とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

現代文の参考書シリーズ こども論4

2016-07-17 08:37:32 | 現代文の参考書
(【現状の課題】)
2.自立できない子ども、子離れできない親

 最近の子どもは反抗期がなくなってしまいました。それはなぜなのでしょう。

 「ガンコ親父」という言葉がありますが、昔の父親は怖いのが当たり前でした。学校にも名物先生がいてたいてい怖い先生でした。大人が怖いのが当たり前で、それに鍛えられていたわけです。

 なぜ、怖い大人が多かったのかというと、昔は大人は、子どもによりよい大人になってもらいたくて厳しく接していたからです。小学生時代ならその親の言葉に従っているだけでよかったわけですが、中学生、高校生になるにしたがって、大人たちからどんどん大人の価値観を押し付けられるようになります。これは大人たちが単に自分の価値観を押し付けたかったからではありません。社会に出て早く一人前の社会人としてみとめてもらえるようにという親心からだったのです。

 しかし子どもにしてみれば子どもとしての価値観を否定されることになるので、おもしろくありません。「コンチクショウと」と思うようになり、大人が敵となってしまっていたわけです。だから、反抗期というのは、だれが悪いというようなものではなく、子どもが大人になるための通過儀礼であったのです。

 ところが近年、子どもたちは大切に育てられるようになりました。大人たちは子どもの言う事をよく聞き、子どもをできるだけ認め、子どもを応援するようになりました。

 例えば昔は部活動の応援に熱心な親なんてあまりいませんでした。しかし、最近では大会や試合のたびに応援に来る親も珍しくありません、高校でもそうなのです。もちろん、これは悪いことではありません。こんなに家族に応援してもらってうらやましいくらいですし、家族の絆が深まり、子どもの成長にとっていいことです。しかし、これは反面弊害がでてきます。子どもが親離れできなくなるということです。さらに親もなかなか子離れできなくなってしまいます。

 その結果子どもはいつまでたっても子どものままになってしまい、モラトリアム状態、つまり、いつまでたっても就職しない子どもや、いつまでたっても結婚しない子どもが増えてきます。経済的にも、生活面でも親がずっと面倒をみてくれるのだから、それに甘えてしまう子どもが増えてしまうのです。
私たちはここにポストモダンの問題点を見ることになります。

 つまり、子どもの人権を認めようとし、子どもの人格を認めようとした結果、逆に子どもの自立が遅れ、ある意味では親も自立できなくなってしまったのです。

 代の制度を新たなものに改革しようとしたら、逆に前近代的な状態になってしまったというような皮肉な結果になったような気もするのです。

 つづきます。
コメント
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