本は「空白の5マイル チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む」角幡 唯介。

今年の開高健ノンフィクション賞の受賞作品。
チベット奥地にツアンポー峡谷とよばれる世界最大の峡谷がある。
近づくことも困難なこの渓谷は、複雑な曲線を描いて流れており、下流がどの川に合流するのか確かめることが出来なかったため「謎の川」と呼ばれていた。
その為、19世紀から数々の探検家により、秘密のベールに挑む試みがなされてきた。
その過程で、「ツアンポー峡谷の奥深くには巨大な滝が隠されている」という伝説が生まれたりもして、ますます探検家の征服欲が駆り立てられることとなった。
結局、1924年、イギリスの探検家の手により、峡谷のほとんど部分が解明された。
ただ、どうしてもたどり着けなかった部分が5マイルあり、それが「空白の5マイル」として地図の空白部分として残され、幻の大滝もここにあるのではないかと推測された。
その後のチベットの政治的混乱によりこの「空白の5マイル」だけが手付かずの課題として残される事となった。
また昔からチベット仏教で「ベユル・ペマコ」と呼ばれる桃源郷のような場所がこの峡谷にあるのではないかともされていた。
と、ワクワクするようなこの地理的空白地帯は、1990年代に入り、中国政府の改革開放政策により再度、探険家の注目を集めることになった。
アメリカの著名登山家やNHKのテレビ取材チームなどに混じり、日本の大学探検部の部員もこの探検競争に加わった。
それがこの本の著者、角幡 唯介。
大学時代の探検に続き、大手新聞社を辞めて2度目の探検を行った記録がこの本にまとめられている。
読んでいてとても興奮した。
文章も簡潔で、状況がよく分かるし、なにより「21世紀の地球上にまだこんな空白が残されていたのか」という新鮮な驚きがある。
その空白に挑む過程は、一歩間違えれば命を落とすような危ういものだった。
著者は、「死の危険があるから冒険は意味があり、そのリスクの中にこそ、生きている意味を感じさせてくれる瞬間が存在する」と書く。
かっこいい・・・。
実は、著者は同じ探検部の後輩。
僕のほうが3コ上なので一緒の活動はあまりしていないが、当時から不思議な大きさのある後輩だった。
この本を読み終わって、やはり今の自分の生活を考えさせられた。
今の自分に、「生きている意味を感じさせてくれる瞬間」は存在するだろうか。
大学時代の僕も大きな遠征を計画して、すごく充実した「生きている意味を感じさせてくれる瞬間」を過ごしていたと思う。
でも今は・・・.
YouTubeでAKB48の映像を見ているだけじゃね・・・。
うーむ、本当に頑張らねば!!
という訳で、読む人、ひとりひとりに「生きる意味とは?」とナイフを突きつけるような渾身の一冊。
もちろん大オススメ!!
ありがとう角幡。
俺も頑張るぜ!

今年の開高健ノンフィクション賞の受賞作品。
チベット奥地にツアンポー峡谷とよばれる世界最大の峡谷がある。
近づくことも困難なこの渓谷は、複雑な曲線を描いて流れており、下流がどの川に合流するのか確かめることが出来なかったため「謎の川」と呼ばれていた。
その為、19世紀から数々の探検家により、秘密のベールに挑む試みがなされてきた。
その過程で、「ツアンポー峡谷の奥深くには巨大な滝が隠されている」という伝説が生まれたりもして、ますます探検家の征服欲が駆り立てられることとなった。
結局、1924年、イギリスの探検家の手により、峡谷のほとんど部分が解明された。
ただ、どうしてもたどり着けなかった部分が5マイルあり、それが「空白の5マイル」として地図の空白部分として残され、幻の大滝もここにあるのではないかと推測された。
その後のチベットの政治的混乱によりこの「空白の5マイル」だけが手付かずの課題として残される事となった。
また昔からチベット仏教で「ベユル・ペマコ」と呼ばれる桃源郷のような場所がこの峡谷にあるのではないかともされていた。
と、ワクワクするようなこの地理的空白地帯は、1990年代に入り、中国政府の改革開放政策により再度、探険家の注目を集めることになった。
アメリカの著名登山家やNHKのテレビ取材チームなどに混じり、日本の大学探検部の部員もこの探検競争に加わった。
それがこの本の著者、角幡 唯介。
大学時代の探検に続き、大手新聞社を辞めて2度目の探検を行った記録がこの本にまとめられている。
読んでいてとても興奮した。
文章も簡潔で、状況がよく分かるし、なにより「21世紀の地球上にまだこんな空白が残されていたのか」という新鮮な驚きがある。
その空白に挑む過程は、一歩間違えれば命を落とすような危ういものだった。
著者は、「死の危険があるから冒険は意味があり、そのリスクの中にこそ、生きている意味を感じさせてくれる瞬間が存在する」と書く。
かっこいい・・・。
実は、著者は同じ探検部の後輩。
僕のほうが3コ上なので一緒の活動はあまりしていないが、当時から不思議な大きさのある後輩だった。
この本を読み終わって、やはり今の自分の生活を考えさせられた。
今の自分に、「生きている意味を感じさせてくれる瞬間」は存在するだろうか。
大学時代の僕も大きな遠征を計画して、すごく充実した「生きている意味を感じさせてくれる瞬間」を過ごしていたと思う。
でも今は・・・.
YouTubeでAKB48の映像を見ているだけじゃね・・・。
うーむ、本当に頑張らねば!!
という訳で、読む人、ひとりひとりに「生きる意味とは?」とナイフを突きつけるような渾身の一冊。
もちろん大オススメ!!
ありがとう角幡。
俺も頑張るぜ!