石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

見果てぬ平和 ― 中東の戦後75年(126)

2024-03-08 | 中東諸国の動向

(英語版)

(アラビア語版)

 

(目次)

 

第5章:二つのこよみ(西暦とヒジュラ暦)(12

 

126イラクのクウェイト進攻と湾岸戦争(3/5)

 停戦の翌年イランのホメイニ師が86才で波乱の生涯を終えた。イランはその後ますます国際的孤立を深める。フセインが次に狙ったのは南の隣国クウェイトであり、さらにアラブの覇者となるための絶対条件ともいうべきイスラエル打倒であった。彼はまず手始めにクウェイトを狙った。クウェイトは貸し付けた戦費の返済をしつこく迫っており(クウェイトにすれば当然の要求だったが)、また同時に当時のOPEC(石油輸出国機構)加盟国の中で安値販売の先頭を切っていた。戦災復興を急ぐためできるだけ高値で原油を販売したいイラクにとってクウェイトは目障りな存在であった。フセインは兵力をクウェイト国境に集結し圧力をかけた。

 

しかし当のクウェイトを始め国際社会はこれを単なる脅しとみなし、フセインがまさかクウェイトに進攻するなどとは考えていなかった。アラブ連盟の緊急会議が開かれたとき、弁明に立ったイラク外相は極めて穏やな話しぶりであったと言われる。アラブ諸国は話し合いで事態が解決すると信じた。さらに当時の米国大使もフセイン大統領と面談したが、大統領の物腰は極めて紳士的であったため、大使はイラクに戦争の意思なし、と本国に誤ったシグナルを送った。

 

(続く)

 

 

荒葉 一也

E-mail: Arehakazuya1@gmail.com

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当面続く化石エネルギーの時代:五大国際石油企業業績速報シリーズ(15)  

2024-03-08 | 海外・国内石油企業の業績

IV. 2022―23年四半期業績推移の比較(続き)

 

(利益格差が大きかった2022年、各社安定した2023年!)

2.純利益の推移

(図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-62.pdf 参照)

 

2022年1-3月期の純利益が最も多かったのはShellの71億ドルであり、これにChevron(63億ドル)、ExxonMobil(55億ドル)、TotalEnergies(49億ドル)が続き、4社はほぼ同水準の利益を計上している。これに対してbpはロシアでの合弁事業撤退による特別損失により204億ドルの巨額の欠損を計上している。

 

続く4-6月期はすべての企業が増益となりbpもプラスに転じた。しかしながら各社の収益に格差が生じ、ExxonMobilが3倍強の大幅増益となった一方、TotalEnergiesは15%の増益にとどまるなど各社間に収益格差が生まれた。そして7-9月期はShell及びbpが大幅減益、他者は横ばいとなり、10-12月期はShell、bpが増益、その他3社は減益となるなど2022年は四半期の業績が大きく変動した。

 

2023年に入り四半期の各社は安定した利益を計上し、また各社の収益変動幅も小さくなっている。2023年10-12月期の各社利益はExxonMobil 76億ドル、TotalEnergies 51億ドル、Chevron 23億ドル、Shell 5億ドル、bp 4億ドルである。8四半期を通じてExxonMobilは5社の中で安定した高い利益を確保しており、一方bpは収益構造の悪さが目立っている。

 

(続く)

 

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