石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

政治と経済で決まる世界の男女格差-「男女格差指数」(4)

2024-06-27 | 世界ランクシリーズ

(注)本レポートは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0605WrldRank5.pdf

 

(世界ランクシリーズ その5 2024年版)

 

4.要素別比較(レーダーチャート)

 ここでは8カ国及び世界平均を取り上げ、これらを3グループにわけてそれぞれの総合スコア、経済、教育、健康及び政治の4分野別スコアをレーダーチャートで表してみる。レーダーチャートは最も外側がスコア1.000(つまり男女格差が無い若しくは女性が男性を上回る)を示し最も内側はスコア0.000(即ち男女格差が無限大)である。グラフの実線が外側に広がるほど男女格差が少ないことを示し、また真円に近いほど4分野の男女格差が平均化していることを示している。

 

(際立って高いアイスランドの政治分野のスコア!)

(1)チャート1(アイスランド、米国、世界平均)

(図http://rank.maeda1.jp/5-G02.pdf 参照)

 総合スコアではアイスランドは0.935であり、米国は0.747、世界平均は0.685である。分野別に見ると政治分野はアイスランド0.972、米国0.225、世界平均0.251であり、アイスランドのスコアが際立って高い。経済分野はアイスランド(0.815)と米国(0.765)の格差は小さく、世界平均のスコアは0.605にとどまっている。教育及び健康分野は3者ともスコアが高く有意な差は見られない。

 

(政治分野は印中日、経済分野は中日印の序列!)

(2)チャート2(日本、中国、インド)

(図http://rank.maeda1.jp/5-G03.pdf 参照)

 総合スコアは中国(0.684)、日本(0.663)、インド(0.641)であり、3カ国に大きな差異はない。分野別に見ると政治分野ではインドが0.251と最も高く、次いで中国(0.123)、日本は0.118でありインドとの格差は大きい。経済分野の格差は中国(0.737)、日本(0.568)、インド(0.398)で政治分野以上に格差が大きく、しかも3カ国の中で政治分野トップのインドが経済分野では3カ国中最も低いことが特徴である。教育分野、健康分野はいずれも日本が最も高いが、3カ国のスコアに大きな差は見られない。

 

(教育分野以外でトルコ、エジプトに劣るイラン!)

(3)チャート3(トルコ、エジプト、イラン)

(図http://rank.maeda1.jp/5-G04.pdf 参照)

 中東の三大国トルコ、エジプト及びイランはイスラーム国家と言う共通点を持つが、人種的にはトルコ人、アラブ人、ペルシャ人の違いがあり、また政治・経済体制も異なる。しかし男女格差で見るといずれも世界ランクはトルコ127位、エジプト135位、イラン143位と世界の最低レベルにとどまっている。

 

3カ国を分野別に比較すると、経済分野の男女格差スコアはトルコ(0.507)、エジプト(0.406)、イラン(0.343)でイランのスコアがトルコ及びエジプトを下回っている。政治分野についても同様の傾向が見られ、エジプト(0.176)、トルコ(0.118)に対してイランは(0.031)であり、イランの男女格差が非常に大きい。教育及び健康分野のスコアはいずれも0.96から0.98の範囲である。ただし上記に述べた通りこの2分野は世界平均が0.949及び0.960であるため、3カ国の世界順位は100位前後にとどまっている。

 

(続く)

 

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     前田 高行     〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

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見果てぬ平和 ― 中東の戦後75年(173)

2024-06-27 | 中東諸国の動向

(英語版)

(アラビア語版)

 

(目次)

 

第7章:「アラブの春」―はかない夢のひと時(6

 

173 「アラブの春」の訪れ(2/4)

勿論そこには独裁者による巧妙な世論操作もあるが、大統領の多選を禁じた憲法は圧倒的多数で改正され彼は終身大統領となる。こうなれば国家は独裁者の思うままである。彼の権力基盤は盤石となり長期政権が延々と続く。さらに権力の世襲化も起こる。2000年に父親のハフィーズから息子のバシャールに大統領を引き継いだシリアのアサド政権に続き、リビアのカダフィ、そしてエジプトのムバラクも息子に権力を譲ろうと画策した。

 

しかし権力は必ず腐敗するものである。政治社会組織にはほころびが目立ち始め経済は長期低落の罠に落ち込む。人気取り政策でパンやガソリン代、水道電気代は安く抑え込まれるため庶民の日常生活は一見支障のないように見えるが、街には失業者があふれ、庶民は明日の見えない閉塞感に襲われる。

 

(続く)

 

 

荒葉 一也

E-mail: Arehakazuya1@gmail.com

 

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