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http://mylibrary.maeda1.jp/0582ImfWeoJuly2023.pdf
IMF(国際通貨基金)が「世界経済見通し(World Economic Outlook Update、July 2023)」(以下、WEO)を発表した。 このレポートでは全世界、EU、ASEANなどの主要経済圏及び日米中印など主な国々の2021年(実績)から2024年(予測)まで4年間のGDP成長率が示されている。
本稿では今年(2023年)及び来年(2024年)の成長率を比較し、また前回4月の経済見通しに対してGDP成長率がどのように修正されたかを検証する。そして2022年から2024年の3年間の成長率の推移を比較する。さらに過去6回の経済見通し(昨年4月、7月、10月、今年1月、4月及び今回)で今年の成長率がどのように見直されてきたかを精査する。
*WEOレポート:
https://www.imf.org/ja/Publications/WEO/Issues/2023/07/10/world-economic-outlook-update-july-2023
(今年の世界の成長率は前回4月見通しを0.2%上方修正し3.0%に!)
1.2023年のGDP成長率(表http://menadabase.maeda1.jp/1-B-2-08.pdf 参照)
今回7月見通しでは今年の世界の成長率は3.0%とされており、前回4月の2.8%から0.2%上方修正されている。ウクライナ紛争の先行きは見えないが、マクロ経済は着実に回復しているものと見られる。
経済圏別に見るとEU圏の2023年の成長率は0.9%であり、4月の数値を0.2%アップしている。またASEAN5カ国も4.5%から4.6%に上方修正されている。これに対して中東・中央アジア諸国は2.9%から2.5%に引き下げられている。EU/東南アジア経済圏が不況を脱したのに対し、石油・天然ガスの産出国が多い中東・中央アジア諸国は、エネルギー価格が不安定で成長率が鈍化しているようである。
国別では今年の成長率は米国1.8%、日本1.4%、ドイツ▲0.3%、英国0.4%、ロシア1.5%、中国5.2%、インド6.1%である。インドの成長率は世界で最も高く、世界平均(3.0%)の2倍以上である。中国はコロナ禍以前に二桁の高い成長を続け、その後急激に減速したが、それでも世界平均を上回っており、インドと中国が世界の成長をけん引している。これに対してヨーロッパ諸国は上記の通りEU圏の成長率が1%を下回り、ドイツは主要国の中で唯一マイナス成長と見込まれている。
産油国のサウジアラビアは1.9%であり、前回4月見通しの3.1%が大幅に下方修正されている。同じ産油国のロシアは逆に4月見通しの0.7%が1.5%に上方修正されている。ロシアは欧米先進国から経済制裁を受けているが、中国、インドが同国原油を安値で輸入するなどロシア経済への影響力はさほど大きくないのが現実のようである。
(続く)
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