東京ナイト

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TOHOKU Sake Forum 2011@3331 Arts Chiyoda

2011-07-03 23:10:55 | イベント
今日も千代田3331でのイベントに参加してきました。
今回は、東北6県30の酒蔵蔵元が参加しての東北酒応援イベント。

主催は秋田県の若手蔵元の会「NEXT5」。
「新政」など活きの良い蔵元が集まって様々なイベントを仕掛けているようで、今回は数百人規模の大掛かりなイベントでした。

TOHOKU Sake Forum 2011のHP

参加した酒蔵も、秋田だけでなく東北を代表する蔵ばかり。
田酒、楯野川、天明、奈良萬、乾坤一、墨廼江などなど。
蔵の方もたくさん来ていたので、試飲させてもらいながら話を聞かせてもらいました。
特に、前から気になっていた会津娘の方とじっくり話せたのは良かった。
酒造りへの思いなどを聞かせてもらい、なんだかファンになってしまいました。

で、試飲会のほかに、トークセッションもあって、こちらも気合の入った内容。
被災され酒蔵が全壊してしまった宮城の「伯楽星」の方や「はせがわ酒店」の社長さんが、3・11以後の日本酒について語り合うセッションと、「3.11後の環境・エネルギー、そして日本酒について」と題したセッションのふたつを聞きましたが、この「日本酒とエネルギー」がすごかった!

司会が「greenz.jp」の鈴木菜央さんで、「新政」の若い専務さんと「環境エネルギー政策研究所」の飯田哲也さんが参加しての90分。
非常に刺激的で示唆に富んだ素晴らしいセッションでした。
最初は、「エネルギーと日本酒ってどう関係があるの?」といまひとつぴんと来なかったのですが、さすが飯田哲也さん、きっちり分かりやすく道筋を解説してくれました。

飯田哲也さんは、「2020年までに、東北で自然エネルギーによる発電率を100%にすることは可能だ」と言います。
東北の豊かな環境がそれを可能にするのですが、肝心なのが、その事業を誰が担うのか?という事。
例えば、秋田県で昨年、使われた電力や灯油などのエネルギーは年間約1000億円。
これは、秋田の名産品「あきたこまち」の年間の出荷量に匹敵します。
で、このエネルギーに対する支出は、そのほとんどが県外に対するもの。
つまり、県単位で考えれば、年間1000億円の冨の流出が起きているのです。

しかし、3・11以後のソーシャルデザインを考えた場合、自然エネルギーを利用した小規模発電を秋田県の人たちが、自分たちの資本で始めれば、この1000億のお金は県内で回る事になり、県の産業にとってもの凄いインパクトを与えることが出来るはず。
これが、県外の資本によってなされてしまうと、これまでと変わらず、お金は県外に流出してしまいます。

で、ここで登場するのが酒蔵。
酒蔵はその地域で長く営業を続けていて、その地域の名士。
いろいろな利害関係が生じる自然エネルギーを利用した小規模発電事業を行うには、彼らのネットワークや政治力が役に立つはず、というのが飯田哲也さんのアイデア。
お金も、秋田県の地銀の資金力は2兆円もあり、その半分が県外と海外に投資されているので、それをこの事業に投資できれば、、、との事。

すでに北欧などではこうした小規模発電は一般的となっていて、成功例も数多くあるので、東京を飛び越えてそうした海外の知見に学べば、一気に秋田県がエネルギー先進県になれるかも、というワクワクするようなアイデアでした。

うーむ、すごい。
これまでの原発一辺倒の硬直した思考から脱却できない、官僚や大資本を抜きにして、こうしたアイデアを実現できるのは、日本酒をここ20年で素晴らしくイノベーションしてきた若い酒蔵のパワーなのかもしれません。
単なる「東北酒応援イベント」に留まらない期待を感じることの出来た一日でした。