本は「磯崎新の都庁」(文藝春秋)。
平松剛という早大建築学科卒業のライターさんの書いた本。知らない作者だったけれど、非常に文章がうまく読みやすい。大宅壮一賞も受賞しているとの事。なるほど、と思わせる力量。
で、内容は1985年に行われた「東京都庁コンペ」の内幕。建築界の天皇、丹下健三と、その弟子であったこともあるポストモダン建築の旗手、磯崎新、このふたりが戦後日本で最大のコンペとなった新宿都庁の建築設計に、いかに取り組み、いかに闘ったかを描いている。
話は戦前、建築が国家の威信を具現化するための手段であった時代から、80年代のバブル前夜、つまり国家の軸が揺らぎこれまでの価値観が変わっていく時代まで、ふたりの建築家を通じ自在に飛ぶ。
このふたりは単に建築家の師弟だっただけでなく、それぞれの生きてきた時代を代表する作家でもあった。従って、コンペは彼らが日本を東京を、どう理解し、どう表現するかの発表の場でもあった。
かつて、戦前の日本のために国威発揚のための建築を行っていた丹下健三。一方、その弟子ではあったものの、万博や安保闘争などでの体験を通じ国家や建築というものに、そこまで無邪気になれない磯崎新。
そうした価値観の違いが、彼らがデザインする設計図にどう影響するのか?
建築コンペという馴染みのない世界を、象徴的なふたりの建築家の思考と表現の争いという形で物語る実に面白い本。
登場人物も、丹下の友人であり、万博では磯崎と一緒に働いた岡本太郎や、ふたりの事務所の個性的な面々、都庁移転に執念を燃やす内務省出身の鈴木都知事など多士済々。芸術、政治、技術、歴史、いろいろなテーマで複雑に絡み合った物語を一気に読んだ。
平松剛という早大建築学科卒業のライターさんの書いた本。知らない作者だったけれど、非常に文章がうまく読みやすい。大宅壮一賞も受賞しているとの事。なるほど、と思わせる力量。
で、内容は1985年に行われた「東京都庁コンペ」の内幕。建築界の天皇、丹下健三と、その弟子であったこともあるポストモダン建築の旗手、磯崎新、このふたりが戦後日本で最大のコンペとなった新宿都庁の建築設計に、いかに取り組み、いかに闘ったかを描いている。
話は戦前、建築が国家の威信を具現化するための手段であった時代から、80年代のバブル前夜、つまり国家の軸が揺らぎこれまでの価値観が変わっていく時代まで、ふたりの建築家を通じ自在に飛ぶ。
このふたりは単に建築家の師弟だっただけでなく、それぞれの生きてきた時代を代表する作家でもあった。従って、コンペは彼らが日本を東京を、どう理解し、どう表現するかの発表の場でもあった。
かつて、戦前の日本のために国威発揚のための建築を行っていた丹下健三。一方、その弟子ではあったものの、万博や安保闘争などでの体験を通じ国家や建築というものに、そこまで無邪気になれない磯崎新。
そうした価値観の違いが、彼らがデザインする設計図にどう影響するのか?
建築コンペという馴染みのない世界を、象徴的なふたりの建築家の思考と表現の争いという形で物語る実に面白い本。
登場人物も、丹下の友人であり、万博では磯崎と一緒に働いた岡本太郎や、ふたりの事務所の個性的な面々、都庁移転に執念を燃やす内務省出身の鈴木都知事など多士済々。芸術、政治、技術、歴史、いろいろなテーマで複雑に絡み合った物語を一気に読んだ。
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