石油と中東

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五大国際石油企業2017年7-9月期決算速報(付JXTGグループ業績)(6)

2017-11-29 | 海外・国内石油企業の業績

 

(注)本レポートは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。

 http://mylibrary.maeda1.jp/0426OilMajor2017-3rdQtr.pdf

 

2017.11.29

前田 高行

 

2.2016年第2四半期以降の四半期別業績の推移(続き)

(4)部門別利益の推移

(4-1)上流部門(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-66.pdf 参照)

 2016年第3四半期の各社の上流部門の利益はBPが12億ドルで最も多く、続いてTotal8.8億ドル、ExxonMobil6.2億ドル、Chevron4.5億ドルと続き、Shellのみは3.9億ドルの欠損であった。続く第4四半期はExxonMobilのみが欠損で他の4社は利益を計上している。Shellは今年の第1及び第2四半期は再び欠損を計上、昨年から今年にかけて同社の上流部門は不振を続け、今年第4四半期になってようやく5.8億ドルの利益を出している。

 

 一方ExxonMobilは昨年第4四半期に6億ドルの欠損を出した後、今年1-3月期以降は23億ドル、4-6月に12億ドル、第3四半期16億ドルと連続して二桁の利益を計上している。BPとChevronは昨年第3四半期以降5期連続で利益を出している。5社の中で上流部門が最も安定しているのはTotalであり、5期連続で9~14億ドルの利益を計上している。

 

(4-2)下流部門(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-67.pdf 参照)

 下流部門は過去1年間各社とも安定した利益を計上している。ExxonMobilの2016年第3四半期の利益は24億ドルであった、第4四半期以降も12億ドル→11億ドル→14億ドル→26億ドルと10億ドル以上の利益をコンスタントに出している。

 

 ExxonMobilに限らず他の4社も上流部門は5期連続で利益を出しており、Shellの場合は16億ドル(16年第3 Qtr)→16億ドル(第4 Qtr)→26億ドル(17年第1 Qtr)→22億ドル(第2 Qtr)→24億ドル(第3 Qtr)と20億ドル前後の安定した利益を計上している。

 

 各社の下流部門の決算が堅調な理由は昨年以降原油価格が50ドル前後で比較的安定的に推移したことに加え、各社が精製装置の稼働率向上につとめ、また世界景気が底堅さを維持し石油製品の販売が堅調に推移したためであろう。

 

(5)設備投資の推移 (図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-64.pdf 参照)

 5社の四半期ベースの設備投資額は60億ドルを下回る低い水準が続いている。Shellは5社の中で設備投資が最も高い水準にあり、2016年第3四半期には53億ドルであった。2017年第1四半期には43億ドルにとどまったが、その前後4期は50億ドルを超える設備投資を続けている。ExxonMobilは2016年第3四半期から今年第2四半期まで40億ドル台の設備投資であり、今期は5社中で最も大きく、また過去1年で最高の60億ドルの投資を行っている。

 

 Totalの昨年第3四半期の設備投資はShellあるいはChevronと並ぶ51億ドルであったが、今年第1四半期には8億ドルに急減、その後持ち直したものの5社の中では最も低い水準の投資にとどまっている。

 

(続く)

 

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        前田 高行         〒183-0027東京都府中市本町2-31-13-601

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                               E-mail;maedat@r6.dion.ne.jp

 

 

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