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石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

和平合意で急速に深まるイスラエルとUAEの関係(3)

2020-11-01 | その他
(注)本レポートは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。
http://mylibrary.maeda1.jp/0517UaeIsraelPeaceAccord.pdf

3.民間交流・投資促進

 イスラエルとUAEの民間交流は特にイスラエル側が熱心であり、UAE-イスラエル・ビジネス協議会のホームページが早々と開設されている 。イスラエルは起業が盛んでスタートアップ企業が多く資金需要が旺盛である。これに対してUAEは周辺にオイルマネーがあふれ、有望な投資先を探している。両国の和平合意により資金の需要と供給がマッチする理想的な投資環境が生まれたのである。

 投資環境整備のためアブダビ政府の投資窓口機関Abu Dhabi Investment Office(ADIO)がイスラエルのテルアビブに事務所を開設することが公表された 。9月下旬にはイスラエルの商工会議所ミッションがUAEを訪問、ドバイの商工会議所と経済協力を強化する合意書に署名、またジュベールアリ・フリーゾーン庁(JAFZA)とMoUを締結した 。さらにADIOもイスラエル輸出機構(Israel Export Institute)と貿易投資協力協定を締結している 。

10月19日にはアブダビEtihad航空の第一便がテルアビブ空港に到着、米国のムニューシン財務長官が引率してUAE経済相らの官民合同ミッションがイスラエルを初訪問した 。8月のテルアビブ-アブダビ第一便ではクシュナー米大統領顧問がイスラエル政府代表団を引率しており、和平合意に対するトランプ大統領の強い思い入れが感じられる。UAEミッション訪問を機会に第一回のUAE-イスラエルビジネス・サミット(Abraham Accord Business Summit)も開催された。

 このような政府間によるビジネス環境整備が進むにつれ両国間の個別企業による共同事業はまず投資ファンドの設立から始まった。ドバイのAl-NaboodahとイスラエルのOurCrowdが15億ドルのファンドを設立することに合意している 。またUAE民間企業の先駆けとしてドバイのAl-Habtoorグループはイスラエル駐在員事務所開設の計画を発表 、対イスラエル・ビジネスにおける先行者利潤獲得を狙っている。

 さらにJAFZAを足掛かりとして世界的な港湾オペレーターに成長したドバイ公営のDP Worldもイスラエル企業と組んで同国第二のHaifa港の民営化入札に参加している 。海運に関しては10月12日にUAEからのコンテナ船第一便がHaifa港に入港しており、ヨーロッパーイスラエルーUAE間の新たなルートが開かれたことになる。UAEドバイのJAFZAからはすでに東アフリカ、インド、シンガポール、極東向けのコンテナ船ルートがあり、これによりドバイが世界的な海運拠点としてますますは発展することになると思われる。

(続く)

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荒葉一也
Arehakazuya1@gmail.com
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