4.世界の天然ガス貿易
(天然ガス貿易にはパイプラインとLNGの二つのタイプがある!)
(1)はじめに:天然ガス貿易の二つのタイプ
天然ガスは石油と異なり大気中に拡散することを防ぐため密閉状態で搬送しなければならない。この場合輸送方法によりパイプラインで気体状のまま搬送する方法若しくは液化して特殊な船(LNGタンカー)や運搬車で搬送する二種類がある。パイプライン方式は常温で気体状のガスを生産地と消費地をパイプで直結して搬送するものであり、LNG方式は生産地で極低温で液化したガスを密閉容器で消費地に搬送するタイプである。
パイプラインによる貿易は古くから行われている。但しパイプラインを敷設するためには生産地と消費地が陸続きであるか比較的浅い海底(又は湖底)であることが条件である。パイプラインによる天然ガス貿易が広く普及しているのが北米大陸の米国・カナダ間の貿易である。ヨーロッパ大陸でもオランダ産の天然ガスを各国に輸出するための天然ガスパイプライン網が発達し、同国の生産が衰退するに従い新たな供給地としてロシア及び中央アジア諸国とのパイプラインが敷設され、或いは地中海を隔てた北アフリカとの間で海底パイプラインが敷設され、現在ではこれらのパイプラインが欧州・ユーラシア地区における天然ガス貿易の中心を成している。
これに対して天然ガスの生産地と消費地が離れており、しかもその間に深海の大洋がある場合は両者を結ぶパイプラインを敷設することは不可能である。そのために開発されたのが天然ガスを極低温で液化し容量を圧縮し効率よく輸出するLNG貿易である。LNGは液化のための高度な技術と高い設備投資コスト、さらに顧客との長期安定的な販売契約が事業の成立と継続のための必須条件である。このような制約のためLNG貿易の歴史は比較的新しく本格化したのは中東のカタールと日本の間で1997年に始まった事業からである。
(続く)
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