ダーリン三浦の愛の花園

音楽や映画など徒然なるままに書いてゆきます。

明日のためにその344-運び屋

2019年06月20日 | アメリカ映画
家族とは、人生とは。

人生を振り返った時、皆様は何か後悔することがあるだろうか?
私は、若い時には「人間まず仕事に生きる」と随分鼻息の荒い時代もあった。
しかし、様々なことを経験したことによって「人生仕事ばかりではない」言う結論に達した。
仕事で得た名声など、自身のエゴイズムの塊であり、何の価値もない。
少し言い過ぎかもしれないが、私はそう思っている。
本日紹介する映画は「運び屋」クリントイーストウッドの最新作である。
ストーリーを紹介しておこう。

90歳を超えるアールは、花園を経営していたが、業務不振で家屋、土地ともに国に差し押さえされる。
アールは花園経営と、友達との関係を大切にしたばかりに、自分の家族を顧みず、家族の記念日にさえ顔を出したことがない。
土地、家屋を差し押さえられたアールは、孫の結婚パーティである男から仕事を依頼される。
その仕事は、指示された時間にある場所へいき、荷物を指示された場所へ運ぶと言う仕事だった。
勿論報酬は支払うという。
アールは1回限りの約束で、その仕事を受けることにした。
その仕事を終えて、報酬金を見たアールはその高額さに驚く。
そして、報酬金欲しさに、その後もその仕事を続けていくが、3度目の仕事の途中、運んでいるものが何か気になったアールは、運ぶ途中で荷物の中を開けてしまう。
アールが目にしたのは、なんと大量のコカインだった。
後ろ髪を引かれる思いで仕事を続けてゆくアールだったが..........

まず「枯れた」イーストウッドの演技が素晴らしい。
よどみなくしっかりした作りの映画である。
イーストウッドは、失敗なく「運び屋」としての使命を果たすが、13回目の仕事の時に、孫から電話が入る。
イーストウッドの妻が、余命僅かなので、すぐ病院に来てほしいと。
生憎運び屋作業中だったイーストウッドは、孫の要請を断る。
しかし翌日、イーストウッドは運び屋の予定を中断し、自分の妻を見舞いに来る。
危ない職業である。こんなことをすれば間違いなく殺されるだろう。
しかし彼はそれを承知で、妻を見舞い、そして妻の最期をみとった。
イーストウッドは、自分の家族たちへの粗末な扱いを後悔していたのだった。
終盤で彼が言う「お金があればなんでも買えるが、時間だけは買えなかった」
涙があふれる思いで、私はその言葉を聞いた。

自分の人生の中で、家族以上に大切なものがあるだろうか。この映画はそれを観客に問いただしている。
仕事の忙しさを理由に、家族を大切にしていない方がいるなら、もう一度家族と言うものを考えて、家族に向き合うべきだろう。
この映画はイーストウッド作品でも、傑作にあたるものなので、是非観ていない方は、観ることをお勧めする。

2018年、アメリカ製作、カラー、116分、監督:クリント・イーストウッド

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