おはようございます。旅先、京都からの投稿です。今日も、溜まっている展覧会シリーズです(笑)。
六本木の国立新美術館ではじまった大原美術館展。行こう行こうと思いながら、ようやく、ひと月もたってから、世界蘭展のあとに訪ねることができた。はじめて倉敷の大原美術館に足を踏み入れたのは、学生時代だっただろうか。こんなに素敵な美術館が日本にあるのだ、と感服したものだ。その後、二、三回は訪ねているはずだが、ここ二十年はご無沙汰しているはず。それが、向こうから、わざわざお出で下さるというのだから、こんなうれしいことはない。
いろいろな分野の美術品が並ぶが、なんと言っても、大原孫三郎(1880-1943年)が朋友、児島虎次郎に依頼して、購入したという近代西洋絵画群。展示説明で、作品の購入経緯などを知り、興味深く拝見した。ここでも、そんな話を盛り込みながら、作品を紹介していこうと思う。
まず、初購入したいう作品。アマン・ジャンの”髪”。児島が1908(明治41)年から5年間、ヨーロッパ留学していたが、そのとき、パリで知り合った画家の作品。当時、フランスで大変人気があったそうだ。大原美術館の記念碑的作品。
モネの睡蓮 1920年に児島がモネと直接交渉して購入したもので、モネが15年も手元に置いていた作品だったという。この年、マチスの”娘の肖像”など20点を購入。
エル・グレコの受胎告知 1922(大正11)年、児島はパリの画廊で、これが売りに出されているのを見つけ、大原孫三郎に、「グレコ買いたし、ご検討のほどを」と、写真を添えて手紙を送った。 孫三郎が、「グレコカエ、カネオクル」と電報を出し、大金を送金し、落札したという。この作品が日本にあるのが不思議だと云われているそうで、本展覧会の目玉。
ゴーギャンのかぐわしき大地
セガンティーニのアルプスの真昼
ルノワールの泉による女 これは、1914(大正3)年に購入したもの。当時在仏していた岡山出身の洋画家満谷国四郎の熱心な願望により、安井曽太郎が仲立ちとなり、73歳のルノワールに描いてもらった作品。
白樺派の人々が、”白樺美術館”の設立を計画していたが、頓挫し、すでに蒐集されていた作品はすべて大原美術館に寄贈されている。それらの作品も展示されている。セザンヌの”風景”は、美術館をつくるために、寄付を募って買った、初めての記念碑的な絵ということを、2009年11月、神奈川近代美術館で開催された”白樺派の愛した美術”展知った。
セザンヌの風景(2009年11月、同展のちらし絵に使用された。
ロダンも、セザンヌと同様、白樺派の人々に慕われた。ここにも3点ほど展示されていたが、白樺派からのもののようだ。
また、1951年に總一郎は、日本の近代洋画のコレクションに積極的に乗り出した。本展では、明治期の岸田劉生や萬鉄五郎ら、藤田嗣治、佐伯祐三など1920年代以降にパリに留学した画家たち、戦前・戦後、日本の洋画界を牽引した安井曾太郎と梅原龍三郎などの作品がずらりと並んでいる。
岸田劉生の童女舞姿
児島虎次郎の和服を着たベルギーの少女
関根正二の信仰の悲しみ
小出楢重のNの家族
芹沢けい介、棟方志功、バーナードリーチ、浜田庄司、河井寛次郎、富本憲吉ら”民芸運動の芸術家”の作品もたくさん。
富本憲吉の白磁蓋付壺
孫三郎のあとも、”美術館は進化し続ける”という考えで、現代美術も多数、蒐集している。ジャクソン・ポロックのカット・アウトやぼくもフアンの福田美蘭の安井曾太郎と孫にも再会できた。
とても素晴らしい展覧会であった。
京都も、はや三日目です。これまで魯山人の足跡を訪ねるツアーでしたが、今日からは、梅見を中心に動こうと思っています。では、皆さん、今日も一日、お元気で。