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石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

BPエネルギー統計レポート2014年版解説シリーズ:石油篇18 精製能力(5)

2014-07-20 | その他

(注)本レポート1~18回は「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。

http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0318BpOil2014.pdf

 

(設備の削減が追いつかず低迷する日本の稼働率!)
(5)主要な国と地域の精製設備稼働率(2000~2013年)
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/1-5-G04.pdf 参照)
 精製能力に対して実際に処理された原油の量(通油量:Refinery throughputs)で割ったものが設備の稼働率である。ここでは日本、米国、中国、インド及び欧州・ユーラシア地域について2000年から2013年の稼働率を比較検討する。

 2000年には米国とインドが90%を超える高い稼働率を示し、日本も83%を記録している。これに対し中国は78%、欧州・ユーラシア地域は最も低い76%であった。インドはその後も高い稼働率を維持し2003年以降は稼働率100%を超える状況が続き、2013年の稼働率は103%であった。前項の精製能力の推移に見られるとおりインドは2000年以降精製能力を拡大しており、2013年には2000年の1.95倍の能力に達しているが、需要の伸びに追い付かず慢性的な精製能力不足であることがわかる。

 米国の稼働率は2000年の91%をピークに年々低下し2009年には82%まで下がった。その後少し持ち直し2013年の稼働率は86%に回復している。同国の精製能力は2000年の1,774万B/Dに対して2013年は1,782万B/Dで殆ど変っていない。米国は設備が過剰気味であると言えよう。

 日本は設備の過剰感がさらに強いようである。即ち前項に示したとおり日本の精製能力は2000年の501万B/Dから2013年には412万B/Dへと20%近く減少している。その間の稼働率は2000年の83%が2005年には91%に上昇し設備廃棄の効果が見られたが、その後は稼働率が再び80%台前半に低迷しており、2013年は84%であった。日本の場合は設備の廃棄を上回るスピードで需要が減退しているようである。

 中国の精製能力は2000年の541万B/Dから2013年には2.3倍の1,260万B/Dに急拡大しているが、その間の稼働率は80%前後で推移している。同国は石油製品の旺盛な需要を活発な精製能力の増強で補いバランスの取れた状態を維持していると言えよう。但し最近数年の稼働率は2011年の84%から2013年には77%に低下しており、景気低迷の影響がうかがわれる。

 欧州・ユーラシア地域は日本と同様の傾向を示している。第3項「地域別精製能力」で触れたとおり、同地域の精製能力は2000年の2,518万B/Dから2013年には2,389万B/Dに減少している。しかしながらこの間の稼働率は80%前後でありほぼ横ばい状態である。現在でも設備過剰感が残っているようである。

(石油篇完)

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 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp


 

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