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気ままに

大船での気ままな生活日誌

文珍 白酒 花緑 三三

2015-05-09 23:17:11 | Weblog

今日は神田祭を楽しんできた(汗)。そのことを書こうと思ったが、書きっぱなしで、出掛けてしまった、昨晩の落語特選会の記事が先と思い、つづきを打ち始めている。

近くのホールで開催された爆笑特選落語会。大ホールなら当日券OKだろうと、前売りは買わなかったが、何とかいい席がとれた。ほとんど満席。さすが、文珍。文珍以外にも、白酒、花緑、三三と実力派を揃え、十分、楽しませてもらった。

前座は上方の桂文五郎。文珍のお弟子さんで、演目はお馴染みの”阿弥陀池”。どんな物語?今日は酔っぱらっていて、書くのがめんどうなので、米朝で聞いてください。

そして、柳家三三で茄子娘。三三は鎌倉芸術館の常連で、ぼくもここで聞くのが三回目。小田原の出身。当地、鎌倉に相応しい演目で、戸塚宿から一里ほど入った鎌倉山のお寺の和尚の噺。茄子が大好きで、自分でも栽培している。ある夜、蚊帳の中にうつくしい女が現れた。茄子の精だという。いつもサイ(妻)にしてやると言われてましたので・・サイ(菜)と言ったつもりだが・・・むにゃむにゃ、そのとき雷が落ちて・・和尚としてやってはならないことをしてしまったと、旅に出る。5年後、戻ってみると親はいないが、子供がいる。親はなす(無く)とも子は育つが落ち。

柳家花緑は”井戸の茶碗”。高麗の井戸茶碗が最後に登場する古典落語。馬鹿正直の三人、裏長屋に住む浪人(うつくしい娘がいる)、くず屋清兵衛、そして、細川家の家臣の独身の武士。馬鹿正直較べで笑わせる、明るい人情噺。

桃月庵白酒の”喧嘩長屋”。大相撲の満員御礼をマクラに。ちょいとしたことでふくれる妻。夫婦喧嘩がだんだん大きくなり、仲裁に入る大家さん。ところが、それが雪だるまのようにますます大きくなり、喧嘩長屋に・・・面白そうだと覗きにきた人が・・満員御礼ですと断られる。はじめて白酒を聞いたが、とても上手で、フアンになった。

そして、トリは文珍。観客の多数を占めるボケ始めた年齢層を対象にした演目(爆)。”憧れのホーム”。半分ボケている老夫婦の会話で笑わせる。みんな自分たちのことを笑われているのに、文珍のほのぼのとした雰囲気にだまされて怒れない。たとえば、こんな会話。おじいさん、目の検査をしますよ。これ、輪が左が切れているもの、どこが切れているでしょう。左。よくできました。こちら上が切れているのは。上。でも、おばあさん、答えを初めからいっているんじゃないのかい。よく、聞こえているのね、安心したわ。今日は耳の検査よ!おじいさん、隣りの家が老人ホームに引っ越ししたようよ。5千万円だって。うちも、三食付、介護付きのところへ移りましょうよ。・・・銀行強盗をして、刑務所に入る予定が、失敗して、逆に、警察から防犯訓練の一助となったと表彰される。

ああ、落語は面白い。

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鳥獣戯画・京都高山寺の至宝についての感想 その二

2015-05-09 10:10:55 | Weblog

鳥獣戯画展、第二章の終盤に”祖師のおもかげ/国宝・華厳宗祖師絵伝のコーナーがある。この絵伝は、義湘絵4巻と元暁3巻とであるが、前期では義湘絵のみが展示されている。

この絵巻物は華厳の”縁起”を伝えるもので、それならば何故、主人公を、東大寺の良弁とか、名の知れた印度や中国の高僧にせず、新羅の僧にしたのか。白洲正子は、きっと、絵ときを考案しているうちに、彼らに出会い、彼らの中に自分自身を見出したのではないかと推測する。絵巻物の作成には明恵も関わっている。要するに、この絵伝は、義湘、元暁の名を借りた明恵の自伝ではないかと。

絵巻はもともと大衆に分かりやすく絵ときをしているので、ぼくらでも比較的容易に入っていける。かたい話ばかりでなく、柔らかい恋物語も出てくるので思わず身を乗り出してしまう(汗)。

この重要な絵巻について、覚書として、ここにも残しておこうと思う。重い図録は買わなかったが(笑)、幸い、白洲正子著”明恵上人”の中に絵巻がカラー写真で載せられているので、それらを借用させていただき、物語の要点を付け加えた。

新羅の僧、義湘が友人の元暁を誘って、教えを乞うため、唐に旅立つところから物語は始まる。ところが、はじめに泊まった洞窟が実は墓場で、鬼に襲われた夢をみた元暁は志を翻し、新羅に留まり修行することにした。義湘、ひとりが船出することになる。

義湘絵第一巻より 元暁、洞窟の中で鬼に襲われる夢を見る

元暁絵第一巻より 元暁と別れ、義湘だけが唐へ向かうことになる。(明恵は唐に行きたかったが、かなわなかった)

義湘絵第一巻より 義湘の船出。はやくお渡りたまえ、とせかす舟人、かまへてとく御かへり候へ、と名残りを惜しむ人々

義湘絵第二巻より やがて船出した義湘は、唐の津に着き、物乞いを始める。或る日、街中で善妙も会う。ハンサムな義湘に一目ぼれする善妙。

義湘絵第三巻より それから数年経ったあと、義湘は帰国することになる。それを知った善妙は贈り物を用意する。

義湘絵第三巻より 義湘が出航したあと、嘆き悲しむ善妙。

義湘絵第三巻より 贈り物箱を海に投げると、箱は波をかきわけ、宙を飛び、舟に届いた。これをみた善妙、我もと、義湘のあとを追って、入水する。

義湘絵第三巻より 突然、竜となった善妙が現れ、義湘の船を背負って、国まで送り届ける。

このあと、さらに詞書が続き、新羅に戻った義湘は寺地を探すが、雑学の僧たちに占領されていて困っていた。そのとき、善妙が神通力で、方一里ほどの大磐石となり、寺の上を飛び回る。僧たちは驚き、逃げ去る。そして、その地に華厳の道場がつくられた。これに因んで、寺は浮石寺、義湘は浮石大師と呼ばれるようになった。

後期に展示される元暁3巻の物語について要約だけを示しておきたい。元暁は、新羅に戻って修行を続ける。内外のすべての経典に通じ、天下の信を集める。だが、時々、巷に琴を吟じ、歌を歌い、仏法を忘れたような気ままな生活を送る。そんな元暁に、ある日、宮中の”百座の仁王会”が招待がくる。しかし、妬みをもつ人々による、狂人のような僧である等の讒言で、実現しない。その後、国王の后が重病に伏し、様々な治療や祈祷でも回復しない。しかし、巡り巡って、元曉のおかげで治癒し、国王にも認められ、いよいよ尊敬をあつめるようになる。

白洲は、先の義湘伝は明恵の過去の体験、元暁伝は現在の心境を現したものという考えもあるが、そう割り切るのは誤りで、明恵の中に二人の人間が共存していると考えるべきだとしている。明恵は義湘のように、優しく、規則正しい人だったが、同時に元暁のように奔放で、野性的なところももっていた。

元暁絵第1巻 琴をひき、人々と楽しむ元暁

この絵巻は大衆のために書かれたとはいえ、二人の伝記が女性の悩みを癒すことを目的として、竜がその機縁となっているのは、善明寺の尼たちのためにつくられたと言っていいでしょう。善妙の恋情が、捨て身の行によって、普遍的な愛情に昇華される物語は、彼らに大きな感動と希望を与えたと思う。明恵の中でも善妙と善妙寺の尼達と区別がつかないほどとけあっていたに違いない。また、その裏側の母への思慕が秘められていたのは言うまでもない(白洲正子)。

善妙神立像 華厳宗の守護神 

今回は、感想というより自分のための覚書です。(つづく)

 

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