石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

BPエネルギー統計レポート2014年版解説シリーズ:天然ガス篇21貿易量(8)

2014-08-26 | その他

(注)本シリーズは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0322BpGas2014.pdf

 

(6) カタールと日本の輸出入の動向(2006~2013年)
本項では世界第二位の天然ガス輸出国であるカタール及び世界トップの輸入国である日本の両国について2006年から2013年までの8年間の輸出相手先或いは輸入相手先を見てみる。

(目を見張るカタールの天然ガス輸出。2011年までの6年間で数量も輸出先も4倍!)
(6-1)カタールの場合
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/2-4-G07.pdf 参照)
 カタールはLNGの輸出量が世界一であり、パイプラインとLNGを合計した輸出量でもロシアに次いで世界第2位である(前項参照)。カタールは2007年からUAE及びオマーン向けにパイプライン(ドルフィン・パイプライン)による天然ガスの輸出を開始したが、これを含めて2006年から2013年までの同国の天然ガス輸出の動向を見ると以下のとおりである。

 2006年のカタールの天然ガスの輸出量は311億㎥で全量LNGであった。最大の輸出先は日本向けの99億㎥であり、これに次ぐ韓国向けが90億㎥、インド向け68億㎥であり、この3カ国だけで同国の輸出の83%を占め、輸出相手国はこれら3カ国に加えスペイン、ベルギー及びメキシコの計6カ国であった。2007年には英国、台湾などが新たなLNGの輸出先に加わりまたUAE向けにパイプラインによる輸出も始まり、LNG385億㎥、パイプライン8億㎥の合計393億㎥に増加した。2008年にはパイプライン輸出が本格的になり、UAEが日本を抜いてカタールの最大の輸出相手先となった。

 2009年にはカタールの輸出は2006年の2倍を超える682億㎥に達し、その後2011年には1千億㎥を突破、2006年の4倍の1,218億㎥と飛躍的に増加している。対前年比増加率でみると、2007年から2011年までは毎年20~40%と言う驚異的な増加率を示している。2012年以降は輸出の伸びはとどまっているが、8年間の平均年間増加率は23%という高い数値を示している。

  2006年に日本を含め6カ国にすぎなかった輸出相手国の数は、その後台湾、UAE、中国、英国、イタリアなどが新たな輸出相手国に加わり2013年には20カ国以上に増加している。日本向けの輸出量は2006年から2010年まで100億㎥前後で安定していたが、その間にカタールの総輸出量が急増したため日本のシェアは2006年の32%から2010年には12%まで低下した。しかし2011年の東日本大震災をきっかけに日本の輸入が急増、2013年の日本のカタールからの輸入量は2,180億㎥に達し2010年の2倍以上となっている。そして日本がUAEをしのいで再びカタールの天然ガスの最大の輸出相手国になったのである(2013年シェア17.4%)。

(続く)

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 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
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   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

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