小雨そぼ降る水曜日、日本橋の三井記念美術館で、”東山御物の美”を観た。雨の日に似合う(?)しっとりとした展示物ばかりで、とてもいい気分で見させてもらった。
東山御物とは、足利将軍が所持していた各種お道具のことで、書院とか違い棚、茶の湯棚に飾られたそうだ。当時、最高級の美術品ばかりで、その伝来品をここに再現しましょうというのが、この展覧会の趣旨。
展示室3には、実際の書院飾りの例が示されている。こうして、お客さんに逸品をみせて、将軍さまは、悦に入っていたのだろう。そして、各展示室に、工芸品の部、絵画の部に分けられ、それぞれ展示されている。
展示室1では、まず、南宋時代の青磁輪花茶碗 銘馬蝗絆。トーハクの東洋館での”日本人が愛した官釜青磁”でも先月みているもの。足利義政が所持していた。ひび割れが生じたため,代わりのものを明国に求めたところ,もはやそのようなものはないと,鉄の鎹(かすがい)でひび割れを止めて送り返してきたという。この鎹を大きな蝗(いなご)に見立てて,馬蝗絆(ばこうはん)と名づけられた。 ひっくり返した写真をみると、なるほど、馬上のイナゴになっている。
ここには、南宋時代のものがいくつもあり、唐物肩衝茶入 銘遅桜もそう。
そして七種の天目の一つ、玳皮盞・鸞天目(たいひさん・らんてんもく)も南宋時代の作。三井蔵。
天目が並ぶ。灰被天目 銘夕陽(元~明時代)ときて、展示室2に入ると、エース、国宝油滴天目が鎮座する。言わずと知れた安宅コレクションの逸品。関白秀次、西本願寺、京都三井家、若狭酒井家などに伝わってきたとのこと。これも、東山御物だったのか。南宋時代建窯。
さらに、展示室5には、根津美術館所蔵の重文、青磁筍花瓶(南宋時代)と青磁筒花瓶 大内筒(南宋時代)が目を楽しませてくれる。
これだけみれば、あとはどうでもいい、というわけにはいかない。よくわからないけど(汗)、中国絵画部門にも、すごいのが来ているのだそうだ。これらも多くは南宋時代のもの。ちらしに載せてあるものだけを、ここにも載せてお茶を濁すことにする(笑)。
後学のため、メモを残しておく。
東山御物の絵画の中には、かつては対であったものが、現在では別れ別れとなっているケースもあります。「六祖破経図」と「六祖截竹図」、「豊干図」と「寒山拾得図」などは、本展覧会で再会を果たします。また、「夏景山水図」「秋景山水・冬景山水図」はもとは4幅対でしたが、現在はそのうちの3幅が残り、分蔵されています。
東山御物の絵画は、大きく二種類に分けることができます。
ひとつは、李迪や馬遠、梁楷といった中国皇帝の愛した宮廷画院画家の精緻な作品。
北宋第八代皇帝の徽宗は、みずからも詩書画にすぐれました。
もうひとつは、牧谿と玉澗に代表される禅宗の絵画です。
おおらかでかつ繊細な水墨表現は、日本の絵画に大きな影響を与えました。(ホームページより)
ちらしの、国宝紅白芙蓉図は、早くも引っ込んでしまい(7期のトップだけ)、みられず残念だった。トーハク所蔵なので一度、みているはず。