(世界ランクシリーズ その5 2024年版)
国連などの国際機関あるいは世界の著名な研究機関により各国の経済・社会に関するランク付け調査が行われている。これらの調査について日米中など世界の主要国及びトルコ、エジプト、イランなど中東の主要国のランクを取り上げて解説するのが「世界ランクシリーズ」である。
第5回のランキングは世界経済フォーラム(WEF)が行った「世界男女格差報告2024 (The Global Gender Gap Report 2024)」をとりあげて比較しました。
*WEFのホームページ:
https://www.weforum.org/reports/global-gender-gap-report-2024
1.「世界男女格差報告2024」について
「世界男女格差報告2024(The Global Gender Gap Report 2024)」(以下「2024年版報告書」)を発表した「世界経済フォーラム」(World Economic Forum, WEF)は、スイスのジュネーブに本部を置く非営利団体であり、毎冬行われる「ダボス会議」の主催者としてよく知られている。
「2024年版報告書」は世界146カ国を対象に経済、教育、健康、政治の4つの分野について、世界或いは各国の公的機関が公表する男女別のデータに基づき、それぞれの分野の男女間の格差を指数化し順位付けを行ったものである。
(1)比較対象される分野とその内容
対象とされるのは以下の4つの分野であり、各分野にはそれぞれ二つ乃至五つの比較項目がある。
I 経済参画分野:経済活動への参加度及び参画の機会(Opportunity)に関する男女格差
比較項目:(1)労働参加比率、(2)同一労働賃金格差、(3)平均所得格差、
(4)幹部職比率、(5)専門・技術職比率
II 教育分野:教育の機会に関する男女格差
比較項目:(1)識字率、(2)初等教育就学率、(3)中等教育就学率、
(4)高等教育就学率
III健康・寿命分野:健康と寿命に関する男女格差
比較項目:(1)新生児男女比率、(2)平均寿命
IV政治参画分野:政治参画の度合に関する男女格差
比較項目:(1)女性議員比率、(2)女性閣僚比率、
(3)過去50年間の女性元首(首相等)在任期間
(2)指数化の方法と順位付け
146カ国について上記四つの分野の各比較項目に関する男女それぞれの数値或いは比率のデータを抽出し、この男女のデータについて男性を1とした場合の女性の指数を算定する。この指数の意味は、指数1の場合男女が完全に平等であることを意味しており、指数が低くなればなるほど男女の格差が大きいことを示している。なお項目によっては女性が男性を上回り、単純計算した指数は1を超える場合があるが、このレポートでは格差指数1が最大値とされている。
各比較項目の指数を加重平均したものがその分野の指数となる。更に4つの分野の指数を加重平均したものがその国の格差指数として146カ国の指数を上位から順に総合順位を付けたものである。
(続く)
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