配していた。
が、手にしたものは、不安を微塵も感じさせない、素晴らしい作品だった。

ジャケの時計が21時12分 ⇒ 2112 を示していることから、76年の不朽の名作『2112』を意識しているとされる。
実際、今年は2012年。100年早いメモリアル・イヤーではないか。
全12曲の中に、それぞれのストーリーを内包させているコンセプト・アルバムだという。
残念ながら、私は輸入盤なので、買い直し必至である。
Rushの作品は、ニール・パートの詩を理解してこそだから。


前置きが長くなってしまった。
サウンドは、アレックス・ライフソンのギターリフがいつもよりも力強く、テクニカルというよりヘヴィーだ。
そこに、ゲディ・リーのリード・ベースが駆け巡り、いつものRushさに口元が緩む。

9曲目の“Headloing Flifht”のギターソロは、サイケディックですらある。
自由に、70年代の古さも絡めつつ、縦横無尽に何でもアリに弾きまくる。
Rushのギターソロは、テクニカルであるべしとの固定観念を打ち破るようだ。
もちろん、テクニカルさはあるけれど、それよりもほとばしるパワーやエネルギーの熱情に圧倒された。

ゲディ・リーの声も健在。DVDのような不自然さはない。
柔らかく、時に高音を無理せず出してていい。
声が若く、80年代の声そのままなのに恐れ入る。

ニール・パートは、1曲目の“Caravan”から、変拍子多用の素晴らしいドラミングを聴かせてくれる。
衰えぬ体力と、作品を極める目的の高さは尋常じゃない。

お気入りは、4曲目のタイトル・ナンバー“Cloickwork Angels”と、6曲目のアコーステック・ギターがフューチャーされた“Halo Effect”だ。
“Clockwork Angels”は、明るめのサウンドと、Zepを思わせるヘヴィーなリフが楽しい。
ゆったりとしたリズムと速いリズムが交互に来て、変化があるのがまたいい。
そして何と言っても、アレックスの変幻自在なギターソロだ。
“Halo Effect”は、懐かしさが溢れて来てしまって、言葉にならない。
70年代~Rushに限らず~の空気感をそのまま切り取って持ってきたみたいだ。
胸がいっぱいになる。


これは、Rushの温故知新なのか、34年間の集大成なのか・・・。
おそらく、そのどちらでもない。
Rushの今現在の姿なのだろう。


Grand Illusion の Prince Of Paupiers

2012-07-08 11:02:34 | メロディック・ハード

スウェーデンのメロディアス・ハード・バンドの、再結成2作目。

これが、素晴らしくいい!
メロディラインにフックがあり、ドラマティックな仕上がりで耳が離せない。
ハードロックでありながら、AORの面を持ち合わせ、歌メロを聴かせるのだ。

80年代のアメリカン・ハード・プログレの側面もある。
特にギターソロにそれを強く感じると思ったら、ギターソロは、ゲスト・ミュージシャンとしてTOTOのSteve Lukatherが弾いていたのだ。
なめらかで、泣きがあって、余韻がある。
早弾きではなく、メロディの音としての美しさを追求している。
どおりで、琴線に触れ続けるわけだ。

さらに、2曲目の“Better Believe It”は、元エアプレイのJay Graydonが弾いていた。
なるほど、Grand Illusionのサウンドはエアプレイに似ている。
明るく、簡潔な親しみやすいサウンドであり、コーラスに凝り、洒落れている。
何より歌メロが美しく力強いので、思わず口づさんでしまう魅力がある。

またリズム・ギターには、Tim Pierceが参加だ。
彼は、セリーヌ・ディオンやボン・ジョビなど、さまざまなミュージシャンと仕事をしている。
他にも沢山のゲストが参加している。

なんか、ゲストばっかりすごいと思ったが、Grand Illusionの中心メンバーのAnders Rydholmこそが作詞、作曲、アレンジにプロデュースまで手掛けてしまうマルチですごい人物なのだ。
あのデーモン閣下のプロデュースもやったらしい。
楽器は、キーボードとベース、リズム・ギター。ここでもマルチだ。

あと忘れてはいけないのが、Peter Sundellの歌のうまさ。
ハイトーンで、カラっとしていて力強い。
ストレートな歌い方だが、時にソウルフルに歌うため、心に響くのだ。


励ましてくれるサウンドだ。高揚してくる。
心が沈んでいる時、物事がうまくいかない時には、特にオススメだ。


Circus Maxmus の Nine

2012-06-24 22:42:19 | メロディック・ハード
ノルウェーのプログレッシヴ・メタル・バンドの3作目。
 
私の大好きなボーカリストであるマイケル・エリクセンの在籍バンド。
以前のサウンドは、Images&Wordsの頃のDream Theaterのように、キャッチーさを持ち合わせながらも、変リズムで高度なことをやっていた。
いわば、私の求めるプログレッシヴ・メタルを具現化していたのである。
 
当然、期待を持って、新作を待ちわびていた。
けれど、期待は少々裏切られてしまった。
 
裏切られたポイントは、
 
①よりヘヴィーになってしまったこと
 彼らの魅力は、そのスピーディーで自由奔放な展開であったはずだ。
それをヘヴィーなサウンドにしてしまったため、鋭利な切れ味が鈍重してしまった。
リフは退屈で、ただ重たいだけ。
まるでDream Theaterの『Train Of Thoughts』での、ヘヴィーであるゆえに叙情性がないといった方向を歩んでしまったようだ。
 
②マイケル・エリクセンの歌声が減少
 彼のイケメン・ヴォイスが減ってしまったのは痛い。
さらに、喉を痛めた経験からか、それほど高音を使わなくなった。
これは、Angraのエドゥ・ファラスキが、喉を痛めたことにより、高音を使わないボーカルに変化し、挙句の果て脱退したことを思い起こさえる。
が、マイケルはまだ大丈夫だろう。
稀有の素晴らしい喉を持っているだけに、無理しないでこの歌声を守り続けてほしい。
多少の高音の減少は我慢するから。
 
③新しい要素に魅力がない
 2曲目の“Namaste”、3曲目の“Game Of Life”が、それぞれ今までになかったヘヴィーでパワフルな曲だ。
ライブでは、さぞかし映えることだろう。
でも、Circus Maximusには必要なんだろうか?
そんな単調な曲は、声の太いボーカリストのいる他のバンドに任せておけばいい。
全くナマステは、まんま捨て曲だ!
 
④バラードがない
 2ndでもバラードと言えるバラードはなかったが、1stで聴けるバラードは素晴らしかった。
ヘヴィーなのは、インストナンバーにまとめ、1曲くらいは叙情的なバラードを入れてくれてもいいのに。
 
 
それが制作側にもわかっているのか、ボーナストラックはプログレッシヴで歌メロの美しい、2ndからの“Abyss”と“Wither”だった。
日本人には、この手のタイプが受けるとわかっているのだ。
だったら、Circus Maximusに圧力かけろ~!
ボーナストラック聴いて、「ああ、あの頃は良かった」と感じるリスナーは、絶対多いはずだから。
 
それでも、大曲である2曲目の“Architect of Fortune”と“Last Goodbye”は素晴らしい。
プログレとメタルが見事に融和している。
この2曲を聴くために『Nine』を買ってもいいだろう。
 
曲の展開は素晴らしくいい。
新たな良さを見つけるために、聴き込んでみる。

Nightwish の Imaginaerum

2012-02-19 22:15:51 | メロディック・ハード
フィンランドのシンフォニック・メタル・バンドの7作目。

Imaginaerumとは、「想像館」あるいは「架空館」という意味だろうか?
ジャケにあるように、怪しげなテーマパークの通りの作風だ。
各曲が独立していながら、トータルアルバムになっている。
物語の語り手のように、曲は進行していく。
keyのツォーマスが、曲のほとんどと詩を手掛けている。

アルバムは、オルゴールのねじ巻きの後、オルゴールが奏でられて始まる。
フィンランド語なのか、導入となるマルコのゆったりとした“Taikatalvi”で幕開けだ。

続く2曲目の“Storytime”は、キャッチーでいい。
アネットの歯切れのいい歌唱は小気味いい。
だが、ワタシ的には、このアルバムはここで終わってしまった。
あとは、Nightwishのメタルとは違う曲が続くのだ。

部分的に良い曲もある。
例えば、4曲目の“Slow, Love, Slow”
ジャズのスタンダードを思わせるような、けだるく妖しい夜の闇を表現している。

6曲目の“Scaretale”は、シンフォニックなメタルナンバー。
珍しくギターが前面に出ているし、重低音のリフが効いている。
シンフォニックでクワイアを多用した楽曲は荘厳で、パワフルだ。
さらにシアトリカルで場面展開が多く、異次元に迷い込んだような、狂気の世界に招かれる。
この世界観は魅力的だ。

7曲目の“Arabesque”は中近東、8曲目の“Turn Loose The Mermaids”はケルトやトラッド色が濃い。
いや、ケルト音楽は好きだからいいんだけど、Nightwishがやる必要があったのか?
10曲目のマルコの作品“The Crow, The Owl And The Dove”は、アコギを使ったこれもケルトちっくな曲。
美しいし、儚げでいい。
だけど、パワフルで荘厳で壮大だったNightwishはどこへ行ってしまったのか?
まるで、leave's eyesみたいだ。

最悪なのが、ラスト2曲。
オーケストラの演奏とクワイアに乗って、語りが延々と続く12曲目の“Song Of Myself”は、彼らがどうしたいのかわからない。
13曲目の“Imaginaerum”はクラシックそのもの。
それらが20分も続くのだから…退屈だ!


このアルバムは、シンフォニックが大好きな人にはいいだろう。
が、私はもっと攻撃的であってほしかった。
わかりやすいキャッチーな曲がほしかった。
この路線が定着しないことを望む。

Rush の time machine(DVD)

2012-02-01 23:24:15 | メロディック・ハード
カナダが誇る、プログレッシヴ・メタル・バンドのライブDVD。
2011のカナダのClevelandでの演奏が収録されている。

『タイム・マシーン・ツアー 2011』と銘打ってるだけあって、1980年前後の曲が多く演奏されている。

特筆すべきは、Set Twoの頭から始まる一連の曲達。
これが、名作『Moving Pictures』から全曲、曲順通り演奏しているのだ。
Tom Sawer~Red Barchetta~YYZ~Limelight この辺りは、Rushファンなら誰でも耳タコで聴いているだろう。
その複雑であり、メロディアスな楽曲が見事に再現されている。
聴きながら様々な思いが溢れてきて、胸が熱くなる。

観客も、中年オヤジが多く、メンバーと共にエアギター、エアベース、エアドラムをする。
とても楽しそうなのがいい。
私も彼らの演奏を聴いて、勝手にエアドラムをしたい!!

ちょっと残念なのは、ゲディ・リーのボーカル…ハイトーンがパワーダウンしていることだ。
声量が減った気がする。
それを補うためか、高音だけ力を入れて歌っていて不自然だ。
が、50代半ばを過ぎているだろうと思える年齢で、これだけのハイトーンをぶっ通しで歌えるのは驚異的。
音を下げずに歌ってるのも立派。
演奏は、相変わらずのCDの再現そのものである。
複雑で緻密で変リズム当たり前。それなのに、一糸乱れない。
その辺のコンビネーションが、キャリアなんだろう。

“YYZ”はもちろん素晴らしいが、同じインストの“Leave That Thing Alone”も素晴らしい。

メンバー3人とも重量級になってしまい、むしろアレックスがすっきり見えるのが不思議だ。
ゲディ・リーの横向きが…(汗)


オマケ映像がついていた。
“Need Some Love”“Anthem”だ。
初期の頃の楽曲は、Zepからの影響が濃く、シンプルであまり好きじゃないが、
王子のようなゲディ・リーと、中性的で恥じらいの見えるアレックスが素敵。
ルックスだけで、もうオッケーだ。
それと、当時のゲディ・リーのどこまでもハイトーンのキンキン声(褒め言葉)に驚いた。
これはお宝映像だ。


今回は、ブルーレイを買ってみた。
そのおかげなのが、音が歪まず画面がキレイでとても良かった。