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日本は世界125位、政治参画分野の低さが致命的-「男女格差指数」(3)

2023-07-07 | その他

(世界ランクシリーズ その5 2023年版)

 

(格差が大きい政治分野、小さい教育分野!)

3.分野別のランクとスコア

(表http://rank.maeda1.jp/5-T02.pdf 参照)

 男女格差指数は(1)経済参画分野、(2)教育分野、(3)健康・寿命分野及び(4)政治参画分野の4つの分野について公表されたデータに基づいて詳細な比較検討が行われている(本稿第1章参照)。本章では第2章で取り上げた国々、すなわち世界の上位5か国及び日本を含む主要各国並びに中東主要国について4分野のスコアと世界ランクを概観する。

 

(1)経済参画分野の男女格差

 総合世界1位のアイスランドはこの分野では世界14位(スコア0.796)である。因みにこの分野のトップはリベリア(同0.895)であり、その他上位陣にはジャマイカ、ベラルーシ、ボツアナなどが入っている。米国は21位(同0.780)、英国は43位であるが、日中韓印のアジア4か国は、中国の45位(同0.727)が最も高く、韓国114位、日本123位、インド142位である。

 

(2)教育分野の男女格差

 WEFが各国の統計値をもとに判断した教育分野の男女格差は世界的に極めて小さい。即ちフィンランド、インド、イスラエルのスコアは1.000であり男女格差が無い。格差指数は1.000が上限であり、国によっては1を超える(即ち女性と男性の逆格差)ケースもあり、教育格差指数1.000は146か国中30か国に達する。また146カ国中の半数を超える81カ国の格差指数が0.990以上である。

 

 日本のスコアは0.997でありトップ(1.000)との格差は0.003にすぎないが、世界ランクは47位である。中国はスコア0.935で世界123位である。中東諸国ではイスラエルがスコア1.000で世界1位グループに入っている。その他UAEは世界86位(スコア0.988)、サウジアラビア87位(同0.986)であり、エジプト、イランは世界100位以下である。但し世界119位のエジプトのスコアは0.943でUAEと比べスコアの格差はさほど大きくない。

 

(3)健康・寿命分野の男女格差

 世界1位のスコアは0.980で、ブラジル、ハンガリー、スリランカなど26カ国が並んでいる。スコアがわずか0.007しか違わない日本(スコア0.973)は世界順位が59位とされている。中国(スコア0.937)はこの分野最下位のアゼルバイジャン(同0.936)に次ぐ低いランクにとどまっている。トップと世界最下位のスコアの差は0.044で、この格差の中に146か国がひしめいており、わずかなスコアの差がランク上の大きな差となって表れている。

 

 留意すべきは健康・寿命格差は各国の医療福祉水準の良し悪しを比較したものではなく、あくまでも当該国において医療福祉にアクセスする場合の男女の格差を示したものである。先進国、発展途上国を問わず一般に女性の平均寿命が男性よりも長いことは事実であり、指数化して比較すると一見男女格差が無いように見える点に注意すべきであろう。

 

(4)政治参画分野の男女格差

 この分野の世界1位はアイスランドで同国のスコアは0.901である。これに続く世界2位はノルウェーであるが、同国のスコアは0.765でありアイスランドと大きな開きがある。3位、4位はそれぞれニュージーランド、フィンランドであり総合順位とほぼ同じである。日本はスコア0.057、世界順位138位であり、インド (世界59位)、米国(63位)にはるかに及ばず、韓国(88位)、中国(114位)とも大きな差がある。中東諸国と比べても日本はUAE(35位)、エジプト(85位)と大きな差があり、トルコ(118位)に並ぶ水準である。

 

この分野トップのアイスランドのスコアと日本のスコアの差は0.844と極めて大きい。因みにこの分野の最下位はアフガニスタンの0.000である。これは同国の男女格差が無限大に近いこと示している。4分野の中で政治参画分野は国別格差が最も大きい。

 

政治の男女格差は女性国会議員数、閣僚数、或いは過去50年間の女性元首(首相等)の在任期間でランク付けされているため全体的に各国ともスコアが低く、また同じ先進国でもヨーロッパに比べ日米のランクが低い結果となっている。

 

(続く)

 

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     前田 高行    〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

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見果てぬ平和 ― 中東の戦後75年(22)

2023-07-07 | 中東諸国の動向

(英語版)

(アラビア語版)

 

(目次)

 

第1章 民族主義と社会主義のうねり(6)

 

022.イスラエル独立(その1):ユダヤ人の祖国建設運動(1/3)

 本章のタイトル「民族主義と社会主義のうねり」は、戦後の中東アラブ諸国独立のエネルギーの源を意味しているが、ユダヤ人たちはそれより少し早く祖国建設を始めている。戦後一貫してアラブ諸国の歴史に最も大きな影を落としているユダヤ人の国イスラエルはそれまでの中東二千年の歴史とは全く異質な国家の出現であった。

 

ユダヤ人(と言われる人々が)2千年前にパレスチナを追われ「ディアスポラ(離散)の民」としてヨーロッパ移り住み、各地で迫害を受け辛酸をなめた末、1946年に漸く先祖の地パレスチナにイスラエルを建国した壮大な歴史ドラマはすでに数多の書物で語られてきた。詳細はそちらでお読みいただくとして、ここでは20世紀以降のイスラエル建国史はについて簡単に触れてみたい。

 

 19世紀後半にヨーロッパで「アンティ・セミティズム(反セム民族)」運動がヨーロッパに吹き荒れた。セム民族とはアラビア語、ヘブライ語など中東を起源とするセム系の言語を使用する民族の総称であるが、当時のヨーロッパでは「反セミティズム」は「反ユダヤ主義」そのものであった。ディアスポラの民は各地で「ゲットー」と呼ばれるユダヤ人居住地区に閉じ込められ、差別を受けてひっそりと暮らしていたのであるが、反ユダヤ主義の高まりの中でユダヤ人を狙い撃ちした事件が続発した。

 

(続く)

 

 

荒葉 一也

E-mail: Arehakazuya1@gmail.com

 

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