石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

見果てぬ平和 ― 中東の戦後75年(164)

2024-06-06 | 中東諸国の動向

(英語版)

(アラビア語版)

 

(目次)

 

第6章:現代イスラームテロの系譜(19

 

164 敵と味方を峻別する一神教(3/6)

これら三つの対決をイスラームの側面で見ると、異教対決とはイスラームとキリスト教及びユダヤ教との対決となる。イスラエルとアラブ諸国の間の中東戦争、或いはアル・カイダが911同時多発テロを始め世界各地で引き起こした対米テロ事件は異教対決のケースと言えよう。ソ連共産主義と対決したアフガン戦争は一神教対無神論の対決として一種の異教対決と見ることができる。そして二つ目の宗派対決はシーア派対スンニ派の対決としてのイラン・イラク戦争がその典型と言える。

 

三つ目の同一宗派内の異端対決は現代イスラム世俗主義とイスラム原理主義(サラフィー主義)の対決となるが、こちらは少し問題が複雑になる。何故ならこの対決ではお互いに自分たちこそ正統派であり、相手方を異端者、背教者と呼び合う。それぞれが自分たちこそ教祖ムハンマドの正しい教えに従っていると主張して互いに譲らない。妥協の余地は全くないと言ってよい。

 

異端対決は中世キリスト教社会でも起こった。カソリック対プロテスタントの対決である。しかし西欧キリスト教社会はこの対決を克服し、相互不可侵の形で共存している。しかるにイスラームではどうしてこの対決を克服できないのであろうか。

 

(続く)

 

荒葉 一也

E-mail: Arehakazuya1@gmail.com

 

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ENEOSの年間売上高をしのぐアラムコ利益:邦系2社vs IOCs/Aramco2023年(度)業績比較(4)

2024-06-06 | 今日のニュース

2.売上高[1]

(アラムコの売上高はENEOSの5倍、出光の8倍!)

(1) 2023年(度)年間売上高

(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-5-02.pdf 参照)

 ENEOSの2023年度の売上高は13兆8,600億円(956億ドル、換算レート:145円/ドル)であり、出光は8兆7,200億円(603億ドル、換算レート:144.6円/ドル)であった。一方メジャー5社の売上高はExxonMobilが3,446億ドルと最も大きく、次いでShell(3,166億ドル)、最も少なかったのはChevronの1,969億ドルであった。これに対しアラムコの2023年(1-12月)売上高は4,950億ドルである。

 

アラムコを100とした場合、ExxonMobilは70、Shellは64であり、Chevronはアラムコの4割である。アラムコとENEOS或いは出光の売上高を比較すると、アラムコはENEOSの5倍、出光の8倍に達する。因みにアラムコの2023年利益は1,213億ドルであり(前項参照)、同社利益はENEOS或いは出光の年間売上高を凌いでいる。

 

(続く)

 

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     前田 高行     〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 

 

[1] 「売上高」とは各社の決算財務諸表に示された下記の項目を言う。

ExxonMobil:Total revenues and other income

Shell:Total revenue and other income

bp:Sales and other operating revenues

Total:Sales

Chevron:Sales and other operating revenues

ENEOS: 売上高

出光:売上高

 

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