東京ナイト

旅行、食事、映画にお芝居、日々のささやかな幸せを記録します

三十日鳥『踊り日和vol.3 遠くからの音』

2010-02-21 22:42:50 | ライブ、芝居、演芸など
今日は友人が出演している舞踏の公演に。
三十日鳥(ミソヒドリ)『踊り日和vol.3 遠くからの音』。

仙川の住宅街の中にある個人宅。
ときどき「森のテラス」というオープンガーデンとして貸し出されるらしく、今回の舞台はここ。



高台の森の中、テラスのある素敵な一軒家。
中に入ると大きな窓から日が入り暖かい。出演者自らお茶やお菓子を振舞ってくれる。
開演までしばしくつろぐ。
薪ストーブの上のやかんがちんちん沸いている。
20人も入ればいっぱいの会場。子ども連れが多く、奥で赤ちゃんが泣いていたりする。いい時間。

おもむろに開演。
出演者は女性ばかり5人。
生ギターの演奏をバックに、(たぶん)上京してきた女性の不安やワクワクする気持ちを表現している。

というか、あんまりストーリーや意味付けは無意味かもしれない。
何というか、仲の良い女性達が集まってわいわい言いながら、楽しい時間を過ごすうちにひとつのお芝居が出来上がり、そのおすそ分けを僕達がもらっているような気になってくる。
とても幸福な時間。

観ているうちに、若草物語の四姉妹が演したお芝居の事を思い出した。
家族や親しい友人だけに見せる舞台。
でもそこにはとても親密な時間が流れ、観ている方も演じている側も幸福を共有している。

この三十日鳥の舞台を観るのは二度目だが、前回も谷中の蔵を舞台に、枠にとらわれない自由なステージを見せてくれた。
今回の「森のテラス」もとても素敵な空間で、その空間を上手く生かしながらのびのびと演じている。
遠くで鳥が鳴いていたり猫が庭を横切ったりするのもいい感じ。

20人を前にしたちいさなちいさなステージだったかもしれないが、こんな楽しくくつろいで舞台を見るのは初めてかもしれない。
繁華街の大きな劇場でやる事ばかりが「成功」では無いと思う。
「足るを知る」。
テラスで踊る彼女達の幸せそうな姿を見ていてこんな言葉を実感として感じる事ができた。
素晴らしい日曜日。楽しい休日。ごちそうさまでした!

三十日鳥ブログはこちら
http://miso-hi-dori.blogspot.com/

「めぐりゆくまなざし―発見され続ける銭湯―」

2010-02-21 10:28:43 | イベント
昨日は本郷の東京大学で開催された「めぐりゆくまなざし―発見され続ける銭湯―」というシンポジウムに行ってきました。



東京大学大学院人文社会系研究科文化資源学研究室というところが主催で、その学生さんたちが手作りで企画したイベント。
でも、出演者は豪華で、路上観察会の藤森照信先生! 画家の大竹伸朗さん!他に関西で頑張っている銭湯文化サポーター'sのラッキー植松さん、内田利惠子さん、東京大学教授の渡辺裕先生も出演。
いよいよ東大でも銭湯をテーマにイベントが・・・、とちょっと感動しました。

内容も充実。パネラーが一人ひとり発言するのですが、売れっ子現代画家の大竹伸朗さんは、直島に「I ♥ 湯」という銭湯を作品として建てたりしていて、その話。
話題がいったりきたりするのですが、間の取り方が上手く、盛り上がりました。
「I ♥ 湯」かなり行きたいです。
既成概念にとらわれない、新しく魅力的な銭湯が発見できそうです。
http://www.naoshimasento.jp/#/ja/contents/01

藤森先生の「宮造り銭湯は、震災以後の建物。それ以前の社会は地縁がしっかりしていたので銭湯が部外者に存在をアピールする必要が無かった。だから京都の銭湯は今も派手じゃない。」という発言には納得。他にタイル絵職人、章仙を巡る探索記も大笑いで楽しめました。銭湯ナイトにも来て欲しいかも。

銭湯文化サポーター'sのおふたりは、昨年京都の錦湯であったイベント「ふろいこか~」でも聞いた美章園温泉の廃業を巡るお話。
一過性のイベントだけじゃなく、「銭湯お掃除サポート隊」「似顔絵巡回展」など、地に足の着いた地道な活動をされている事に今回も感銘を受けました。
東西で刺激しあいながら、銭湯を巡る草の根運動を盛り上げていきたいと僕も思った次第です。

最後に、渡辺裕先生。ドイツで起きている旧東独への懐古ブームや「三丁目の夕日」を巡る昭和レトロブームなどを通じ、「今なぜ銭湯が発見されているのか」を解説。しょうじき、あまりお話は上手くはなかったのですが、内容は示唆に富んでいていろいろ発見がありました。

という訳で、さまざまな立場の方が銭湯について語った興味深いシンポジウム。
こうやって銭湯が「発見」されるのはとても良いことだと思います。
あとは、銭湯文化サポーター'sのラッキー植松さんが壇上で何度も話していた通り、「外側から発見するだけじゃなくて、銭湯に入るという行為も楽しんで欲しい」というところでしょうか。

シンポジウムの後は、一緒に行った友人たちと、本郷三丁目の近江屋洋菓子店で、美味しいケーキを食べて、お気に入りの宮造り銭湯、菊水湯に入って帰宅。
大充実の一日でした。